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浪人ばかり合格している教師の採用試験

 10月19日の読売新聞に「教員試験合格者 浪人7割占める」という見出しの記事がありました。それによると、大阪府が来年度に採用する公立小中高等学校などの教員採用試験の合格者は399人で、平均年齢は25.6歳(昨年度は25.4歳)となり、新卒予定者以外の合格者の割合が69.7%と、受験浪人しないと合格が難しいという傾向が一層強まったそうです。大学卒業の年齢が22〜23歳ですから、平均したら現役の時を含めて3〜4回目で合格していることになります。

 民間企業の採用試験で前年不採用になった者が今年また応募してきたら、採用されることがあるでしょうか。採用どころか応募を受け付けてもらうことすら難しいと思います。企業は人を見て採否を決定しますから、前年採用基準に満たないとして不採用になった者が、今年来たって結果は同じに決まっています。翌年未練がましくまた来たら笑われるのがオチではないでしょうか。

 それでは、教師の場合はなぜ前年不採用だった者が2回3回と試験を受けて採用されるのでしょうか。人間の中身はそう簡単には変わらないと思います。教師として採用基準に満たないと判断された人間は、何度試験を受けても結果は同じはずです。それなのに3回目4回目の挑戦で採用されているのは、教師の採用試験は人間の中身を見ずに、表面だけ見て合否を判定しているからではないでしょうか。

 教師の選考試験は筆記試験、個人面接、集団面接などによることが多いようですが、筆記試験は、一年間受験勉強すれば去年より良い点数を取ることは可能です。個人面接や集団面接だって、回を重ね、経験を積めば表面的には上手に受け答えが出来るようになります。しかし、うまくなるのは表面だけで、教師としての資質は受験回数を重ねたから向上するというものではないと思います。浪人して受験勉強をした結果向上した能力などと言うものは、教師の採用を決定する際に評価に値する能力ではないと思います。

 文部省が「問題教師」を教壇から追放するための法律改正を準備するほど「問題教師」が増え、「猥褻教師」の破廉恥事件が後を絶ちませんが、教師の質が落ちた原因は教師を採用する側に人を見る目がないのと、不合格者の再受験を認め、一度不合格にした人物を2年後3年後に採用しているという現在の教師採用システムにあると思います。

平成12年11月30日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ