G57
学校関係の重大事態(事件)の全関係者を全て無記名・匿名で報じる読賣新聞 −これが同種事件頻発の一因−
11月22日の読賣新聞は、「学校が『重大事態』として対応せず、年内にも第三者委員会設置…神戸・中3死亡」と言う見出しで、次の様に報じていました。
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学校が「重大事態」として対応せず、年内にも第三者委員会設置…神戸・中3死亡
2023/11/22 11:00 読売
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いじめ被害を訴えていた神戸市北区の市立中3年の男子生徒(15)が今年10月に自殺したとみられる問題で、生徒が亡くなる直前まで年間30日以上の欠席をしていたにもかかわらず、学校がいじめ防止対策推進法の指針に基づく「重大事態」として対応していなかったことがわかった。市教委は学校の対応に問題があった可能性があるとして、年内にも第三者委員会を設け、経緯を調べる。
国の指針では、▽児童・生徒の生命や心身、財産に大きな被害が生じた▽年間30日を目安とする長期間の欠席を余儀なくされている――といった状況を「重大事態」と規定。学校は重大事態の疑いが生じた時点で、教育委員会に報告し、事実関係を調べるよう定めている。
家族によると、男子生徒は2021年の入学直後からいじめの被害を訴え、2年生の秋頃から休みがちだった。今年も6月以降はほぼ欠席しており、10月25日に仕事などで外出していた家族が、学校から「登校していない」と連絡を受け、自宅で亡くなっているのが見つかった。
神戸市教委は、男子生徒の死亡後に調べ、欠席日数が指針の基準を超える30日以上だったことを確認したという。市教委は「なぜ亡くなる前に学校が重大事態として対応しなかったのかはわからない。第三者委の調査を通じて明らかにしたい」としている。
学校は、読売新聞の取材に対し「個別事案には答えられない」としている。
母親「第三者委事実解明を」
男子生徒の母親(51)は、読売新聞の取材に応じ「いじめを訴えても何も改善されなかった。学校はもう信用できない」と思いを吐露した。
母親によると、男子生徒は中学校に入学してすぐに「同級生に無視される」などと度々訴えるようになった。家族は学校に「いじめられている」と相談していたが、2年生の秋にも「上級生から暴力を振るわれた」「同級生にデブと言われた」などと訴えていた。
学校の不登校教室に通っていた時期もあったが、3年生になると、他の生徒と一緒に授業を受けるよう促されることが増え、再び休みがちになった。亡くなる数日前は「頭痛がする」と訴え、昼間から寝込んでいた。
亡くなった日の朝、男子生徒は仕事に向かう母親を「気をつけていっといでよ」と見送り、母親が「学校は少し行くだけでもいいからね」と返すと、「はいはーい」と応じていたという。
母親は「本当は学校に行きたくなかったはずなのに、その言葉を信じてしまい後悔している。今さら何を言っても息子は戻ってこないが、いじめはあったと思うので、第三者委でせめて事実を明らかにしてほしい」と言葉を詰まらせた。
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この記事が報じている事件(事実)は、自然現象ではなく、人為的な事件です。加害者、被害者、その間の人、第三者と、長期間にわたり多くの人がかかわっていた事件ですが、記事に出ているのは、個人・法人を問わず全て氏名・名称などの固有名詞が一切なく、これが事件の事実の報道と言えるのか疑問が感じられる記事です。
この事件で対応に問題のあった学校の担任の教師、校長他の関係した(関係すべき)職員、加害行為をした生徒とその保護者、教育委員会の委員長、関係した(関係すべき)職員の氏名などを何故報じないのでしょうか。教育業界への行き過ぎた忖度と見るほかはありません。読賣新聞は、正当な理由もなく「個別事案には答えられない」と言って回答を拒否した「学校」の職員の氏名と顔写真を公表すべきです。
この事件に限らず、子供が加害者・被害者となった事件がたびたび報じられますが、報道では関係した(すべき)教師が、取材の対象としてインタビューされる様子が報じられる事が無く、代わりに校長が登場することが通例でしたが、最近ではその校長も奥に隠れて登場せず、登場するのは教育委員会関係者だけと言うのが普通になってしまいました。
児童虐待事件で児童相談所(児相)が関与し、その職員に重大な不手際があった場合でも、児相の担当者の氏名(顔写真)が報じられる事はありません。
新聞(テレビ)記者がそれらの人に取材して,実名・顔写真付きで報じれば、少なくとも今後同様の事件を防ぐ効果は小さくないと思います。
逆に言えば今までそのような本来の報道をして来なかった(忖度した)ことが、今回の事件を引き起こした一因と言っても良いと思います。
市教委と読売は学校の責任を追及する構えのようですが、長年学校を甘やかし続けたのが、自分たちである事を忘れるべきではありません。
事件に限らず、ニュース報道は特別な理由が無い限りは、加害者、被害者を問わず、関係者の氏名・顔写真は全て(隠さず)報じるべきです。
令和5年11月26日 ご意見・ご感想は こちらへ トップへ戻る 目次へ