G18
「制度上できない」のであれば、制度を変えればいい
(無能教師をかばう中教審)

 12月26日の産経新聞は、「懲戒免職 教員免許はく奪」、「中教審中間報告『更新制』は見送り」と言う見出しで次のように報じていました。

 
「教員免許制度の改善策を検討していた中教審(鳥居泰彦会長)は・・・、教員免許に有効期限を設け、期限ごとに適格性などを判断する『免許更新制』の導入は見送った。更新制は、教育改革国民会議が昨年12月、教員の適格性確保の切り札として提言したが、中教審は『適格性は免許授与時にも審査しておらず、更新時に審査対象にすることは制度上できない・・・と判断した。更新制導入に代わる措置として、懲戒免職教員の免許はく奪や研修の拡充に加え、・・・」

 中教審は教育改革国民会議の教員免許更新制の提案に反対し、それに代わる措置として懲戒免職教員の免許はく奪や研修の拡充を提案していますが、懲戒免職となり学校を追放された教師の免許をはく奪したところで、あまり意味はありません。また、教師の無能は資質の問題で、研修をしたところで教師の無能が治ることはあまり考えられませんから、中教審の提案は無能教師を学校から排除するという点で、免許の更新制に代わる措置にはならないと思います。

 中教審は「制度上の問題」を口実に、教員免許更新制の提案を退けていますが、「制度上の問題」がなければ、教員免許の更新制の趣旨には異論はないのでしょうか。「制度上の問題」を云々する前にその点を明らかにすべきだと思います。もし、異論はなく、「制度上の問題」だけがネックとなっているのなら、「制度」を変えればいいと思います。中教審がその点を曖昧にして、制度上云々と言っているのは、「制度上」というのは単なる口実で、本音は教師の身分保障を守りたいだけなのではないでしょうか。

 それに、不祥事件(例えばわいせつ事件)を起こして懲戒免職になった教師の教員免許をはく奪することが出来るのなら、不適格(無能)教師の免許更新を拒否することも出来るのではないでしょうか。はく奪も更新拒否も実質的には同じ事です。教員免許授与の審査時に、審査の対象になっていない「わいせつ行為」を理由に免許をはく奪できるのなら、同じく免許授与時に審査の対象になっていない「適格性」を欠いていることを根拠に、免許更新を拒否することも可能だと思います。

 12月27日の産経新聞他各紙には、わいせつ事件で懲戒処分を受けた教師が114人と史上最高となったことが報じられていました。この114人はまさしく氷山の一角で、水面下にはその何倍もの無能教師が隠れているはずです。こういう現実を目の前にして、教員免許の更新制は無能教師を一掃する上で極めて有効だと思います。
 中教審が曖昧な「制度上の問題」を口実に「教員免許の更新制」を葬ったのは、彼らが子供達の立場より、教師の立場でものを考えている人達だからだと思います。

平成13年12月30日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ