G21
有害無益な「自由化」で国民を欺くことしか考えない文科省

 1月6日の読売新聞は、「小学科目5年・中学科目4年も可能」、「教育内容配分を自由化」と言う見出しで、次のように報じていました。

 
「文部科学省は・・・小中学校9年で義務づけられている教育課程(カリキュラム)の配分を市町村が自由に決められるようにする方針を固めた。地域の実情にあわせた小中一貫教育を本格的に推進するためだ。小中学校の区分については『6・3』制を維持するが、小学校分の学習内容を5年間で終え、中学校分を4年間で教えるなど、多様な配分を認める考えだ」

 小中学校の教育に6・3制がいいか、5・4制がいいか、地域によって異なる事情などあるはずがありません。東京では6・3制がいいが、大阪では5・4制がいいなどと言うことがあるはずがありません。地域により義務教育の学校制度が異なれば転校する子供たちが迷惑するだけです。

 文科省は以前にも同じようなことをしていました。かつては中学校で地理と歴史を履修する学年は固定されていましたが、文科省はこれを「自由化」し、今まで通り二つの科目を別々の学年に履修することも、同時に並行して履修することも可とするように改めました。
 地理と歴史を別々の学年に履修するか並行して履修するかは本質的な問題ではなく、どちらでも良いと思いますが、どちらかに統一するか、あるいは生徒に選択の自由を与えなければ転校生は大変迷惑します。

 教育に必要な自由化とは、子供や両親に教育に関して実質的な選択権を与えることにより競争原理を導入することであって、学校や教師に選択権を与えることではありません。地方の教育委員会に選択権を与えても、子供や両親に選択の余地がない以上、競争原理は働かず、百害あって一利なしで何の意味もないと思います。文科省はなぜこのような意味のない「自由化」を推進するのでしょう。

 政府の総合規制改革会議は教育分野への株式会社参入を求めていますが、文科省は強く抵抗しています。文科省が民間の学習塾やテスト業者などの教育産業を白眼視することも相変わらずです。彼らがそうするのは、教育分野における公務員の独占的地位が脅かされると考えているからだと思います。文科省は本当の意味での自由化、子供や両親に選択の余地を与える自由化には一貫して反対なのです。
 それにもかかわらず、文科省が有害無益な「自由化」を乱発するのは、自由化をしているように見せかけて、本当の自由化を阻止したいからだと思います。

平成15年1月6日     ご意見・ご感想は こちらへ     トップへ戻る     目次へ