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マスコミは、「わいせつ教員事件」の官報掲載漏れを批判する前に、本人の氏名、顔写真を掲載・報道すべき

 12月29日の読売新聞は、「『娘のように最悪なケース、誰が責任を』…
免許失効教員官報不掲載に母親怒り」と言う見出しで、次の様に報じていました。
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「娘のように最悪なケース、誰が責任を」…免許失効教員官報不掲載に母親怒り
20201229 1044 読売
許すな わいせつ教員
 
懲戒免職などになり、教員免許を失効しながら、官報に氏名が掲載されていなかった教員は61人。読売新聞の今回の全国調査からは、一部の教育委員会で教員免許法が順守されていない実態が浮かび上がった。事態を重く見た文部科学省でも、全国の教委で掲載漏れがないか調査を進めている。

 「教育委員会がちゃんとやらなければ、誰がやるのでしょうか? 娘のように最悪なケースになったら、誰が、どうやって責任を取るつもりなんでしょうか」

 
沖縄県で2013年、当時中学3年生だった女子生徒が男性教員からわいせつ行為を受け、その1年後に自ら命を絶った。その母親は、教員懲戒免職になりながら、官報に名前が掲載されていないことがわかると、やり場のない怒りを吐露した。

 沖縄県では先月下旬、この男性教員の官報不掲載が発覚。その後、調査を進めた県教委では28日、この教員を含めた計
11人について、懲戒免職となったが官報に掲載していなかったと発表した。県教委は、「組織改編などもあり、業務の引き継ぎが不十分だった。制度に疑念を抱かせる事態を招き、深くおわびする」とのコメントを出した。

 また、
宮城県教委では、被害者保護の観点と、教員免許法では掲載の時期については明記していないために時期をずらしていたところ、不掲載は10人となった。読売新聞の取材に対し、担当者は「対応は適切だったと思う」としつつも、「再発防止にも重点が置かれるようになり、文科省と相談して今後の対応を決めていきたい」と述べた。

 官報不掲載の問題を巡っては、
北海道や大阪府などでも判明し、各教委は記者会見をするなどして対応に追われた。

官報不掲載、免職歴検索の根底が揺らぐ
 わいせつ行為で懲戒免職となった教員が官報に掲載されないことは、
免職歴を確認できる文科省のシステム「官報情報検索ツール」の根底を揺るがす大きな問題だ。

 文科省は来年2月から、このツールを大幅に拡充し、
免職歴の検索期間を現行の5年間から、過去40年間とする。さらに、官報にわいせつ行為での処分だと明示できるよう、教員免許法施行規則も改正する方針だ。

 だが、そもそも掲載漏れがあっては、そうしたツールの拡充や規則の改正も「絵に描いた餅」になってしまう。

 過去には、
処分歴を隠したり、処分歴に気づかれないまま別の教委に採用されたりして、再び不祥事を起こして処分されるケースもあった。

 わいせつ教員が
処分歴を隠したまま教壇に立てば新たな被害者を生むことにもつながりかねない。そうした事態を防ぎ、子供の安全を守るためにも、各教委は官報掲載のルールを厳守すべきだ。(朝来野祥子)
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 記事は教育委員会の法令違反
(不掲載)厳しく非難していますが、読売新聞は教師のわいせつ事件を報じる記事では、氏名顔写真を掲載しているのでしょうか。
 1月21日の読売は「児童にわいせつ 教員免職 県教委 不適切発言など懲戒5件 処分発表5か月連続」と言う見出しで、次の様に報じていました。
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地域 千葉 ニュース
児童にわいせつ 教員免職 県教委 不適切発言など懲戒5件 処分発表5か月連続
2021/01/21 05:00 読売
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懲戒処分を発表し、頭を下げる県教委の幹部ら(20日、県庁で)

 
県教育委員会は20日、公立小学校で児童にわいせつな行為をしたなどとして、担任の男性教員(61)免職とするなど、5件の懲戒処分を発表した。県教委による今年度の懲戒処分(監督責任除く)は計16件。綱紀粛正に向けた対策を打ち出しているが、不祥事が続く厳しい状況だ。

 県教委による懲戒処分の発表は5か月連続。学校に繰り返し注意を促すなどの対策を取り、昨年末には有識者による会議を踏まえた防止策を公表したばかりだった。

 発表によると、
男性教員は昨年10月下旬頃から11月26日までの間、休み時間に担任する男子児童3人に対して、指を尻に突き刺したり、股間を服の上から触ったりした。授業中に男子児童の陰部の絵を描くこともあった。

 児童の保護者が学校側に訴えたことで発覚。男性教員は県教委の聞き取りに対し、「子供たちと人間関係や信頼関係を築くため、下ネタが手っ取り早いと思った」と説明したという。

 この問題で監督責任を問い、校長(60)を減給10分の1(1か月)の懲戒処分とした。
県教委は男性教員の氏名や学校名などは明らかにしていない。

 県中央部の県立高校の
男性教諭(56)は、減給10分の1(1か月)とした。男性教諭は昨年11月10日、校内で教育実習生の女性への指導中、ゴミ箱を蹴ってすねに当てたほか、「(実習を)続けるかやめるかはこっちが決める」などと発言した。女性は精神的苦痛を訴え、実習を中断したという。

 男性教諭は「実習生はこうでなければならない、という思い込みがあった。猛省している」と話しているという。

 顧問をする部活動の部員と許可なく「LINEライン」でやり取りしていた八千代市の公立中学校の
男性教諭(53)は、戒告とした。男性教諭は、アドレスなどの把握状況についての県教委の調査にも、うその報告をしていた。

 県立中央博物館の
男性上席研究員(61)は減給10分の1(1か月)。昨年11月に講演し、5万円の報酬を受け取った際、必要な手続きをしていなかった。
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 読売新聞は、
官報への記載漏れ厳しく非難しているのに、なぜ自社の新聞記事には教師本人の名前も顔写真も掲載しないのでしょうか。教師の“人権”に配慮しているのでしょうか。
 被害児童・生徒の
被害再発生を防ぐ上で、教師の氏名・顔写真の公表は有効かつ不可欠の対応の筈です。学校は児童・生徒の為にあるのであって、教師の生活のためにあるのではありません。特に処分が免職でなく勤務を続けるために官報に記載されない場合には、なおさら児童・生徒の側には“知る権利(警戒する権利)”があるはずです。

 仮に教師の人権に対する
配慮の必要性があったとしても、事件の悪質性を考えれば、掲載により損なわれる教師の人権よりも、被害に遭って損なわれる児童・生徒の人権がその1000倍も深刻だと言うべきです。
 免職教師の
氏名・顔写真を報じないマスコミはその使命を果たしているとは言えません。

令和3年2月5日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   
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