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研修をすれば教師の質は向上するか
 

 8月18日の日経新聞に「教員の企業での『社会勉強』支援・文部省」という見出しの次のような記事がありました。

 
「世間知らず」、「視野が狭い」などと批判されがちな小中高校の先生に、企業などで「社会勉強」をしてもらう機会を増やそうと、文部省は18日、長期の社会体験研修を実施する自治体に、来年度から補助金を交付する方針を固めた。・・・
 文部省はこれを拡充するため、受け入れ先と学校の橋渡し役となる「相互交流推進協議会」の設置経費や、研修実施費用の半額を補助金として交付。研修に出た教員の穴埋めをする補充教員も、全国で約300人の現行定数を倍以上に増やすことを検討する。

 このような研修を実施するということは、教師の資質に問題があることを文部省が認めたことを意味しています。しかし、「世間知らず」とか「視野が狭い」という教師の資質は、研修をすれば改善されるものなのでしょうか。「世間知らずで視野が狭い」というのは、別の言い方をすれば「非常識」ということであり、職業の問題ではなく、個人の資質の問題だと思います。

 教師でない一般の人だって、限られた自分の職業の範囲でしか「世間」を知らないのが普通ですが、普通の人は決して「世間知らず」ではありません。教師だって昔の教師は世間知らずではなかったと思います。教師という職業が「世間知らずで視野が狭い」人間を作っているわけではありません。教師にそう言う非常識な人間が多いのは、現代の日本では、資質の劣る人間が教師になっているからだと思います。

 それらの教師は本来教師が備えているべき資質を欠いているわけですから、研修費用は当然自己負担とするべきで、税金を投入するのはとんでもない話です。それに、研修したからと言って、「世間知らずで視野が狭い」非常識教師の資質が必ず向上するとは限りません。研修を受けた後は効果があったか、改善したかをきちんとフォローし、改善が見られなかった者は解雇すべきだと思います。

 文部省はどうしてこう非常識教師に甘いのでしょうか。それは、厳しさを嫌い、ぬるま湯を愛し、保身を第一に考えるという点では、文部官僚も日教組の幹部も、同じ公務員としてひとつ穴のむじなだからです。今の文部行政は子供のための行政ではなく、教師のための行政になっています。「少人数学級」、「複数担任教師制」などはその表れで、教師の負担を軽くし、国民の税負担を重くすることばかり考えています。「文部省の日教組化」とも言うべき現象です。そうではなく、学校は教師のためにあるのではなく、子どもたちのためにあるのだという原点に帰る必要があります。「世間知らず」で「視野が狭い」非常識教師は、研修で生き延びさせるのではなく、排除することが学校の健全化、教育の正常化につながるものだと思います。能力の劣る者、不適格者を排除するという、当然なされるべき労務管理がなされていないことが、学級崩壊、学校荒廃の原因だと思います。

平成12年8月19日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ