G10
「家庭のしつけ」に責任を転嫁する文部省

 2月5日の産経新聞第一面に、「社会ルールや正義感『日本のしつけ』最悪と言う見出しで、文部省の「子供の体験活動研究会」の調査結果が報道されていました。

 それによると
「・・・調査は、昨年10月から12月まで、日本と韓国、米国、英国、ドイツ計5カ国の小学5年生と中学2年生(外国では相当する年齢)6,617人を対象に実施した」、「『うそをつかないように』と両親から『よく言われる』子供は、諸外国では25%を超えたが、日本は父親から11%、母親から16%で、5カ国で最低だった」、「道徳観・正義感を問う項目では、『いじめの注意』で米国が28%なのに日本は4%であるなど、いずれも5カ国中で最も低かった」、「『弱いものいじめはしない』ように親から『よく言われる』と答えたのは、英国が最も高く、父親から34%、母親から36%だったが、日本は父親9%、母親11%と5カ国で最も低かった。」
 「文部省は『国により文化的、歴史的な違いはあるが、深刻に受け止め、各家庭でしつけを大事にする施策を進めたい』としている」
と書かれています。

 一方、平成11年12月28日の読売新聞第一面に掲載された「わいせつ教員処分最多76人」、「『心の病』で休職1,707人」と言う見出しの記事によると、
「平成11年度中にわいせつ行為で処分を受けた公立小中高などの教員は76人と過去最多となり、精神性疾患による休職者数も全国で1,707人と過去最多を更新したことが27日、文部省のまとめで分かった」、「また、体罰(暴力)で懲戒処分された教員は114人と、前年度を5人上回り過去最多となった・・・」、「自校の児童、生徒をわいせつ行為の対象とした教員は34人」などと報じられていました。

 このようなわが国の教員の資質は、国際的に比較してはたしてどうなのでしょうか。教員の資質について、文部省は国際比較をしたことがあるのでしょうか。国旗を引きずり降ろしたり、いじめを見ても注意しない教員は外国にもいるのでしょうか。教員の勤務評価を全員一律にしている校長は外国にもいるのでしょうか。懲戒処分結果に表れた数字は、文字通り「氷山の一角」に過ぎないと思います。わが国の教員の資質は甚だしく見劣りがすると思います。

 不良教員を学校から排除するのは文部省の役目ですが、家庭のしつけは文部省の主たる仕事ではありません。また、このように家庭でのしつけができない父親、母親達は、わが国の伝統的価値観、道徳観を否定した「戦後民主主義教育」の産物であることも見逃せません。それにもかかわらずこのような調査結果を発表するのは、文部省が戦後の教育行政の破綻についての責任を認めず、学校荒廃、学級崩壊の責任を「家庭のしつけ」に転嫁しようとする意図があるからだと思います。

平成12年2月6日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ