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旧優生保護法による不妊手術に対する「救済法案」と「死刑廃止」

 3月14日のNHKニュースは、「旧優生保護法による不妊手術の救済法案固まる 一時金320万円」と言う見出しで、次のように報じていました。
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旧優生保護法による不妊手術の救済法案固まる 一時金320万円
2019年3月14日 19時21分 NHK

 旧優生保護法のもとで
不妊手術が行われていた問題で、与党の作業チームと超党派の議員連盟は、手術を受けた人たちに支払う一時金を320万円とする案を了承しました。これで救済法案は全容が固まり、与野党は、議員立法の形で今の国会に提出することにしています。

 旧優生保護法のもと
不妊手術を受けた人たちを救済する法案について、手術を受けた人たちに支払う一時金を320万円とする案を与党の作業チームが了承したのに続き、野党も加わった超党派の議員連盟も了承し、法案は全容が固まりました。

 法案ではまず、国や立法機関などを意味する「我々」が、「真摯(しんし)に
反省し、心から深くおわびする」としています。

 救済の対象は、
本人が同意したケースも含め、精神障害や遺伝性の疾患などを理由に手術を受けたおよそ2万5000人で、専門家で構成される認定機関によって手術を受けたことが認められれば、一律320万円を支給します。

 請求は本人が都道府県に対して行い、請求期限は法律の施行から5年で、法案では、国が旧優生保護法を制定したいきさつなども調査するとしています。

 与野党は、党内での手続きを経たうえで、来月にも今の国会に提出することにしています。
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 法律は
社会情勢の変化や国民の価値観の変化で、改正されたり廃止されたりすることはごく普通のことです。しかし、その改正の効力は将来に向けて効力を持つのが普通で、過去に遡ることは普通ではありません。

 今回の「旧優生保護法」に対する対応は、
単に法律が廃止されただけであるにも拘わらず、過去に遡って“賠償金"を支払うがごとき展開になっています。
 そして、
“救済”とか“一時金”とか、ずいぶん曖昧な表現・名称のもとで、政府が一人あたり320万円もの大金支払うことが妥当なのか疑問を感じます。

 もし、このような動きが今後も続くとすれば、
“死刑”が廃止されたときは一体どうなるのかという疑問(不安)が生じます。
 
死刑は現在は合法・合憲ですが、国内外で死刑制度を違憲、違法とする動きがあり、今後違憲として(またはその他の理由で)廃止される可能性がゼロではありません。

 もしそうなったときに、今回の優生保護法の対応が前例とされると、
過去に処刑された人達に対して、“救済”が必要と言うことにならないでしょうか。遺族に対する“補償”とかの問題が出て来ないでしょうか。

 もし、
死刑廃止の時に過去の“処刑”に対して“救済金”の支払が不要であるとするならば、今回の“不妊手術”に対しても“救済金”不要と言うことになると思います。

平成31年3月16日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ