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「職業選択の自由」を盾に、「わいせつ教師」の永久追放に抵抗する文科省の劣化(日教組化)の現実と、わが目を疑う「週刊朝日」の変身 

 10月3日の週刊朝日は、「わいせつ教員『復帰するな』に署名5万筆、性欲満たすために教員になる者も……」と言う見出しで、つぎのように報じていました。
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わいせつ教員「復帰するな」に署名5万筆、性欲満たすために教員になる者も……
〈週刊朝日〉10/3(土) 13:53配信


教員のわいせつ行為が相次いでいる。免許を再交付しないで」と訴える保護者
=9月28日(C)
朝日新聞社

 児童へのわいせつ行為で
懲戒免職を受けた教師に復帰の道を残すべきか。

 子どもを性暴力からも守るために活動する全国学校ハラスメント被害者連絡会が9月28日、「
わいせつ教員教員免許を再交付しないで」とする5万4千筆超の署名を文部科学省に提出した。

 現行の
教員免許法ではわいせつで懲戒免職となっても、3年後には教員免許を再取得できる。同会の共同代表を務める郡司真子さんはこう言う。

「免許再交付までの制限期間を
5年へ延長することを検討との報道も一部ありましたが、延長したところで意味はありません再交付しないでという声に対し、文科省『職業選択の自由』を盾にしています。加害者側の社会復帰も大事かもしれませんが、トラウマを植え付けられる被害者の感情はどうなるのか。被害者の基本的人権がないがしろにされていると憤りを覚えています」

 同じく共同代表の大竹宏美さんはこう話す。

「児童に対するわいせつはアルコールなどの依存症に似ているのかなと思っているので、
対象が近くにあれば、それが引き金となります。アルコールなどと違うのは、被害を受ける相手がいるということ。わいせつ教員を子どもに近づけてはならないんです」

 この問題について、数々の裁判を傍聴してきた教育評論家の武田さち子さんはこう指摘する。

「裁判で『教師から
わいせつ行為を受けた』と認定されること自体、ものすごく大変なんです。証拠集めも難しく、教師が否定すれば終わってしまうことも多々あります。その中で懲戒免職処分を受けるというのはよほどのこと。その教師を再雇用するというのは子どもにとって非常にリスクが大きい」

 武田さんは多くの教員たちに話を聞く過程で、
“トンデモ教師”の存在を知ったという。

「子どもを
性的な対象とし、そのために教員になった人は実際にいる、という話はあちこちで聞きます。あまりにも多く聞かれるので、場合によっては一つの学校に一人二人はそうした教師が必ずいるのではないかという印象を抱きます」

 同会は
再交付制度の“廃止”に加え、養成課程から人権を学び、採用時には適性検査、その後も定期的に研修を受けることを望んでいる。

 
萩生田光一文科相は9月29日の会見で、「私個人は、わいせつ教員は教壇には戻さないという方向を目指して法改正をしていきたい」と語り、文科省の担当者は「法制上可能な、最大限のところを検討している」と話した。

 郡司さんは言う。

「署名提出はあくまで第一歩を踏み出しただけ。きちんと法改正がなされるまで注視していきたい」(本誌・秦正理)

週刊朝日オンライン限定記事
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 文科省は
「職業選択の自由」を根拠にしていますが、「職業選択の自由」とは、選択の道が開かれていると言うだけであって、その職業に就く権利があると言う意味ではありません。教師に限らずどのような職業で有っても不適格者を排除するのは当然です。
 
 また、
「教員免許」は教員として“必要不可欠な”要件を満たしていることを示すだけで、有害な要素が無い事を証明するものでは無く、教員として必要不可欠な“すべての”要件を満たしていることを証明するものではありません。
 わいせつ教師は教員としての適格性を欠いていますが、教員免許の
取得に際して、その点についての適格性の有無を確認してはいません(確認できません)。

 従って
教員免許の有無だけをもって教師になる権利があるかのごとく論じるのは、甚だしい誤解・錯覚です。そもそも「教員免許」という名称が誤解を生む元です。

 
自動車の運転免許は、交通関連法規の「学科」と自動車運転の「実技」試験、それに視力・聴力検査に合格すれば取得できますが、癲癇(てんかん)等の持病が発覚すれば免許は取り消されます。当然のことです。

 さらに、教師不適格者を
3年間排除するのは合法で、終身(無期限)排除するのは違法と言う主張は成り立ちません。

 そもそも
教職は児童生徒のために存在するのであって、教師の生活のために存在するのではありません。その点に思いをいたせば、学校から追放されたわいせつ教師を3年後に復帰させるなどの発想は、あり得ないと言うべきです。
 
加害者側の社会復帰も大事と言いますが、教職だけが社会ではありません。他に職を見つけることが出来ない人間が、教職にだけは就けたというのであれば、そもそも教職に就けたこと自体が間違いだったと考えるべきです。

 
「職業選択の自由」云々は全くの見当違いの議論であり、日教組(にっきょうぐみ)が主張するならともかく、文科省が主張すること自体が、文科省の劣化(日教組化)を示す驚くべき事態と言うほかはありません。

 
萩生田大臣は安倍総理の懐刀として、伏魔殿文科省に送り込まれた人物と認識していましたが、この事態に直面して、「私個人は、わいせつ教員は教壇には戻さないという方向を目指して法改正をしていきたい」と発言するなど、「文部科学大臣として」といわず、「私個人は」と発言する無責任さ、その自信のなさには大変失望させられます。

 さらに「
文科省の担当者は『法制上可能な、最大限のところを検討している』と話した」と有りますが、現行法規の範囲内でしか検討できず、改正の必要性を議論できない官僚には無能の烙印を押すべきです。文科省劣化の病巣の深さを改めて思い知らされます。

 
教員免許を盾にとって、職業選択の自由云々を議論するのは、全くの見当違いの本末転倒の議論です。良心の有る教師達も文科省に対して、再交付に反対である事を明確に主張すべきです。そうしないと教員の社会的評価・地位の低下を加速させ、教員採用の困難が進行します。
 そして、この種の問題から子供達と学校を守るためには、わいせつ教師の名前顔写真を公表することが不可欠だと思います。

 この議論に当たって、
「週刊朝日」まっとうな記事を展開していることは大きな驚きでした。

令和2年10月27日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ