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一律低額の国民年金 2000万円でも足りない −課税と年金額をリンクさせて実所得を反映させるべき−

 7月8日の読売新聞は、「[政策分析 参院選2019]<1>年金 老後の資金 どう考える」という見出しで、次のように報じていました。
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[政策分析 参院選2019]<1>年金 老後の資金 どう考える
2019.07.08 読売 政策分析・参院選2019


 「夫婦2人暮らしで、どのくらいのお金が必要になると思いますか?」。東京都内で開かれた老後資金に関するセミナーで、講師が示す様々なデータに参加者は目を見張った。



 普通に暮らして
3376万円、海外旅行を楽しむなどゆとりある生活には6000万円――。会社員の夫(51)と参加した埼玉県の主婦(47)は「備えなくてはと思っていたが、そんなに必要とは……」と困惑気味だ。

 主催した日本ファイナンシャルアカデミー(東京)のセミナーへの申し込みは、金融審議会が
「年金以外に2000万円の老後資金が必要」などとする報告書を示して以降、2割ほど増えたという。参院選でも、年金制度や老後の生活への有権者の関心は高い。

(以下略)
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 記事にもあるように、金融審議会が
「年金以外に2000万円の老後資金が必要」などとする報告書を示して以来、年金に対する関心が高まっていますが、例として示されているのは、ほとんど厚生年金加入者(給与所得者など)のケースです。自営業者などの国民年金だけの加入者のケースはとてもそんな額ではすまないはずですが、なぜか全く無視されています。

 
国民年金の年金額は所得に拘わらず一律で、年額にして満額でも70万円程度の低額の年金しか受け取れないと言われていますが、なぜ、これが大問題にならないのでしょうか。労働組合が無いからでしょうか。あるいは定年が無いからでしょうか。

 自営業者は給与所得者と比べて、
所得の実態が把握しにくい(出来ない)というようなことが言われますが、所得の実態を把握しないで、どうやって課税しているのでしょうか。公平な課税が出来るのでしょうか。

 課税は所得の把握を前提にしているはずですから、
所得に応じた年金額の設定は容易の筈です。年金額は課税額にリンクして設定すべきです。それにより将来、今よりも手厚い年金が受け取れると言うことになれば、税務申告のモラルも向上して適正課税寄与するのでは無いでしょうか。

 厚労省の資料(平成30年度の国民年金の加入・保険料納付状況 https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/toukei/dl/k_h30.pdf)によると、平成30年の国民年金の
納付率は68.1%で7年連続の増加とのことですが、まだまだ100%には程遠い状況です。国民年金の納付率が低いのは年金額が一律低額である事が大きく影響していると思います。

 課税額と年金額をリンクさせれば、
課税額も上昇が期待でき、年金の納付率も向上し、自営業者の人達も今より安心して老後を迎えられるのでは無いでしょうか。
 なぜ国民年金だけの人達が軽視され、
課税額と年金額のリンクが実現しないのか疑問に思います。

令和元年7月8日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ