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読売新聞の“情報操作”は、“ポピュリズム”、“フェイクニュース”よりも遙かに悪質である −既に有名無実になっている「ふるさと納税」の“本来の趣旨”−

 10月4日の読売新聞は、「ふるさと納税 趣旨逸脱許さなかった総務省」という社説で、次のように論じていました。
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ふるさと納税 趣旨逸脱許さなかった総務省
2019/10/04 05:00  読売社説

 
善意の寄付で地方を応援する。そうした制度の趣旨を逸脱した行為はやはり看過できないという判断なのだろう。

 総務省は大阪府泉佐野市をふるさと納税制度から外した決定を維持し、引き続き対象外とすると発表した。総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」から
再検討を勧告されていた。

 
泉佐野市豪華な返礼品の提供で、巨額の寄付を集めてきた。総務省は6月から「寄付額の3割以下の地場産品」という返礼品の基準を定めた法律を施行し、従ってこなかった泉佐野市を除外した。この処分の是非が焦点だった。

 委員会は「
過去の寄付集めだけを理由にした除外はできない」として再考を迫った。これに対し、総務省は「過去の事実関係を除外の基準の一つにすることは許容されるべきだ」と説明した。

 委員会の勧告を受け入れなかったのは、豪華な返礼品がふるさと
納税制度をゆがめる事態に歯止めをかける意思の表れと言える。

 泉佐野市は2月から「
閉店キャンペーン」と称し、うなぎや肉などの返礼品に加え、インターネット通販「アマゾン」のギフト券を提供した。法施行前の駆け込み寄付を狙ったのは明らかである。

 大半の自治体は、6月の法施行後の基準に沿うよう返礼品の内容を見直した。「不当な募集を行った泉佐野市が同じようにふるさと納税制度に参加できれば、他の自治体の納得は得られない」と総務省が指摘したのは
うなずける。

 ふるさと納税では、居住地と違う自治体に寄付すると、それに近い額が住民税などから差し引かれる。
本来税金を納めてもらうはずだった自治体にすれば、制度の趣旨を逸脱した泉佐野市に税収を奪われたという思いは強い。

 ただ、国が自治体に対して不利益な処分を科す際には、明確な法的根拠が必要だ。
法施行前の行為を理由にした総務省の処分を委員会が問題視したのも一理ある。

 処分の正当性に関する法的な裏付けについて今回、総務省が十分説明できているとは言い難い。

 泉佐野市は強く反発しており、大阪高裁に提訴する考えだ。今後の裁判では、
総務省が説得力のある処分の根拠をどこまで示せるかが、鍵を握るだろう。

 ふるさと納税には、
地方の活性化を後押しする役割がある。国と自治体が反目するのは、あるべき姿ではない。双方が連携して、制度の趣旨に対する理解を広げ、善意の寄付文化を根付かせていくことが求められる。
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 そもそも「ふるさと納税」という呼称は、実態を表していない
“詐称”であり、“ふるさと”の“趣旨”を逸脱した行為が横行しているにも拘わらず、これを取り締まることもせず(出来ず)、一部の人気の地場産品に恵まれた自治体だけが不当な利益を得ているのが実態です。
 
 更に言えば、“ふるさと納税の
趣旨”などは 明文化されたものは何も見当たりません。仮に決められていなくても、“自分の故郷に納税(寄付)をした者の現在の住民税の金額から、寄付した金額に相当する額を見返りとして減額する”というのが趣旨だとしても、“納税(寄付)”に当たって故郷がどこであるかは誰も確認していません。
 “寄付”をしている者の中には、寄付を受ける
自治体とは無縁の者が多数混在しており、彼等にとっては2,000円の負担で、所得に応じてたくさんの特産品が只で貰えるネット通販、と言う感覚だと思われます。

 結局、得をしているのは
特産品に恵まれた各地の市町村と、多額の住民税を負担している高額所得者だけで、損をしているのは特産品に恵まれない都道府県・市町村です。“ふるさと云々”とは無縁の、特殊なネット通販という結果が現実のものとなっているのです。

 読売新聞はこういう
現実・実態を知らないのでしょうか。もし、知らないのであれば、その一事をもってマスコミ失格の烙印を押して良いと思います。知っていてとぼけているのなら、その罪は重いと思います。

 読売新聞は
“ポピュリズム”、とか“フェイクニュース”とか言って、他人の(特にネット上の)言論を批判することがしばしばですが、読売新聞の“とぼける”、“隠す”はそれらよりも遙かに悪質な情報操作だと思います。そして更に、これは読売一社に限らない、すべてのマスコミに共通する罪と言って良いと思います。

令和元年10月9日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ