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「慰安婦問題」は、結局橋下降ろしだったのか

 5月28日の毎日新聞は27日の慰安婦発言に関する橋下市長の外国特派員協会での会見要旨を次のように報じていました。
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橋下氏:日本外国特派員協会で記者会見 やりとりの要旨
2013年05月28日
http://mainichi.jp/select/news/20130528mog00m010001000c.html
http://mainichi.jp/select/news/20130528mog00m010001000c2.html

 27日、日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)が日本外国特派員協会で行った記者会見でのやりとりの要旨は次の通り。

 <冒頭発言>
 ◆女性の尊厳を大切にしている。慰安婦の利用を容認したことは一度もない。真意と正反対の報道が世界中を駆け巡ったことは極めて遺憾だ。かつて日本兵が女性の人権をじゅうりんしたことは痛切に反省し、謝罪しなければならない。同様に日本以外の国の兵士も女性の人権をじゅうりんした事実に各国も向き合わないとならない。(在沖縄米軍の司令官に風俗業の活用を勧めた発言は)米軍のみならず米国民の侮辱にもつながる不適切な表現だった。撤回するとともに、おわびする。

 <質疑>
 −−多くの人から、旧日本軍は慰安婦の強制連行などを行ったと思われているが。

 ◆日本の過ちを正当化するつもりはないことを理解してほしい。ただし、国家の意思として組織的に女性を拉致・人身売買したことを裏付ける証拠はないし、この事実を認めていないのが日本の立場だと考えているが、(慰安所施設の管理など)軍の一定の関与はある。慰安婦の方にはおわびしなければならない。

 −−日本だけが批判されるのはおかしいと言っているように聞こえるが。

 ◆慰安婦問題に関して不合理な議論はもう終止符を打つべきだ。皆さんに問いたいのは戦場での性の問題だ。世界各国は過去を直視していない。米国、英国が現地の女性を利用したのは歴史的事実。独も日本と同じような施設を使い、朝鮮戦争時に韓国にもそういう施設があった。

 −−河野談話を修正すべきだと考えるか。

 ◆談話を否定するつもりはなく、書かれているのもおおむね事実だが、肝心な論点が曖昧で不明確だ。核心的論点について逃げている。これが日韓関係が改善しない最大の原因になっている。否定するとか修正するとかではなく明確化すべきだ。日韓の歴史学者が共同で事実を明確化すべきだ。

 −−人身売買については元慰安婦の証言もあるが、信用できないという見解ということか。

 ◆慰安婦の証言も歴史学的にいろいろと信用性に議論があるところだ。この議論は歴史的事実についての議論で、日本の責任を否定する、回避する議論でないことは理解してほしい。

 −−元慰安婦の韓国人女性が面会を断るなど外国から疑問を持たれている。政治家として責任をどう考えるか。

◆私の今回の発言に国民が「ノー」と言えば、次の参院選で維新は大きく敗北するだろう。その結果を受け、共同代表のままでいられるかどうか、党内で議論が生じると思う。
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 上記の“慰安婦”に関する橋下市長の発言のポイントを要約すれば、以下の通りと思います。
1.在日米軍に「風俗」利用を勧めたのは誤りであった。
2.日本政府による慰安婦の拉致・強制連行はなかった。
3.元“慰安婦”の発言は信用できない。
4.日本以外にも慰安婦類似の制度があり日本だけ批判は不合理。


 これについて5月28日の毎日新聞は次のように批判しています。
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社説:橋下氏の説明 本質そらす責任転嫁だ
〈毎日新聞 2013年05月28日 東京朝刊〉
http://mainichi.jp/select/news/20130528ddm005070144000c.html

 これで本当に沈静化するのだろうか。旧日本軍のいわゆる従軍慰安婦問題をめぐる発言について日本維新の会の橋下徹共同代表が「容認は誤報」とする見解を文書で公表、日本外国特派員協会で記者会見した。

 不適切な前言をメディアへの責任転嫁で取り繕い、全面撤回しない対応ははなはだ疑問である。発言が日本のイメージを損ねる悪影響も含め、ことの重大さと本質の理解をなお欠いていると言わざるを得ない。

 「戦場と性の問題はタブー視され、表立った議論は一切なかった」。海外メディアにこう語り、他国の例を挙げる橋下氏の言動は日本の責任回避と受け取られかねない危ういものだった。

 橋下氏は13日「精神的に高ぶっている集団に休息を与えようとすると慰安婦が必要なのは誰だって分かる」と発言、問題化した。沖縄の在日米軍に風俗業の活用を促した発言とあいまって女性の人権を侵害した言動が批判を浴びたのである。

 だが、橋下氏は新見解で「(慰安婦を)私が容認していると誤報された」と主張、一方で旧日本軍による慰安婦についても「女性の尊厳と人権を蹂躙(じゅうりん)し、決して許されない」と認めた。

 戦時のレイプ対策を理由に「慰安婦みたいな制度が必要だったのも厳然たる事実だ」とも述べていた13日の発言と今回の見解の落差は明らかである。事実上修正しながら「誤報」と主張し、「風俗業発言」以外撤回しないのでは反省とは言えまい。

 また、橋下氏は会見で「軍が作ったか、民間かは関係ない」と指摘、複数の国の名を挙げ「戦争と性の問題」を提起した。いくら「慰安婦を正当化する意図はない」と強調しても「責任論を分散しようとしているのではないか」との疑念を広げるおそれがある。

 慰安婦問題をめぐる1993年の河野洋平官房長官談話を「おおむね事実」と認めつつ「明確化すべきだ」と主張したが、慰安婦問題の決着に向け積み上げられた談話をないがしろにすべきではない。橋下氏が見解で国際社会での評価を認めた「女性のためのアジア平和国民基金」は河野談話を踏まえた措置である。

 米国議会は安倍内閣や日本の政治家の歴史認識に警戒を強めている。対中、北朝鮮をめぐる情勢が不安定な中で「価値観の共有」という日米同盟の基盤を揺るがしてはならない。国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会も橋下氏の発言を重視している。収拾を急がねばならない。
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この社説こそ何を言っているのか意味不明です。橋下市長の発言を批判するなら、具体的に橋本市長が指摘した4点について批判すべきです。朝鮮人慰安婦の拉致・強制連行があったとか、元慰安婦の発言は信用できるとか、日本以外には慰安婦類似の制度はなく、橋下市長が挙げた、米・英、ドイツ、韓国の事例は事実ではないなど具体的に批判すべきです。

 毎日新聞の言っていることは、「イメージを損ねる」とか、「責任回避と受け取られかねない危ういものだった」とか、「疑念を広げるおそれがある」とか、曖昧な主張ばかりで批判になっていません。「本質そらす責任転嫁だ」と言っていますが、
本質から外れたピント外れの批判をしているのは、毎日新聞の方です。

 橋下市長の挙げた4点に反論がないのであれば、これで議論は終わりです。これ以上難癖を付けるのは、議論が単に橋下降ろしを目的としたものとしか考えられません。

 5月29日にはさらに次のような記事がありました。
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橋下・大阪市長:訪米断念 「公費でキャンセル料」明言 「自らまいた種、なぜ」
〈毎日新聞 2013年05月29日 大阪朝刊〉
http://mainichi.jp/area/news/20130529ddn041010013000c.html

 旧日本軍の従軍慰安婦などを巡る一連の発言で、橋下徹大阪市長が28日、訪米断念に追い込まれた。市の担当者は訪問を予定していた都市との友好関係への影響を懸念し、飛行機代などのキャンセル料にも頭を悩ませる。市議会や市民団体からは「市長自らがまいた種だ」と批判の声が高まっている。

 橋下市長は市役所で記者団に「自分の考え方がうまく先方に伝わらなかったのは正直残念だ」と悔しさをにじませた。しかし、訪米中止で生じるキャンセル料は公費で支出すると明言し、「法的には問題ない」と強調した。

 市によると訪米経費は市長と職員7人を合わせ約480万円。飛行機代や宿泊費などのキャンセル料は最大180万円と試算する。

 民主系市議は「自分でまいた種なのに、市民に草を刈らせるのか」と公費負担に反発。自民市議も「自らの不用意な言動によって生じたキャンセルだ」と批判する。

 市民団体「見張り番」の松浦米子・代表世話人はキャンセル料を公費支出した場合、返還を求めて住民監査請求する方針で、「世間にも、世界にも通用しない。自分の考えだけで突っ走る政治家はもう時代遅れだ」と怒りをあらわにした。

 市の計画では、姉妹都市のサンフランシスコ市を訪れ、リー市長との面会や企業訪問を予定していた。市担当者は「将来に禍根を残さないか心配だ。必要なら謝罪しなければならない」と今後の対応に苦慮する。

 橋下市長にとって、足元の市政運営は日々厳しさを増している。大阪府内の水道事業を統合する議案は市議会で否決され、市営地下鉄・バスの民営化も可決の見通しが立たない。共産市議は「胸を張って訪米もできない市長はやめないといけない。国政政党の代表と首長を兼務する『二足のわらじ』の限界だ」と話し、辞職勧告決議案提出を検討している。【林由紀子、茶谷亮、村上尊一】
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 ここまで言うのは、本当に嫌がらせとしか思えません。
 公務員が公務の間違いで起きた出費を公費でまかなうのはごく普通です。学校で教師がミスを犯し第三者に賠償金を支払う場合でも、すべて税金でまかなっています。しかも、今回の場合は市長に過失があったかは疑問です。

 また、記事では「民主系市議」とか「自民市議」、「共産市議」と書かれていますが、なぜ具体的に氏名を書かないのでしょうか。政治家(大阪市議)である以上、市長批判は氏名を明らかにしてすべきです。匿名は市民(有権者)に対して無責任です。

 市民団体「見張り番」の松浦米子・代表世話人が、「キャンセル料を公費支出した場合、返還を求めて住民監査請求する方針で、『世間にも、世界にも通用しない。自分の考えだけで突っ走る政治家はもう時代遅れだ』」と言う発言が報じられていますが、この“慰安婦”問題は、今や日本と韓国・アメリカ連合の国際問題です。本来は“慰安婦”は日本人もいたので、必ずしも、日本対外国の問題ではありませんでしたが、さすがに日本人慰安婦は誰もゴネていないので、今や完全に日本対外国の問題になっています。日本を貶めようとする韓国・アメリカ連合対日本の問題です。

 この日本対外国の問題で、この新聞記事(他の毎日新聞の“慰安婦”関連記事も同じ)に登場する日本人はすべて橋下市長を非難する人物ばかりです。これは偶然でしょうか。それとも日本人の中で橋本市長を擁護する人間は1人もいないのでしょうか。それとも毎日新聞が
そういう人物だけを選んで記事を構成したのでしょうか。

 毎日新聞の一連の記事は
“慰安婦”を口実にした、執拗・陰湿な「橋下降ろし」であると思います。

平成25年5月29日 ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ