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村山談話は「英知の結集」の産物だったか


 5月2日の読売新聞は、「70年談話へ「英知結集」…首相 有識者懇の議論参考」と言う見出しで、次のように報じていました。

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70年談話へ「英知結集」…首相 有識者懇の議論参考
2015年5月2日15時0分(読売新聞)

 【ロサンゼルス=志磨力】米国訪問中の安倍首相は1日午後(日本時間2日朝)、ロサンゼルスのホテルで同行記者団と懇談した。今夏に発表する「戦後70年談話」の内容について、先の大戦への反省と戦後日本の平和国家としての歩み、今後の地域と世界への貢献などの要素を盛り込む考えを改めて示し、「世界に発信できるようなものを
英知を結集して考えていきたい」と強調した。首相は1日、ロサンゼルス入りし、「日米経済フォーラム」などに出席した。

 首相は記者団との懇談の中で、談話について検討している有識者会議「21世紀構想懇談会」の役割に関し、「幅広い分野、様々な世代の方々に議論してもらっている。新たな談話は、この議論を伺いながら検討したい」と語った。また、歴史認識に関する歴代内閣の立場を引き継いでいく考えを示したうえで、「戦後70年の談話は、それを前提に作成していく」と述べた。

 21世紀構想懇談会は、今年2月に設置され、すでに4回の会合を開いた。座長は西室泰三・日本郵政社長で、メンバーには学者や経済人、メディア関係者ら幅広い分野から16人が選ばれている。今年夏の談話発表前に、議論の経緯を首相に報告する。

 首相が戦後70年談話の基本的な考え方を示す場として注目された4月29日の米議会演説では、先の大戦への「痛切な反省」や「深い悔悟」「アジア諸国民に苦しみを与えた事実」といった言葉を使う一方、「侵略」や「おわび」への言及は避けた。

 一方、来年に日本で行われる主要国首脳会議(サミット)の会場選びについては、「あらゆる観点から検討中だ。落ち着いた雰囲気で議論できることが大切な点だ。今の段階でも迷っている」と述べた。開催地は、現在立候補している仙台、新潟、浜松、名古屋、三重県志摩、神戸、広島の7市と長野県軽井沢町の8自治体から決める考えも示した。

 また、29日の米議会演説で、夏までに安全保障関連法案の成立を目指すと述べたことを野党が批判している点については、「2月に国会で答弁している。安保法制に触れたら、『この国会で』という意味で言うのは当然のことだ。そのためにこれから努力していく」と反論した。

 安保関連法案と新たな日米防衛協力の指針(ガイドライン)に関し、「地理的概念ではなく、日米同盟がより機能していく(ためのものだ)」とも語った。

日本に投資呼びかけ

 安倍首相は1日午前(日本時間2日未明)、政府専用機で訪米最後の滞在地となるロサンゼルスに到着した。首相は「日米経済フォーラム」で、日米の企業経営者ら約450人を前に、「外国から日本への投資を期待しており、私が改革の手綱を緩めることはない」と日本への投資拡大を呼びかけた。フォーラムには、プリツカー米商務長官も出席した。

 首相はその後、ロサンゼルス市内にある、第2次世界大戦で欧州の前線などで戦った日系人部隊の記念碑に献花し、全米日系人博物館を訪問した。日系米国人との会合にも出席し、「日本人と日系人の絆を次世代にも確実につなぎ、日米関係の一層の発展につなげたい」と語った。
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 安倍総理は、70年談話に「
英知を結集する」とのことですが、そんな必要があるのでしょうか。そもそも、「村山談話」なるものが“英知の結集”の結果だったのでしょうか。
 歴史的評価が低いとしか言えない一内閣(村山内閣)が閣議決定して発した“談話”ごときに、何ほどの拘束力があるのでしょうか。その作成過程に於いて、当時の各界の“英知を結集”した経緯は全くありません。

 戦後
40年の時も、30年の時も全くその発想すらなかった「侵略謝罪談話」が、なぜ50周年の時に突然出てきたのでしょうか。単に反日・左翼政党が党利党略の結果、偶然政権を握ったのを悪用して、出したに過ぎないのではないでしょうか。
 従来なかったものを突然出して将来を拘束するのであれば、今回の70周年の時以上に、慎重に「英知を結集」して作成する必要があったはずですが、そのような経緯は全くありません。

 そのような談話が発せられて20年が経過し、国民の支持の元に成立した現内閣が、村山談話に対して異なる発想の談話を出すに当たって、なぜ
20年前以上に厳格な条件を課されるのでしょうか。大変理不尽な話だと思います。

 このような理不尽な取り扱いは、「村山談話」に限りません。いわゆる「非核三原則」、「武器輸出三原則」についても同様なことが言えます。これらの原則はいずれも法律でも、条約でもなく拘束力がないにもかかわらず、いつの間にか
国是であるかのごとく言われ、「不可侵の大原則」であるかのように取り扱われてきました。

平成27年5月10日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ