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教師によるいじめ、 児童・生徒と教師の利害は相反する −児童・生徒は教師優先の教育行政(文科省・教育委員会の日教組化、教師の働き方“改”)の犠牲者−

 9月29日と30日の読売新聞は、「『スルーしよう』教諭が小2男児に『いじめ』…発達障害と決めつけ」、「教諭が小2男児に『いじめ』、市教育長『つらい思いさせた』と謝罪…独断で『発達障害』」と言う見出しで、次の様に報じていました。
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「スルーしよう」教諭が小2男児に「いじめ」…発達障害と決めつけ
2022/09/29 12:52 読売

 滋賀県野洲市の市立
小学校50歳代の男性教諭が、担任していたクラスの2年生の男子児童を発達障害と決めつけ、授業中に不適切な発言を繰り返したとして、学校が「教諭によるいじめ」と認定していたことがわかった。教諭は2学期から担任を外され、休職している。

 市教委によると、教諭は5月以降、授業中に
言葉の意味をよく尋ねる男子児童に「本当に言葉を知らんな「スルー(無視)しよう」などと繰り返し発言していた。「言葉を知らない○○さんのために言葉クイズをします」などと言うこともあり、周囲の児童も「スルーしよう」などと教諭に同調していたという。

 7月の保護者面談で、教諭から「お子さんは
発達障害なので早急に検査を受けるべきだ」と指摘を受けた母親が市教委に相談。学校は「子ども同士のいじめにつながった」として、教諭の言動をいじめと認定し、8月に開いたクラスの保護者説明会で謝罪した。

 教諭は男子児童の保護者に「一連の発言は明らかに私による
いじめです。これまでの経験と勘で(発達障害と)判断してしまった」との謝罪文を送った。男子児童は一時、「学校に行きたくない」と話していたが、休まず登校しているという。

 市教委は「教諭の言動は
大きな問題で、再発防止に努める」としている。
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教諭が小2男児に「いじめ」、市教育長「つらい思いさせた」と謝罪…独断で「発達障害」
2022/09/30 17:43 読売

 滋賀県野洲市立小の50歳代の男性教諭が担任するクラスの2年男子児童を
発達障害と決めつけ、学校が「教諭によるいじめ」と認めた問題で、市教委が29日、臨時記者会見を開き、西村健教育長が「子どもを守るべき学級担任がいじめ事案を起こし、子どもや保護者らにつらい思いをさせて申し訳ありません」と謝罪した。


臨時記者会見で謝罪する西村教育長(中央)ら(滋賀県野洲市で)

 市教委によると、
発達障害など特別な支援が必要となりそうな児童については、校長ら複数の教諭でつくる「校内委員会」で、保護者に医学的な検査を勧めるかどうかを検討するルールがある。しかし、男性教諭は独断で児童を発達障害と決めつけ、保護者に検査を勧めていた。市教委は「児童に問題はなく、委員会で協議する対象ではない」と説明した。

 男性教諭は教諭歴22年で、懲戒処分や注意などの指導を受けたことはなかったが、担任と学年主任を兼務し、校長に対して
疲労を訴えていたという。市教委は今後、各校の校長らに、各教諭の指導現場や帰宅時間などのチェックを徹底させる方針。

 問題があった学校では再発防止策として、▽人権や、教諭の言動が児童に与える影響を学ぶ教諭向けのグループ研修▽担任以外の
教諭による授業内容の定期チェック――などの実施案を挙げた。

 一方、県教委教職員課は読売新聞の取材に「事実関係を調査中。今後、本人の処分を含め、
厳正に対処していく予定だ」と述べた。
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 2つ目の記事の写真を見ると頭を下げている3人は、教育長、教育部長、教育部次長ですが、
記者会見の場にいじめの実行者本人はおろか、校長さえ出て来ていません。未成年者ではあるまいし、この場に出てこないというのは、甚だしい責任感の欠如であり、教職に就く者としてに止まらず、一社会人として失格と言うべきです。それだけではありません。この2つの記事にも本人・校長の氏名・顔写真がなく“匿名”です。

 校長のほとんどが男性であった頃は、不祥事件の時に校長だけは記者の前に登場していましたが、女性校長が増えるにつれて、校長も出てこなくなりました。これは今回の事故に限らない現象で、
“女性に合わせて基準を下げる”改定の典型で、代わりに教育委員会が登場するようになりました。今後教育委員会のポストも女性が多数になれば、誰も出て来なくなるかも知れません。一体学校は誰のためにあるのでしょうか。

 
“厳正”な対処と言っていますが、今の段階で“疲労”云々と報じられている事は、甘い処分の伏線と言うべきで、“厳正”とは程遠い結論が予想されます。
 これらの教師の事件では刑事・民事責任・行政責任の結果が報じられる事がまれで、
口だけ“厳罰”処分の可能性が否定出来ません。

 このように今の学校の教師・校長は、
責任感が欠落し、責任能力が欠如している人間が大半を占めているのです。
 これが
現実であり、学校の劣化の実態であり、問題の全てであると言って良いと思います。

 私はここで、9月18日の読売新聞の、「教委いじめ担当部署
『全員が教員出身』53%『身内意識で対応甘くなる』指摘も…読売調査」と言う見出しの次の記事を思い出しました。
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教委いじめ担当部署
「全員が教員出身」53%、「身内意識で対応甘くなる」指摘も…読売調査
20220918 0500  読売

 全国主要都市の
教育委員会5割超で、いじめ問題を担当する職員全員が教員出身者で構成されていることが、読売新聞の調査でわかった。教委が適切に対応せず、深刻な事態に発展する事例が絶えない背景に、調査担当に教員出身者が多く「身内意識」や第三者の目が入らないことから、初期段階でいじめを認めないことがあると指摘されてきた。

 読売新聞の調査は5〜7月、道府県庁所在市、東京23区、政令市、中核市の計109自治体に実施。いじめ担当部署の職員構成(4月1日現在)などを尋ね、全自治体から回答を得た。

 その結果、各教委で
いじめ問題を担当する班や係の職員は10人前後が多く、職員が「全員教員出身者」だったのは58自治体で53・2%を占めた。

 教委は行政職員が大半を占める。学校現場から異動してきた
教員出身者いじめ担当に配置する理由(複数回答)は「学校現場を知っており適切な指導を期待できる」(99・1%)が最も多く、「問題発生時、すぐに学校現場に入れる」(78・9%)と続いた。

 一方、15自治体(13・8%)が教員出身者の配置に「
デメリットがある」とし、うち6自治体が教員以外に法令に詳しい行政職員やカウンセラーを配置していた。

 いじめ防止対策推進法では、深刻ないじめを「重大事態」と定め、学校や教委に
調査組織の設置を義務づけているが、教委が適切に対応せず、事態が悪化する事例は少なくない。

旭川市役所
 北海道旭川市の中学2年女子生徒が昨年3月に凍死体で見つかった問題では、女子生徒がいじめに苦しみ、学校に「死にたい」と電話したが、学校は
いじめではないと判断。市教委も調査しなかった。担当した職員は12人全員が教員出身者だった。

 女子生徒の死後、市教委は対応の不備を認め、遺族に謝罪した。市教委の第三者委員会は今月、最終報告で「市教委が積極的に関与すべきだった」と批判した。

藤川大祐・千葉大教授
 千葉大の藤川大祐教授(教育方法学)は「現場に詳しい教員出身者は一定数必要だが、
身内意識から対応が甘くなり、調査の中立性や専門性に欠ける」と指摘。「法令に詳しく、客観的に対応できる行政職員を置き、教員出身者に目を光らせるべきだ」と強調した。

 ◆ 重大事態 =2013年施行の
「いじめ防止対策推進法」で定義された。いじめで子どもの生命や心身、財産に大きな被害が生じた疑いがある事案や、長期間の不登校になった疑いのある事案を指し、教育委員会や学校調査組織の設置を義務づけている。文部科学省のガイドラインでは、被害児童生徒や保護者から申し立てがあった場合、重大事態が発生したものとして調査に当たることを求めている。
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「教委のいじめ担当者の多くが教師出身者に拠って占められている」のは、「学校現場を知っており、適切な指導を期待できるから」とされていますが、「現場」を知っていれば「適切な指導を期待できる」とは限りません。

 いじめの原因の多くが、教師に原因がなく、児童・生徒の側だけにあるのなら、期待するのは妥当ですが、
いじめの原因の大半が、教師の無能・怠慢に帰せられるのであれば、その仲間達に「適切な指導」を期待するのは見当違いで、逆効果にしかなりません。

 そもそも「いじめ事件」の増加の主な原因が教師の“劣化”であるとすれば、
“劣化”の仲間を「適切な指導を期待できる」などと考えるのは見当違いも甚だしく、今の教育業界にそのような人材は期待できません。

 戦後
日本の劣化を意図したGHQの指令により、教育の「中立・独立」を掲げて学校教育を一般行政から切り離した付けが、今回ってきているのです。中立左翼の暴走、独立は教師のやりたい放題と不良教師の温存を招き、児童・生徒教師優先の教育行政(文科省・教育委員会の日教組化、教師の働き方“改”)の犠牲になって来たのです。
 教師を希望する学生が減少したのは、多忙よりも劣化が主な原因と考えるべきです。

 教師がもはや
“聖職者”ではなく、一労働者に過ぎないとするならば、教師は児童・生徒とは利害が相反する存在と考えるべきです。良いとこ取りは許せません。

令和4年10月7日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ