H119
公職選挙法に感じられる有権者軽視、候補者(政治家)蔑視の視線 −河井前法相と妻の案里議員の事件が示す、政治家の劣化と選挙が有効に機能していない現実−

 3月3日のNHKニュースは、「河井前法相と妻の案里議員の秘書ら逮捕 運動員買収の疑い 地検」と言うタイトルで、次のように報じていました。
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河井前法相と妻の案里議員の秘書ら逮捕 運動員買収の疑い 地検
2020年3月3日 14時09分  NHK



 自民党の
河井案里議員の陣営による選挙違反事件で、広島地方検察庁は去年の参議院選挙でいわゆるウグイス嬢に法律の規定を超える報酬を支払ったとして、河井克行前法務大臣の政策秘書と案里議員の公設秘書ら3人を公職選挙法違反運動員買収の疑いで逮捕しました。

 逮捕されたのは、河井克行前法務大臣の政策秘書、高谷真介容疑者(43)と案里議員の公設第二秘書、立道浩容疑者(54)、それに陣営の幹部だった脇雄吾容疑者(71)の合わせて3人です。

 広島地検の調べによりますと、秘書らは河井案里議員の去年7月の参議院選挙で、
ウグイス嬢に法律の規定を超える報酬を支払ったとして、公職選挙法違反の運動員買収の疑いが持たれています。

 検察はことし1月、河井議員夫妻の地元事務所や自宅マンションなどを捜索するとともに、秘書や陣営幹部、
ウグイス嬢からも幅広く事情を聴き、容疑が固まったとして逮捕に踏み切りました。

 
ウグイス嬢の報酬の上限は公職選挙法で1日1万5000円と規定されていますが、河井議員の陣営はその倍の3万円を支払っていた疑いが出ています。

 捜査関係者によりますと、立道公設秘書は逮捕前の事情聴取に対し、規定を超える報酬の支払いを認めているということです。検察は、違法な報酬の決定などにほかにも関与した人物がいないか、詳しく調べることにしています。

 河井前法務大臣は疑惑が報じられた去年10月、記者団に対し「報道の件は、わたしも妻もまったくあずかり知らないところだが、今後、しっかりと調査して、説明責任を果たしていきたい」と述べ、その後は「刑事事件として捜査が始まっているので、コメントは控えたい」と話していました。

(以下略)
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 問題となっている公職選挙法の該当部分は次の通りです。
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第十六章 罰則

(買収及び利害誘導罪)
第二百二十一条 次の各号に掲げる行為をした者は、
三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
 一 
当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき。
 二 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対しその者又はその者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して誘導をしたとき。
 三 投票をし若しくはしないこと、選挙運動をし若しくはやめたこと又はその周旋勧誘をしたことの報酬とする目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し第一号に掲げる行為をしたとき。
 四 第一号若しくは前号の供与、供応接待を受け若しくは要求し、第一号若しくは前号の申込みを承諾し又は第二号の誘導に応じ若しくはこれを促したとき。
 五 第一号から第三号までに掲げる行為をさせる目的をもつて選挙運動者に対し
金銭若しくは物品の交付、交付の申込み若しくは約束をし又は選挙運動者がその交付を受け、その交付を要求し若しくはその申込みを承諾したとき。
 六 前各号に掲げる行為に関し周旋又は勧誘をしたとき。
2 中央選挙管理会の委員若しくは中央選挙管理会の庶務に従事する総務省の職員、選挙管理委員会の委員若しくは職員、投票管理者、開票管理者、選挙長若しくは選挙分会長又は選挙事務に関係のある国若しくは地方公共団体の公務員が当該選挙に関し前項の罪を犯したときは、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。公安委員会の委員又は警察官がその関係区域内の選挙に関し前項の罪を犯したときも、また同様とする。
3 次の各号に掲げる者が第一項の罪を犯したときは、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
 一 公職の候補者
 二 選挙運動を総括主宰した者
 三 出納責任者(公職の候補者又は出納責任者と意思を通じて当該公職の候補者のための選挙運動に関する支出の金額のうち第百九十六条の規定により告示された額の二分の一以上に相当する額を支出した者を含む。)
 四 三以内に分けられた選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)の地域のうち一又は二の地域における選挙運動を主宰すべき者として第一号又は第二号に掲げる者から定められ、当該地域における選挙運動を主宰した者
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 この条文では選挙運動者への金銭(報酬)の支払は、
金額を問わず禁止されていて、15,000円の制限は、別に政令で定められているようですが、その条文を探し出すことは出来ませんでした。
 今回問題となった選挙運動員(法律上は選挙運動者)への報酬支払いですが、なぜ
金額の制限が必要で、違反者を処罰しなければならないのでしょうか。

 そもそも
運動員はその選挙区に居住する者(有権者)とは限らないはずで、居住者(有権者)で無い場合には、その報酬金額の多寡は候補者の当落にはほとんど影響がないように思います。それにも関わらず、これを「買収」として処罰する事には首を傾げざるを得ません。
 買収とは、有権者に対してするもので、
運動員に対する買収とは奇異の感を拭えません。

 インターネットで下記のようなページを見つけましたので、参考までに添付しますが、直接の説明はありません。
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弁護士法人 中村和洋法律事務所
http://www.k-nakamura-law.jp/risk04.html
1 公職選挙法違反について
平成21年夏の衆議院選挙では、皆様ご承知のとおり、劇的な政権交代が行われました。
私の住んでいる地域でも、熾烈な選挙戦が行われ、現職の2世議員を破って、若い新人候補が当選しました。
この政権交代によって、経済や福祉など、これからの日本がどうなっていくのかについては、興味が尽きないところです。
他方、昨年の選挙においても、過去の例にもれず、各地で選挙違反が摘発されています。
そこで、今回の「企業活動における刑事リスクについて」では、トピックとして、公職選挙法違反を取り上げます。

2 買収行為
1.投票買収と
運動買収
「選挙違反」という言葉を聞いて、真っ先に思いつくのが、買収行為ではないでしょうか。
公職選挙法221条1項では、「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもって選挙人又は
選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき」には、3年以下の懲役・禁錮又は50万円以下の罰金に処するとされています。なお、候補者、出納責任者、選挙運動を主宰した者がこの罪を犯したときには、より重くなり、4年以下の懲役・禁錮又は100万円以下の罰金に処するとされています。
これは、典型的には、Aさんに投票をしてくださいということを
有権者に依頼して、その対価としてお金を渡すという行為を指し、これを「投票買収」といいます。
このような行為が選挙違反に当たるということは当然であり、誰でも知っていると思います。
そればかりではなく、この条文では、
「選挙運動者」も対象になっています。例えば、Aさんの選挙運動を一緒に手伝ってビラ配りをしてくださいと依頼して、その対価としてお金を渡す行為も、「運動買収」として犯罪になります。運動員にもお金を渡してはいけない、つまり、原則として選挙運動をする人はボランティアでなければならないということをご存じでない方が意外に多いようです。

2.お金をもらった人も罪になる
この「投票買収」と「運動買収」については、頼んだ側だけではなく、頼まれて
お金をもらった側も罪になります。
公職選挙法221条4項では「供与、供応接待を受け若しくは要求し」た者も、同じく
3年以下の懲役・禁錮若しくは50万円以下の罰金に処するとされています。
よくある事例が、選挙運動を手伝ってもらうためにアルバイトを雇うというものですが、この場合、アルバイトをした人も、処罰されることがありまいますので、注意が必要です。

3.
お金を払ってもいい場合とは?
選挙運動に関係する人であっても、例外的にお金を支払ってもよい場合があります。
その例外は、@旅費・交通費等の実費、
Aウグイス嬢等のもっぱら車上等における選挙運動のために使用する者、B手話通訳、Cハガキの宛名書き等機械的な労務を行う労務者・事務員です。
また、これらの者に報酬を支給するためには、立候補の届出後、文書で選挙管理委員会に届け出る必要があり、報酬の額も、事務員は1万円、
車上等運動員及び手話通訳者は1万5000円以内というように、上限があります。
それでは、事務員として届け出た人にその対価として報酬を払いつつ、それ以外の時間で、ボランティアで選挙運動をしてもらうということは可能でしょうか。
答えは、原則としてNoであり、もっぱら事務に従事してくれる人であるという認識の下でない限り、選挙運動を多くしている人であることがわかって報酬を払った以上は、買収罪になってしまいます(東京高等裁判所昭和47年3月27日判決)。
また、有権者に直接働きかける行動をせず、事務所内だけで勤務している人であっても、選挙運動の計画・立案に従事して、運動員に指示をしているような場合は、結局は選挙運動をとりまとめていることになりますので、そのような人に報酬を払うことはできません。

(以下略)
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 このような疑問が生じたため、問題の
「公職選挙法」を少し調べてみました。

 法律の条文は下記の通りです。非常に膨大な代物ですが、この膨大で冗長であるところが大きな問題と認識しましたので、少し量が多いのですが、紹介させて頂きます。
項目名と条番号を赤字で表記したのは、注目した条項です)
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公職選挙法
 第一章 総則(第一条−第八条)
 第二章 選挙権及び被選挙権(第九条−第十一条の二)
 第三章 選挙に関する区域(第十二条−第十八条)
 第四章 選挙人名簿(第十九条−第三十条)
 第四章の二 在外選挙人名簿(第三十条の二−第三十条の十六)
 第五章 選挙期日(第三十一条−第三十四条の二)
 第六章 投票(第三十五条−第六十条)
 第七章 開票(第六十一条−第七十四条)
 第八章 選挙会及び選挙分会(第七十五条−第八十五条)
 第九章 公職の候補者(第八十六条−第九十四条)
 第十章 当選人(第九十五条−第百八条)
 第十一章 特別選挙(第百九条−第百十八条)
 第十二章 選挙を同時に行うための特例(第百十九条−第百二十八条)
(以上は省略)
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 第十三章 選挙運動

選挙運動の期間
百二十九条 選挙運動は、各選挙につき、それぞれ第八十六条第一項から第三項まで若しくは第八項の規定による候補者の届出、第八十六条の二第一項の規定による衆議院名簿の届出、第八十六条の三第一項の規定による参議院名簿の届出(同条第二項において準用する第八十六条の二第九項前段の規定による届出に係る候補者については、当該届出)又は第八十六条の四第一項、第二項、第五項、第六項若しくは第八項の規定による公職の候補者の届出のあつた日から当該選挙の期日の前日まででなければ、することができない。
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 まずこの選挙運動期間ですが、この条項によって実際に行われる選挙の実際の運動期間は、ほとんどが20日前後ですが、これはアメリカの大統領選挙が予備選挙を含めて約10か月にわたって行われるのと比べても、非常に短く、公示されたと思ったら、10日も経てば中盤戦で、2週間過ぎれば早くも終盤戦を迎えるという慌ただしさです。候補者の主張は似たようなものが多く、論点が整理、絞られる前に投票日を迎えてしまいます。
 今の
選挙運動期間は短すぎます
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百三十条(選挙事務所の設置及び届出) 選挙事務所は、次に掲げるものでなければ、設置することができない。
 一 衆議院(小選挙区選出)議員の選挙にあつては、公職の候補者又はその推薦届出者(推薦届出者が数人あるときは、その代表者。以下この条、次条及び第百三十九条において同じ。)及び候補者届出政党
 二 衆議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては、衆議院名簿届出政党等
 三 参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては、参議院名簿届出政党等及び公職の候補者たる参議院名簿登載者
 四 前三号に掲げる選挙以外の選挙にあつては、公職の候補者又はその推薦届出者
2 前項各号に掲げるものは、選挙事務所を設置したときは、直ちにその旨を、市町村の選挙以外の選挙については当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会及び当該選挙事務所が設置された都道府県の選挙管理委員会)及び当該選挙事務所が設置された市町村の選挙管理委員会に、市町村の選挙については当該市町村の選挙管理委員会に届け出なければならない。選挙事務所に異動があつたときも、また同様とする。

選挙事務所の数
百三十一条 前条第一項各号に掲げるものが設置する選挙事務所は、次の区分による数を超えることができない。ただし、政令で定めるところにより、交通困難等の状況のある区域においては、第一号の選挙事務所にあつては三箇所まで、第四号の選挙事務所にあつては五箇所まで、それぞれ設置することができる。
 一 衆議院(小選挙区選出)議員の選挙における選挙事務所は、候補者又はその推薦届出者が設置するものにあつてはその候補者一人につき一箇所、候補者届出政党が設置するものにあつてはその候補者届出政党が届け出た候補者に係る選挙区ごとに一箇所
 二 衆議院(比例代表選出)議員の選挙における衆議院名簿届出政党等の選挙事務所は、その衆議院名簿届出政党等が届け出た衆議院名簿に係る選挙区の区域内の都道府県ごとに、一箇所
 三 参議院(比例代表選出)議員の選挙における選挙事務所は、参議院名簿届出政党等が設置するものにあつては都道府県ごとに一箇所、公職の候補者たる参議院名簿登載者が設置するものにあつてはその参議院名簿登載者一人につき一箇所
 四 参議院(選挙区選出)議員又は都道府県知事の選挙における選挙事務所は、その公職の候補者一人につき、一箇所
 五 地方公共団体の議会の議員又は市町村長の選挙における選挙事務所は、その公職の候補者一人につき、一箇所
2 前項各号の選挙事務所については、当該選挙事務所を設置したものは、当該選挙事務所ごとに、一日につき一回を超えて、これを移動(廃止に伴う設置を含む。)することができない。
3 第一項第一号から第四号までの選挙事務所については、当該選挙事務所を設置したものは、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会)が交付する標札を、選挙事務所を表示するために、その入口に掲示しなければならない。

(選挙当日の選挙事務所の制限)
第百三十二条 選挙事務所は、第百二十九条の規定にかかわらず、選挙の当日においても、当該投票所を設けた場所の入口から三百メートル以外の区域に限り、設置することができる。

休憩所等の禁止
百三十三条 休憩所その他これに類似する設備は、選挙運動のため設けることができない。

選挙事務所の閉鎖命令
百三十四条 第百三十条第一項、第百三十一条第三項又は第百三十二条の規定に違反して選挙事務所の設置があると認めるときは、市町村の選挙以外の選挙については当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会又は当該選挙事務所が設置された都道府県の選挙管理委員会)又は当該選挙事務所が設置された市町村の選挙管理委員会、市町村の選挙については当該市町村の選挙管理委員会は、直ちにその選挙事務所の閉鎖を命じなければならない。
2 第百三十一条第一項の規定による定数を超えて選挙事務所の設置があると認めるときは、その超過した数の選挙事務所についても、また前項と同様とする。

選挙事務関係者の選挙運動の禁止
百三十五条 第八十八条に掲げる者は、在職中、その関係区域内において、選挙運動をすることができない。
2 不在者投票管理者は、不在者投票に関し、その者の業務上の地位を利用して選挙運動をすることができない。

特定公務員の選挙運動の禁止
百三十六条 左の各号に掲げる者は、在職中、選挙運動をすることができない。
 一 中央選挙管理会の委員及び中央選挙管理会の庶務に従事する総務省の職員並びに選挙管理委員会の委員及び職員
 二 裁判官
 三 検察官
 四 会計検査官
 五 公安委員会の委員
 六 警察官
 七 収税官吏及び徴税の吏員

公務員等の地位利用による選挙運動の禁止
百三十六条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、その地位を利用して選挙運動をすることができない。
 一 国若しくは地方公共団体の公務員又は特定独立行政法人若しくは特定地方独立行政法人の役員若しくは職員
 二 沖縄振興開発金融公庫の役員又は職員(以下「公庫の役職員」という。)
2 前項各号に掲げる者が公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)を推薦し、支持し、若しくはこれに反対する目的をもつてする次の各号に掲げる行為又は公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)である同項各号に掲げる者が公職の候補者として推薦され、若しくは支持される目的をもつてする次の各号に掲げる行為は、同項に規定する禁止行為に該当するものとみなす。
 一 その地位を利用して、公職の候補者の推薦に関与し、若しくは関与することを援助し、又は他人をしてこれらの行為をさせること。
 二 その地位を利用して、投票の周旋勧誘、演説会の開催その他の選挙運動の企画に関与し、その企画の実施について指示し、若しくは指導し、又は他人をしてこれらの行為をさせること。
 三 その地位を利用して、第百九十九条の五第一項に規定する後援団体を結成し、その結成の準備に関与し、同項に規定する後援団体の構成員となることを勧誘し、若しくはこれらの行為を援助し、又は他人をしてこれらの行為をさせること。
 四 その地位を利用して、新聞その他の刊行物を発行し、文書図画を掲示し、若しくは頒布し、若しくはこれらの行為を援助し、又は他人をしてこれらの行為をさせること。
 五 公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)を推薦し、支持し、若しくはこれに反対することを申しいで、又は約束した者に対し、その対価として、その職務の執行に当たり、当該申しいで、又は約束した者に係る利益を供与し、又は供与することを約束すること。

教育者の地位利用の選挙運動の禁止
百三十七条 教育者(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する学校の長及び教員をいう。)は、学校の児童、生徒及び学生に対する教育上の地位を利用して選挙運動をすることができない。

未成年者の選挙運動の禁止
百三十七条の二 年齢満二十年未満の者は、選挙運動をすることができない。
2 何人も、年齢満二十年未満の者を使用して選挙運動をすることができない。但し、選挙運動のための労務に使用する場合は、この限りでない。

選挙権及び被選挙権を有しない者の選挙運動の禁止
百三十七条の三 第二百五十二条又は政治資金規正法第二十八条の規定により選挙権及び被選挙権を有しない者は、選挙運動をすることができない。

百三十八条(戸別訪問) 何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて戸別訪問をすることができない。
2 いかなる方法をもつてするを問わず、選挙運動のため、戸別に、演説会の開催若しくは演説を行うことについて告知をする行為又は特定の候補者の氏名若しくは政党その他の政治団体の名称を言いあるく行為は、前項に規定する禁止行為に該当するものとみなす。

百三十八条の二署名運動の禁止) 何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人に対し署名運動をすることができない。

人気投票の公表の禁止
百三十八条の三 何人も、選挙に関し、公職に就くべき者(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数若しくは公職に就くべき順位)を予想する人気投票の経過又は結果を公表してはならない。

飲食物の提供の禁止
百三十九条 何人も、選挙運動に関し、いかなる名義をもつてするを問わず、飲食物(湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の菓子を除く。)を提供することができない。ただし、衆議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙において、選挙運動(衆議院小選挙区選出議員の選挙において候補者届出政党が行うもの及び参議院比例代表選出議員の選挙において参議院名簿届出政党等が行うものを除く。以下この条において同じ。)に従事する者及び選挙運動のために使用する労務者に対し、公職の候補者一人について、当該選挙の選挙運動の期間中、政令で定める弁当料の額の範囲内で、かつ、両者を通じて十五人分(四十五食分)(第百三十一条第一項の規定により公職の候補者又はその推薦届出者が設置することができる選挙事務所の数が一を超える場合においては、その一を増すごとにこれに六人分(十八食分)を加えたもの)に、当該選挙につき選挙の期日の公示又は告示のあつた日からその選挙の期日の前日までの期間の日数を乗じて得た数分を超えない範囲内で、選挙事務所において食事するために提供する弁当(選挙運動に従事する者及び選挙運動のために使用する労務者が携行するために提供された弁当を含む。)については、この限りでない。

気勢を張る行為の禁止
百四十条 何人も、選挙運動のため、自動車を連ね又は隊伍を組んで往来する等によつて気勢を張る行為をすることができない。

連呼行為の禁止
百四十条の二 何人も、選挙運動のため、連呼行為をすることができない。ただし、演説会場及び街頭演説(演説を含む。)の場所においてする場合並びに午前八時から午後八時までの間に限り、次条の規定により選挙運動のために使用される自動車又は船舶の上においてする場合は、この限りでない。
2 前項ただし書の規定により選挙運動のための連呼行為をする者は、学校(学校教育法第一条に規定する学校をいう。以下同じ。)及び病院、診療所その他の療養施設の周辺においては、静穏を保持するように努めなければならない。

自動車、船舶及び拡声機の使用
百四十一条 次の各号に掲げる選挙においては、主として選挙運動のために使用される自動車(道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第九号に規定する自動車をいう。以下同じ。)又は船舶及び拡声機(携帯用のものを含む。以下同じ。)は、公職の候補者一人について当該各号に定めるもののほかは、使用することができない。ただし、拡声機については、個人演説会(演説を含む。)の開催中、その会場において別に一そろいを使用することを妨げるものではない。
 一 衆議院(小選挙区選出)議員、参議院(選挙区選出)議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長の選挙 自動車(その構造上宣伝を主たる目的とするものを除く。次号において同じ。)一台又は船舶一隻及び拡声機一そろい
 二 参議院(比例代表選出)議員の選挙 自動車二台又は船舶二隻(両者を使用する場合は通じて二)及び拡声機二そろい
2 前項の規定にかかわらず、衆議院(小選挙区選出)議員の選挙においては、候補者届出政党は、その届け出た候補者に係る選挙区を包括する都道府県ごとに、自動車一台又は船舶一隻及び拡声機一そろいを、当該都道府県における当該候補者届出政党の届出候補者(当該都道府県の区域内の選挙区において当該候補者届出政党が届け出た候補者をいう。以下同じ。)の数が三人を超える場合においては、この超える数が十人を増すごとにこれらに加え自動車一台又は船舶一隻及び拡声機一そろいを、主として選挙運動のために使用することができる。ただし、拡声機については、政党演説会(演説を含む。)の開催中、その会場において別に一そろいを使用するができる。
3 衆議院(比例代表選出)議員の選挙においては、衆議院名簿届出政党等は、その届け出た衆議院名簿に係る選挙区ごとに、自動車一台又は船舶一隻及び拡声機一そろいを、当該選挙区における当該衆議院名簿届出政党等の衆議院名簿登載者の数が五人を超える場合においては、その超える数が十人を増すごとにこれらに加え自動車一台又は船舶一隻及び拡声機一そろいを、主として選挙運動のために使用することができる。ただし、拡声機については、政党等演説会(演説を含む。)の開催中、その会場において別に一そろいを使用することを妨げるものではない。
4 衆議院(比例代表選出)議員の選挙においては、主として選挙運動のために使用される自動車、船舶及び拡声機は、前項の規定により衆議院名簿届出政党等が使用するもののほかは、使用することができない。
5 第一項本文、第二項本文又は第三項本文の規定により選挙運動のために使用される自動車、船舶又は拡声機には、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会)の定めるところの表示(自動車と船舶については、両者に通用する表示)をしなければならない。
6 第一項の自動車は、町村の議会の議員又は長の選挙以外の選挙にあつては政令で定める乗用の自動車に、町村の議会の議員又は長の選挙にあつては政令で定める乗用の自動車又は小型貨物自動車(道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第三条の規定に基づき定められた小型自動車に該当する貨物自動車をいう。)に限るものとする。
7 衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院議員の選挙においては、公職の候補者は、政令で定めるところにより、政令で定める額の範囲内で、第一項の自動車を無料で使用することができる。ただし、衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙にあつては当該公職の候補者に係る供託物が第九十三条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)の規定により国庫に帰属することとならない場合に、参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては当該公職の候補者たる参議院名簿登載者が当該参議院名簿登載者に係る参議院名簿届出政党等の第九十四条第三項第一号に掲げる数に相当する当選人となるべき順位までにある場合に限る。
8 都道府県の議会の議員又は長の選挙については都道府県は、市の議会の議員又は長の選挙については市は、それぞれ、前項の規定(参議院比例代表選出議員の選挙に係る部分を除く。)に準じて、条例で定めるところにより、公職の候補者の第一項の自動車の使用について、無料とすることができる。

自動車等の乗車制限
百四十一条の二 前条第一項の規定により選挙運動のために使用される自動車又は船舶に乗車又は乗船する者は、公職の候補者(衆議院比例代表選出議員の選挙における候補者で当該選挙と同時に行われる衆議院小選挙区選出議員の選挙における候補者である者以外のものを除く。次項において同じ。)、運転手(自動車一台につき一人に限る。同項において同じ。)及び船員を除き、自動車一台又は船舶一隻について、四人を超えてはならない。
2 前条第一項の規定により選挙運動のために使用される自動車又は船舶に乗車又は乗船する者(公職の候補者、運転手及び船員を除く。)は、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会)の定めるところにより、一定の腕章を着けなければならない。

車上の選挙運動の禁止
百四十一条の三 何人も、第百四十一条の規定により選挙運動のために使用される自動車の上においては、選挙運動をすることができない。ただし、停止した自動車の上において選挙運動のための演説をすること及び第百四十条の二第一項ただし書の規定により自動車の上において選挙運動のための連呼行為をすることは、この限りでない。

文書図画の頒布
百四十二条 衆議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙においては、選挙運動のために使用する文書図画は、次の各号に規定する通常葉書並びに第一号から第三号まで及び第五号から第七号までに規定するビラのほかは、頒布することができない。この場合において、ビラについては、散布することができない。
 一 衆議院(小選挙区選出)議員の選挙にあつては、候補者一人について、通常葉書 三万五千枚、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に届け出た二種類以内のビラ 七万枚
 一の二 参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては、公職の候補者たる参議院名簿登載者一人について、通常葉書 十五万枚、中央選挙管理会に届け出た二種類以内のビラ 二十五万枚
 二 参議院(選挙区選出)議員の選挙にあつては、候補者一人について、当該都道府県の区域内の衆議院(小選挙区選出)議員の選挙区の数が一である場合には、通常葉書 三万五千枚、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に届け出た二種類以内のビラ 十万枚、当該都道府県の区域内の衆議院(小選挙区選出)議員の選挙区の数が一を超える場合には、その一を増すごとに、通常葉書 二千五百枚を三万五千枚に加えた数、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に届け出た二種類以内のビラ 一万五千枚を十万枚に加えた数(その数が三十万枚を超える場合には、三十万枚)
 三 都道府県知事の選挙にあつては、候補者一人について、当該都道府県の区域内の衆議院(小選挙区選出)議員の選挙区の数が一である場合には、通常葉書 三万五千枚、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に届け出た二種類以内のビラ 十万枚、当該都道府県の区域内の衆議院(小選挙区選出)議員の選挙区の数が一を超える場合には、その一を増すごとに、通常葉書 二千五百枚を三万五千枚に加えた数、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に届け出た二種類以内のビラ 一万五千枚を十万枚に加えた数(その数が三十万枚を超える場合には、三十万枚)
 四 都道府県の議会の議員の選挙にあつては、候補者一人について、通常葉書 八千枚
 五 指定都市の選挙にあつては、長の選挙の場合には、候補者一人について、通常葉書 三万五千枚、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に届け出た二種類以内のビラ 七万枚、議会の議員の選挙の場合には、候補者一人について、通常葉書 四千枚
 六 指定都市以外の市の選挙にあつては、長の選挙の場合には、候補者一人について、通常葉書 八千枚、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に届け出た二種類以内のビラ 一万六千枚、議会の議員の選挙の場合には、候補者一人について、通常葉書 二千枚
 七 町村の選挙にあつては、長の選挙の場合には、候補者一人について、通常葉書 二千五百枚、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に届け出た二種類以内のビラ 五千枚、議会の議員の選挙の場合には、候補者一人について、通常葉書八百枚
2 前項の規定にかかわらず、衆議院(小選挙区選出)議員の選挙においては、候補者届出政党は、その届け出た候補者に係る選挙区を包括する都道府県ごとに、二万枚に当該都道府県における当該候補者届出政党の届出候補者の数を乗じて得た数以内の通常葉書及び四万枚に当該都道府県における当該候補者届出政党の届出候補者の数を乗じて得た数以内のビラを、選挙運動のために頒布(散布を除く。)することができる。ただし、ビラについては、その届け出た候補者に係る選挙区ごとに四万枚以内で頒布するほかは、頒布することができない。
3 衆議院(比例代表選出)議員の選挙においては、衆議院名簿届出政党等は、その届け出た衆議院名簿に係る選挙区ごとに、中央選挙管理会に届け出た二種類以内のビラを、選挙運動のために頒布(散布を除く。)することができる。
4 衆議院(比例代表選出)議員の選挙においては、選挙運動のために使用する文書図画は、前項の規定により衆議院名簿届出政党等が頒布することができるビラのほかは、頒布することができない。
5 第一項の通常葉書は無料とし、第二項の通常葉書は有料とし、政令で定めるところにより、郵便事業株式会社において選挙用である旨の表示をしたものでなければならない。
6 第一項第一号から第三号まで及び第五号から第七号まで、第二項並びに第三項のビラは、新聞折込みその他政令で定める方法によらなければ、頒布することができない。
7 第一項第一号から第三号まで及び第五号から第七号まで並びに第二項のビラは、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会。以下この項において同じ。)の定めるところにより、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会の交付する証紙をはらなければ頒布することができない。この場合において、第二項のビラについて当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会の交付する証紙は、当該選挙の選挙区ごとに区分しなければならない。
8 第一項第一号から第三号まで及び第五号から第七号までのビラは長さ二十九・七センチメートル、幅二十一センチメートルを、第二項のビラは長さ四十二センチメートル、幅二十九・七センチメートルを、超えてはならない。
9 第一項第一号から「第三号まで及び第五号から第七号まで、第二項並びに第三項のビラには、その表面に頒布責任者及び印刷者の氏名(法人にあつては名称)及び住所を記載しなければならない。この場合において、第一項第一号の二のビラにあつては当該参議院名簿登載者に係る参議院名簿届出政党等の名称及び同号のビラである旨を表示する記号を、第二項のビラにあつては当該候補者届出政党の名称を、第三項のビラにあつては当該衆議院名簿届出政党等の名称及び同項のビラである旨を表示する記号を、併せて記載しなければならない。
10 衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院議員の選挙における公職の候補者は、政令で定めるところにより、政令で定める額の範囲内で、第一項第一号から第二号までの通常葉書及びビラを無料で作成することができる。この場合においては、第百四十一条第七項ただし書の規定を準用する。
11 都道府県知事の選挙については都道府県は、市長の選挙については市は、それぞれ、前項の規定(参議院比例代表選出議員の選挙に係る部分を除く。)に準じて、条例で定めるところにより、公職の候補者の第一項第三号、第五号及び第六号のビラの作成について、無料とすることができる。
12 選挙運動のために使用する回覧板その他の文書図画又は看板(プラカードを含む。以下同じ。)の類を多数の者に回覧させることは、第一項から第四項までの頒布とみなす。ただし、第百四十三条第一項第二号に規定するものを同号に規定する自動車又は船舶に取り付けたままで回覧させること、及び公職の候補者(衆議院比例代表選出議員の選挙における候補者で当該選挙と同時に行われる衆議院小選挙区選出議員の選挙における候補者である者以外のものを除く。)が同項第三号に規定するものを着用したままで回覧することは、この限りでない。
13 衆議院議員の総選挙については、衆議院の解散に関し、公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)の氏名又はこれらの者の氏名が類推されるような事項を表示して、郵便等又は電報により、選挙人にあいさつする行為は、第一項の禁止行為に該当するものとみなす。

パンフレット又は書籍の頒布
百四十二条の二 前条第一項及び第四項の規定にかかわらず、衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙においては、候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等は、当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等の本部において直接発行するパンフレット又は書籍で国政に関する重要政策及びこれを実現するための基本的な方策等を記載したもの又はこれらの要旨等を記載したものとして総務大臣に届け出たそれぞれ一種類のパンフレット又は書籍を、選挙運動のために頒布(散布を除く。)することができる。
2 前項のパンフレット又は書籍は、次に掲げる方法によらなければ、頒布することができない。
 一 当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等の選挙事務所内、政党演説会若しくは政党等演説会の会場内又は街頭演説の場所における頒布
 二 当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等に所属する者(参議院名簿登載者を含む。次項において同じ。)である当該衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙における公職の候補者の選挙事務所内、個人演説会の会場内又は街頭演説の場所における頒布
3 第一項のパンフレット又は書籍には、当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等に所属する者である当該衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙における公職の候補者(当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等の代表者を除く。)の氏名又はその氏名が類推されるような事項を記載することができない。
4 第一項のパンフレット及び書籍には、その表紙に、当該候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等の名称、頒布責任者及び印刷者の氏名(法人にあつては名称)及び住所並びに同項のパンフレット又は書籍である旨を表示する記号を記載しなければならない。

文書図画の掲示
百四十三条 選挙運動のために使用する文書図画は、次の各号のいずれかに該当するもの(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては、第一号、第二号、第四号及び第五号に該当するものであつて衆議院名簿届出政党等が使用するもの)のほかは、掲示することができない。
 一 選挙事務所を表示するために、その場所において使用するポスター、立札、ちょ
うちん及び看板の類
 二 第百四十一条の規定により選挙運動のために使用される自動車又は船舶に取り付けて使用するポスター、立札、ちようちん及び看板の類
 三 公職の候補者が使用するたすき、胸章及び腕章の類
 四 演説会場においてその演説会の開催中使用するポスター、立札、ちようちん及び看板の類
 四の二 個人演説会告知用ポスター(衆議院小選挙区選出議員、参議院選挙区選出議員又は都道府県知事の選挙の場合に限る。)
 五 前各号に掲げるものを除くほか、選挙運動のために使用するポスター(参議院比例代表選出議員の選挙にあつては、公職の候補者たる参議院名簿登載者が使用するものに限る。)
2 選挙運動のために、アドバルーン、ネオン・サイン又は電光による表示、スライドその他の方法による映写等の類を掲示する行為は、前項の禁止行為に該当するものとみなす。
3 衆議院(小選挙区選出)議員、参議院(選挙区選出)議員又は都道府県知事の選挙については、第一項第四号の二の個人演説会告知用ポスター及び同項第五号の規定により選挙運動のために使用するポスター(衆議院小選挙区選出議員の選挙において候補者届出政党が使用するものを除く。)は、第百四十四条の二第一項の規定により設置されたポスターの掲示場ごとに公職の候補者一人につきそれぞれ一枚を限り掲示するほかは、掲示することができない。
4 第百四十四条の二第八項の規定によりポスターの掲示場を設けることとした都道府県の議会の議員並びに市町村の議会の議員及び長の選挙については、第一項第五号の規定により選挙運動のために使用するポスターは、同条第八項の規定により設置されたポスターの掲示場ごとに公職の候補者一人につきそれぞれ一枚を限り掲示するほかは、掲示することができない。
5 第一項第一号の規定により選挙事務所を表示するための文書図画は、第百二十九条の規定にかかわらず、選挙の当日においても、掲示することができる。
6 第一項第四号の二の個人演説会告知用ポスター及び同項第五号の規定により選挙運動のために使用するポスターは、第百二十九条の規定にかかわらず、選挙の当日においても、掲示しておくことができる。
7 第一項第一号の規定により掲示することができるポスター、立札及び看板の類の数は、選挙事務所ごとに、通じて三をこえることができない。
8 第一項第四号の規定により掲示することができるポスター、立札及び看板の類の数は、演説会場外に掲示するものについては、会場ごとに、通じて二を超えることができない。
9 第一項に規定するポスター(同項第四号の二及び第五号のポスターを除く。)、立札及び看板の類は、縦二百七十三センチメートル、横七十三センチメートル(同項第一号のポスター、立札及び看板の類にあつては、縦三百五十センチメートル、横百センチメートル)をこえてはならない。
10 第一項の規定により掲示することができるちようちんの類は、それぞれ一箇とし、その大きさは、高さ八十五センチメートル、直径四十五センチメートルを超えてはならない。
11 第一項第四号の二の個人演説会告知用ポスターは、長さ四十二センチメートル、巾十センチメートルをこえてはならない。
12 前項のポスターは、第一項第五号のポスターと合わせて作成し、掲示することができる。
13 第一項第四号の二の個人演説会告知用ポスターには、その表面に掲示責任者の氏名及び住所を記載しなければならない。
14 衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院議員の選挙においては、公職の候補者は、政令で定めるところにより、政令で定める額の範囲内で、第一項第一号及び第二号の立札及び看板の類、同項第四号の二の個人演説会告知用ポスター(衆議院小選挙区選出議員又は参議院選挙区選出議員の選挙の場合に限る。)並びに同項第五号のポスターを無料で作成することができる。この場合においては、第百四十一条第七項ただし書の規定を準用する。
15 都道府県の議会の議員及び長の選挙については都道府県は、市の議会の議員及び長の選挙については市は、それぞれ、前項の規定(参議院比例代表選出議員の選挙に係る部分を除く。)に準じて、条例で定めるところにより、公職の候補者の第一項第四号の二の個人演説会告知用ポスター(都道府県知事の選挙の場合に限る。)及び同項第五号のポスターの作成について、無料とすることができる。
16 公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。以下この項において「公職の候補者等」という。)の政治活動のために使用される当該公職の候補者等の氏名又は当該公職の候補者等の氏名が類推されるような事項を表示する文書図画及び第百九十九条の五第一項に規定する後援団体(以下この項において「後援団体」という。)の政治活動のために使用される当該後援団体の名称を表示する文書図画で、次に掲げるもの以外のものを掲示する行為は、第一項の禁止行為に該当するものとみなす。
 一 立札及び看板の類で、公職の候補者等一人につき又は同一の公職の候補者等に係る後援団体のすべてを通じて政令で定める総数の範囲内で、かつ、当該公職の候補者等又は当該後援団体が政治活動のために使用する事務所ごとにその場所において通じて二を限り、掲示されるもの
 二 ポスターで、当該ポスターを掲示するためのベニヤ板、プラスチック板その他これらに類するものを用いて掲示されるもの以外のもの(公職の候補者等若しくは後援団体の政治活動のために使用する事務所若しくは連絡所を表示し、又は後援団体の構成員であることを表示するために掲示されるもの及び第十九項各号の区分による当該選挙ごとの一定期間内に当該選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)内に掲示されるものを除く。)
 三 政治活動のためにする演説会、講演会、研修会その他これらに類する集会(以下この号において「演説会等」という。)の会場において当該演説会等の開催中使用されるもの
 四 第十四章の三の規定により使用することができるもの
17 前項第一号の立札及び看板の類は、縦百五十センチメートル、横四十センチメートルを超えないものであり、かつ、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会)の定めるところの表示をしたものでなければならない。
18 第十六項第二号のポスターには、その表面に掲示責任者及び印刷者の氏名(法人にあつては名称)及び住所を記載しなければならない。
19 第十六項において「一定期間」とは、次の各号に定める期間とする。
 一 衆議院議員の総選挙にあつては、衆議院議員の任期満了の日の六月前の日から当該総選挙の期日までの間又は衆議院の解散の日の翌日から当該総選挙の期日までの間
 二 参議院議員の通常選挙にあつては、参議院議員の任期満了の日の六月前の日から当該通常選挙の期日までの間
 三 地方公共団体の議会の議員又は長の任期満了による選挙にあつては、その任期満了の日の六月前の日から当該選挙の期日までの間
 四 衆議院議員又は参議院議員の再選挙(統一対象再選挙(第三十三条の二第三項から第五項までの規定によるものを除く。次号において同じ。)を除く。)又は補欠選挙(同条第三項から第五項までの規定によるものに限る。)にあつては、当該選挙を行うべき事由が生じたとき(同条第七項の規定の適用がある場合には、同項の規定により読み替えて適用される同条第一項又は第三項から第五項までに規定する遅い方の事由が生じたとき)その旨を当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会)が告示した日の翌日から当該選挙の期日までの間
 五 衆議院議員又は参議院議員の統一対象再選挙又は補欠選挙(第三十三条の二第三項から第五項までの規定によるものを除く。)にあつては、当該選挙を行うべき事由が生じたとき(同条第七項の規定の適用がある場合には、同項の規定により読み替えて適用される同条第二項に規定する遅い方の事由が生じたとき)その旨を当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会)が告示した日の翌日又は当該選挙を行うべき期日の六月前の日のいずれか遅い日から当該選挙の期日までの間
 六 地方公共団体の議会の議員又は長の選挙のうち任期満了による選挙以外の選挙にあつては、当該選挙を行うべき事由が生じたとき(第三十四条第四項の規定の適用がある場合には、同項の規定により読み替えて適用される同条第一項に規定する最も遅い事由が生じたとき)その旨を当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会が告示した日の翌日から当該選挙の期日までの間

(文書図画の撤去義務)
第百四十三条の二 前条第一項第一号、第二号又は第四号のポスター、立札、ちようちん及び看板の類を掲示した者は、選挙事務所を廃止したとき、第百四十一条第一項から第三項までの自動車若しくは船舶を主として選挙運動のために使用することをやめたとき、又は演説会が終了したときは、直ちにこれらを撤去しなければならない。

ポスターの数
百四十四条 第百四十三条第一項第五号のポスターは、次の区分による数を超えて掲示することができない。ただし、第一号のポスターについては、その届け出た候補者に係る選挙区ごとに千枚以内で掲示するほかは、掲示することができない。
 一 衆議院(小選挙区選出)議員の選挙において候補者届出政党が使用するものにあつては、その届け出た候補者に係る選挙区を包括する都道府県ごとに、千枚に当該都道府県における当該候補者届出政党の届出候補者の数を乗じて得た数
 二 衆議院(比例代表選出)議員の選挙において衆議院名簿届出政党等が使用するものにあつては、その届け出た衆議院名簿に係る選挙区ごとに、五百枚に当該選挙区における当該衆議院名簿届出政党等の衆議院名簿登載者の数を乗じて得た数
 二の二 参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては、公職の候補者たる参議院名簿登載者一人について七万枚
 三 都道府県の議会の議員、市の議会の議員又は市長の選挙にあつては、公職の候補者一人について千二百枚。ただし、指定都市の市長の選挙にあつては、候補者一人について四千五百枚
 四 町村の議会の議員又は長の選挙にあつては、公職の候補者一人について五百枚
2 前項のポスターは、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会。以下この項において同じ。)の定めるところにより、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会の行う検印を受け、又はその交付する証紙をはらなければ掲示することができない。この場合において、同項第一号のポスターについて当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会の行う検印又はその交付する証紙は、当該選挙の選挙区ごとに区分しなければならない。
3 前二項の規定は、次条第八項の規定によりポスターの掲示場を設けることとした都道府県の議会の議員並びに市町村の議会の議員及び長の選挙については、適用しない。
4 第百四十三条第一項第五号のポスターは、衆議院(比例代表選出)議員の選挙において衆議院名簿届出政党等が使用するものにあつては当該選挙区ごとに中央選挙管理会に届け出た三種類以内のものを掲示するほかは掲示することができず、衆議院(小選挙区選出)議員の選挙において候補者届出政党が使用するもの及び衆議院(比例代表選出)議員の選挙において衆議院名簿届出政党等が使用するものにあつては長さ八十五センチメートル、幅六十センチメートル、それ以外のものにあつては長さ四十二センチメートル、幅三十センチメートルを超えてはならない。
5 第百四十三条第一項第五号のポスターには、その表面に掲示責任者及び印刷者の氏名(法人にあつては、名称)及び住所を記載しなければならない。この場合において、候補者届出政党が使用するものにあつては当該候補者届出政党の名称を、衆議院名簿届出政党等が使用するものにあつては当該衆議院名簿届出政党等の名称及び前項のポスターである旨を表示する記号を、参議院名簿登載者が使用するものにあつては当該参議院名簿登載者に係る参議院名簿届出政党等の名称を、併せて記載しなければならない。

ポスター掲示場
百四十四条の二 衆議院(小選挙区選出)議員、参議院(選挙区選出)議員又は都道府県知事の選挙においては、市町村の選挙管理委員会は、第百四十三条第一項第五号のポスター(衆議院小選挙区選出議員の選挙において候補者届出政党が使用するものを除く。)の掲示場を設けなければならない。
2 前項の掲示場の総数は、一投票区につき五箇所以上十箇所以内において、政令で定めるところにより算定する。ただし、市町村の選挙管理委員会は、特別の事情がある場合には、あらかじめ都道府県の選挙管理委員会と協議の上、その総数を減ずることができる。
3 第一項の掲示場は、市町村の選挙管理委員会が、投票区ごとに、政令で定める基準に従い、公衆の見やすい場所に設置する。
4 市町村の選挙管理委員会は、第一項の掲示場を設置したときは、直ちに、その掲示場の設置場所を告示しなければならない。
5 公職の候補者は、第一項の掲示場に、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会が定め、あらかじめ告示する日から第百四十三条第一項第四号の二及び第五号のポスターそれぞれ一枚を掲示することができる。この場合において、市町村の選挙管理委員会は、ポスターの掲示に関し、政令で定めるところにより、当該公職の候補者に対し、事情の許す限り便宜を供与するものとする。
6 前項の場合において、公職の候補者一人が掲示することができる掲示場の区画は、縦及び横それぞれ四十二センチメートル以上とする。
7 前各項に規定するもののほか、第一項の掲示場におけるポスターの掲示の順序その他ポスターの掲示に関し必要な事項は、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会が定める。
8 都道府県の議会の議員の選挙については都道府県は、市町村の議会の議員及び長の選挙については市町村は、それぞれ、条例で定めるところにより、第百四十三条第一項第五号のポスターの掲示場を設けることができる。
9 都道府県又は市町村が前項の規定によりポスターの掲示場を設置する場合においては、当該掲示場の総数は、一投票区につき五箇所以上十箇所以内において、政令で定めるところにより算定しなければならない。ただし、特別の事情がある場合には、当該都道府県又は市町村は、それぞれ、条例で定めるところにより、その総数を減ずることができる。
10 第三項から第七項までの規定は、第八項の規定によりポスターの掲示場を設置する場合について、準用する。

ポスター掲示場を設置しない場合
百四十四条の三 天災その他避けることのできない事故その他特別の事情があるときは、前条第一項又は第八項の掲示場は、設けないことができる。

(任意制ポスター掲示場)
第百四十四条の四 第百四十四条の二第八項の規定によるほか、都道府県の議会の議員の選挙については都道府県は、市町村の議会の議員及び長の選挙については市町村は、それぞれ、同条第三項から第七項まで及び前条の規定に準じて、条例で定めるところにより、第百四十三条第一項第五号のポスターの掲示場を設けることができる。この場合において、ポスターの掲示場の数は、一投票区につき一箇所以上とする。

ポスター掲示場の設置についての協力
百四十四条の五 第百四十四条の二及び前条の規定によりポスターの掲示場を設置する場合においては、土地又は工作物の居住者、管理者又は所有者は、ポスターの掲示場の設置に関し、事情の許す限り協力しなければならない。

ポスターの掲示箇所等
百四十五条 何人も、衆議院議員、参議院(比例代表選出)議員、都道府県の議会の議員又は市町村の議会の議員若しくは長の選挙(第百四十四条の二第八項の規定によりポスターの掲示場を設けることとした選挙を除く。)については、国若しくは地方公共団体が所有し若しくは管理するもの又は不在者投票管理者の管理する投票を記載する場所には、第百四十三条第一項第五号のポスターを掲示することができない。ただし、橋りよう、電柱、公営住宅その他総務省令で定めるもの並びに第百四十四条の二及び第百四十四条の四の掲示場に掲示する場合については、この限りでない。
2 何人も、前項の選挙については、第百四十三条第一項第五号のポスターを他人の工作物に掲示しようとするときは、その居住者、居住者がない場合にはその管理者、管理者がない場合にはその所有者(次項において「居住者等」と総称する。)の承諾を得なければならない。
3 前項の承諾を得ないで他人の工作物に掲示された第百四十三条第一項第五号のポスターは、居住者等において撤去することができる。第一項の選挙以外の選挙において、居住者等の承諾を得ないで当該居住者等の工作物に掲示されたポスターについても、また同様とする。

文書図画の頒布又は掲示につき禁止を免れる行為の制限
百四十六条 何人も、選挙運動の期間中は、著述、演芸等の広告その他いかなる名義をもつてするを問わず、第百四十二条又は第百四十三条の禁止を免れる行為として、公職の候補者の氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する文書図画を頒布し又は掲示することができない。
2 前項の規定の適用については、選挙運動の期間中、公職の候補者の氏名、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者の推薦届出者その他選挙運動に従事する者若しくは公職の候補者と同一戸籍内に在る者の氏名を表示した年賀状、寒中見舞状、暑中見舞状その他これに類似する挨拶状を当該公職の候補者の選挙区(選挙区がないときはその区域)内に頒布し又は掲示する行為は、第百四十二条又は第百四十三条の禁止を免れる行為とみなす。

百四十七条(文書図画の撤去) 都道府県又は市町村の選挙管理委員会は、次の各号のいずれかに該当する文書図画があると認めるときは、撤去させることができる。この場合において、都道府県又は市町村の選挙管理委員会は、あらかじめ、その旨を当該警察署長に通報するものとする。
 一 第百四十三条、第百四十四条又は第百六十四条の二第二項若しくは第四項の規定に違反して掲示したもの
 二 第百四十三条第十六項に規定する公職の候補者等若しくは後援団体が当該公職の候補者等若しくは後援団体となる前に掲示された文書図画で同項の規定に該当するもの又は同項の公職の候補者等若しくは後援団体に係る同条第十九項各号の区分による当該選挙ごとに当該各号に定める期間前若しくは期間中に掲示したポスターで当該期間中において同条第十六項の規定に該当するもの
 三 第百四十三条の二の規定に違反して撤去しないもの
 四 第百四十五条第一項又は第二項(第百六十四条の二第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反して掲示したもの
 五 選挙運動の期間前又は期間中に掲示した文書図画で前条の規定に該当するもの

あいさつ状の禁止
百四十七条の二 公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)は、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域)内にある者に対し、答礼のための自筆によるものを除き、年賀状、寒中見舞状、暑中見舞状その他これらに類するあいさつ状(電報その他これに類するものを含む。)を出してはならない。

新聞紙、雑誌の報道及び評論等の自由
百四十八条 この法律に定めるところの選挙運動の制限に関する規定(第百三十八条の三の規定を除く。)は、新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌が、選挙に関し、報道及び評論を掲載するの自由を妨げるものではない。但し、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。
2 新聞紙又は雑誌の販売を業とする者は、前項に規定する新聞紙又は雑誌を、通常の方法(選挙運動の期間中及び選挙の当日において、定期購読者以外の者に対して頒布する新聞紙又は雑誌については、有償でする場合に限る。)で頒布し又は都道府県の選挙管理委員会の指定する場所に掲示することができる。
3 前二項の規定の適用について新聞紙又は雑誌とは、選挙運動の期間中及び選挙の当日に限り、次に掲げるものをいう。ただし、点字新聞紙については、第一号ロの規定(同号ハ及び第二号中第一号ロに係る部分を含む。)は、適用しない。
 一 次の条件を具備する新聞紙又は雑誌
  イ 新聞紙にあつては毎月三回以上、雑誌にあつては毎月一回以上、号を逐つて定期に有償頒布するものであること。
  ロ 第三種郵便物の承認のあるものであること。
  ハ 当該選挙の選挙期日の公示又は告示の日前一年(時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙にあつては、六月)以来、イ及びロに該当し、引き続き発行するものであること。
 二 前号に該当する新聞紙又は雑誌を発行する者が発行する新聞紙又は雑誌で同号イ及びロの条件を具備するもの

新聞紙、雑誌の不法利用等の制限
百四十八条の二 何人も、当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて新聞紙又は雑誌の編集その他経営を担当する者に対し金銭、物品その他の財産上の利益の供与、その供与の申込若しくは約束をし又は饗応接待、その申込若しくは約束をして、これに選挙に関する報道及び評論を掲載させることができない。
2 新聞紙又は雑誌の編集その他経営を担当する者は、前項の供与、饗応接待を受け若しくは要求し又は前項の申込を承諾して、これに選挙に関する報道及び評論を掲載することができない。
3 何人も、当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて新聞紙又は雑誌に対する編集その他経営上の特殊の地位を利用して、これに選挙に関する報道及び評論を掲載し又は掲載させることができない。

新聞広告
百四十九条 衆議院(小選挙区選出)議員の選挙については、候補者は、総務省令で定めるところにより、同一寸法で、いずれか一の新聞に、選挙運動の期間中、五回を限り、選挙に関して広告をし、候補者届出政党は、総務省令で定めるところにより、当該都道府県における当該候補者届出政党の届出候補者の数(十六人を超える場合においては、十六人とする。)に応じて総務省令で定める寸法で、いずれか一の新聞に、選挙運動の期間中、総務省令で定める回数を限り、選挙に関して広告をすることができる。
2 衆議院(比例代表選出)議員の選挙については、衆議院名簿届出政党等は、総務省令で定めるところにより、当該選挙区における当該衆議院名簿届出政党等の衆議院名簿登載者の数(二十八人を超える場合においては、二十八人とする。以下この章において同じ。)に応じて総務省令で定める寸法で、いずれか一の新聞に、選挙運動の期間中、総務省令で定める回数を限り、選挙に関して広告をすることができる。
3 参議院(比例代表選出)議員の選挙については、参議院名簿届出政党等は、総務省令で定めるところにより、参議院名簿登載者の数(二十五人を超える場合においては、二十五人とする。以下この章において同じ。)に応じて総務省令で定める寸法で、いずれか一の新聞に、選挙運動の期間中、総務省令で定める回数を限り、選挙に関して広告をすることができる。
4 衆議院議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙については、公職の候補者は、総務省令で定めるところにより、同一寸法で、いずれか一の新聞に、選挙運動の期間中、二回(参議院選挙区選出議員の選挙にあつては五回、都道府県知事の選挙にあつては四回)を限り、選挙に関して広告をすることができる。
5 前各項の広告を掲載した新聞紙は、第百四十二条又は第百四十三条の規定にかかわらず、新聞紙の販売を業とする者が、通常の方法(定期購読者以外の者に対して頒布する新聞紙については、有償でする場合に限る。)で頒布し又は都道府県の選挙管理委員会の指定する場所に掲示することができる。
6 衆議院議員、参議院議員又は都道府県知事の選挙においては、無料で第一項から第四項までの規定による新聞広告をすることができる。ただし、衆議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては当該衆議院名簿届出政党等の当該選挙区における得票総数が当該選挙区における有効投票の総数の百分の二以上、参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては当該参議院名簿届出政党等の得票総数(当該参議院名簿届出政党等に係る各参議院名簿登載者(当該選挙の期日において公職の候補者たる者に限る。)の得票総数を含むものをいう。)が当該選挙における有効投票の総数の百分の一以上である場合に限る。

政見放送
百五十条 衆議院(小選挙区選出)議員の選挙においては、候補者届出政党は、政令で定めるところにより、選挙運動の期間中日本放送協会及び基幹放送事業者(放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条第二十三号に規定する基幹放送事業者をいい、日本放送協会及び放送大学学園(放送大学学園法(平成十四年法律第百五十六号)第三条に規定する放送大学学園をいう。第百五十二条第一項において同じ。)を除く。以下同じ。)のラジオ放送又はテレビジョン放送(放送法第二条第十六号に規定する中波放送又は同条第十八号に規定するテレビジョン放送をいう。以下同じ。)の放送設備により、公益のため、その政見(当該候補者届出政党が届け出た候補者の紹介を含む。以下この項において同じ。)を無料で放送することができる。この場合において、日本放送協会及び基幹放送事業者は、その録音し若しくは録画した政見又は候補者届出政党が録音し若しくは録画した政見をそのまま放送しなければならない。
2 候補者届出政党は、政令で定めるところにより、政令で定める額の範囲内で、前項の政見の放送のための録音又は録画を無料ですることができる。
3 衆議院(比例代表選出)議員、参議院議員又は都道府県知事の選挙においては、当該公職の候補者(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては衆議院名簿届出政党等、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては参議院名簿届出政党等。第五項において同じ。)は、政令で定めるところにより、選挙運動の期間中日本放送協会及び基幹放送事業者のラジオ放送又はテレビジョン放送の放送設備により、公益のため、その政見(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては衆議院名簿登載者、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては参議院名簿登載者の紹介を含む。以下この項において同じ。)を無料で放送することができる。この場合において、日本放送協会及び基幹放送事業者は、その政見を録音し又は録画し、これをそのまま放送しなければならない。
4 第一項の放送に関しては、当該都道府県における届出候補者を有するすべての候補者届出政党に対して、同一放送設備を使用し、当該都道府県における当該候補者届出政党の届出候補者の数(十二人を超える場合においては、十二人とする。)に応じて政令で定める時間数を与える等同等の利便を提供しなければならない。
5 第三項の放送に関しては、それぞれの選挙ごとに当該選挙区(選挙区がないときは、その区域)のすべての公職の候補者に対して、同一放送設備を使用し、同一時間数(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては当該選挙区における当該衆議院名簿届出政党等の衆議院名簿登載者の数、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては参議院名簿登載者の数に応じて政令で定める時間数)を与える等同等の利便を提供しなければならない。
6 前各項の放送の回数、日時その他放送に関し必要な事項は、総務大臣が日本放送協会及び基幹放送事業者と協議の上、定める。この場合において、衆議院(比例代表選出)議員の選挙における衆議院名簿届出政党等又は参議院(比例代表選出)議員の選挙における参議院名簿届出政党等の放送に関しては、その利便の提供について、特別の考慮が加えられなければならない。

(政見放送における品位の保持)
第百五十条の二 公職の候補者、候補者届出政党、衆議院名簿届出政党等及び参議院名簿届出政党等は、その責任を自覚し、前条第一項又は第三項に規定する放送(以下「政見放送」という。)をするに当たつては、他人若しくは他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害し又は特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をする等いやしくも政見放送としての品位を損なう言動をしてはならない。

経歴放送
百五十一条 衆議院(小選挙区選出)議員、参議院(選挙区選出)議員又は都道府県知事の選挙においては、日本放送協会は、その定めるところにより、公職の候補者の氏名、年齢、党派別(衆議院小選挙区選出議員の選挙にあつては、当該候補者に係る候補者届出政党の名称)、主要な経歴等を関係区域の選挙人に周知させるため、放送をするものとする。
2 前項の放送の回数は、公職の候補者一人について、衆議院(小選挙区選出)議員の選挙にあつてはラジオ放送によりおおむね十回及びテレビジョン放送により一回、その他の選挙にあつてはラジオ放送によりおおむね五回及びテレビジョン放送により一回とする。ただし、日本放送協会は、事情の許す限り、その回数を多くするように努めなければならない。
3 参議院(選挙区選出)議員又は都道府県知事の選挙においては、前二項に定めるもののほか、日本放送協会及び基幹放送事業者は、政令で定めるところにより、テレビジョン放送による政見放送を行う際にテレビジョン放送による経歴放送をするものとする。

政見放送及び経歴放送を中止する場合
百五十一条の二 第百条第一項から第四項までの規定に該当し投票を行うことを必要としなくなつたときは、政見放送(衆議院小選挙区選出議員の選挙において行われるものを除く。)及び経歴放送の手続は、中止する。
2 一の都道府県において行われるすべての衆議院(小選挙区選出)議員の選挙において、第百条第一項の規定に該当し投票を行うことを必要としなくなつたときは、当該都道府県において行われる衆議院(小選挙区選出)議員の選挙に係る政見放送の手続は、中止する。
3 天災その他避けることのできない事故その他特別の事情により政見放送又は経歴放送が不能となつた場合においては、これに代わるべき政見放送又は経歴放送は行わない。

選挙放送の番組編集の自由
百五十一条の三 この法律に定めるところの選挙運動の制限に関する規定(第百三十八条の三の規定を除く。)は、日本放送協会又は基幹放送事業者が行う選挙に関する報道又は評論について放送法の規定に従い放送番組を編集する自由を妨げるものではない。ただし、虚偽の事項を放送し又は事実をゆがめて放送する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。

百五十一条の四 削除

選挙運動放送の制限
百五十一条の五 何人も、この法律に規定する場合を除く外、放送設備(広告放送設備、共同聴取用放送設備その他の有線電気通信設備を含む。)を使用して、選挙運動のために放送をし又は放送をさせることができない。

(あいさつを目的とする有料広告の禁止)
第百五十二条 公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。次項において「公職の候補者等」という。)及び第百九十九条の五第一項に規定する後援団体(次項において「後援団体」という。)は、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域。次項において同じ。)内にある者に対する主としてあいさつ(年賀、寒中見舞、暑中見舞その他これらに類するもののためにするあいさつ及び慶弔、激励、感謝その他これらに類するもののためにするあいさつに限る。次項において同じ。)を目的とする広告を、有料で、新聞紙、雑誌、ビラ、パンフレットその他これらに類するものに掲載させ、又は放送事業者(放送法第二条第二十六号に規定する放送事業者をいい、日本放送協会及び放送大学学園を除く。次項において同じ。)若しくは電気通信役務利用放送(電気通信役務利用放送法(平成十三年法律第八十五号)第二条第一項の電気通信役務利用放送をいう。次項において同じ。)の業務を行う者の放送設備により放送をさせることができない。
2 何人も、公職の候補者等又は後援団体に対して、当該選挙区内にある者に対する主としてあいさつを目的とする広告を、新聞紙、雑誌、ビラ、パンフレットその他これらに類するものに有料で掲載させ、又は放送事業者の放送設備により有料で放送をさせることを求めてはならない。

百五十三条から第百六十条まで 削除

公営施設使用の個人演説会等
百六十一条 公職の候補者(衆議院比例代表選出議員の選挙における候補者で当該選挙と同時に行われる衆議院小選挙区選出議員の選挙における候補者である者以外のものを除く。次条から第百六十四条の三までにおいて同じ。)、候補者届出政党及び衆議院名簿届出政党等は、次に掲げる施設(候補者届出政党にあつてはその届け出た候補者に係る選挙区を包括する都道府県の区域内にあるもの、衆議院名簿届出政党等にあつてはその届け出た衆議院名簿に係る選挙区の区域内にあるものに限る。)を使用して、個人演説会、政党演説会又は政党等演説会を開催することができる。
 一 学校及び公民館(社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)第二十一条に規定する公民館をいう。)
 二 地方公共団体の管理に属する公会堂
 三 前二号のほか、市町村の選挙管理委員会の指定する施設
2 前項の施設については、政令の定めるところにより、その管理者において、必要な設備をしなければならない。
3 市町村の選挙管理委員会は、第一項第三号の施設の指定をしたときは、直ちに、都道府県の選挙管理委員会に、報告しなければならない。
4 前項の報告があつたときは、都道府県の選挙管理委員会は、その旨を告示しなければならない。

公営施設以外の施設使用の個人演説会等
百六十一条の二 公職の候補者、候補者届出政党及び衆議院名簿届出政党等は、前条第一項に規定する施設以外の施設(建物その他の施設の構内を含むものとし、候補者届出政党にあつてはその届け出た候補者に係る選挙区を包括する都道府県の区域内にあるもの、衆議院名簿届出政党等にあつてはその届け出た衆議院名簿に係る選挙区の区域内にあるものに限る。)を使用して、個人演説会、政党演説会又は政党等演説会を開催することができる。

個人演説会等における演説
百六十二条 個人演説会においては、当該公職の候補者は、その選挙運動のための演説をすることができる。
2 個人演説会においては、当該公職の候補者以外の者も当該公職の候補者の選挙運動のための演説をすることができる。
3 候補者届出政党が開催する政党演説会においては、演説者は、当該候補者届出政党が届け出た候補者の選挙運動のための演説をすることができる。
4 衆議院名簿届出政党等が開催する政党等演説会においては、演説者は、当該衆議院名簿届出政党等の選挙運動のための演説をすることができる。

個人演説会等の開催の申出
百六十三条 第百六十一条の規定により個人演説会を開催しようとする公職の候補者、政党演説会を開催しようとする候補者届出政党又は政党等演説会を開催しようとする衆議院名簿届出政党等は、開催すべき日前二日までに、使用すべき施設、開催すべき日時及び公職の候補者の氏名(候補者届出政党又は衆議院名簿届出政党等にあつては、その名称)を、文書で市町村の選挙管理委員会に申し出なければならない。

個人演説会の施設の無料使用
百六十四条 第百六十一条の規定により個人演説会を開催する場合における施設(設備を含む。)の使用については、公職の候補者一人につき、同一施設(設備を含む。)ごとに一回を限り、無料とする。

個人演説会等の会場の掲示の特例
百六十四条の二 衆議院(小選挙区選出)議員、参議院(選挙区選出)議員若しくは都道府県知事の候補者、候補者届出政党又は衆議院名簿届出政党等は、その個人演説会、政党演説会又は政党等演説会の開催中、次項に規定する立札又は看板の類を、会場前の公衆の見やすい場所に掲示しなければならない。
2 前項の規定により個人演説会、政党演説会又は政党等演説会の会場前に掲示しなければならない立札及び看板の類は、縦二百七十三センチメートル、横七十三センチメートルを超えてはならないものとし、これらには、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(衆議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会)の定めるところの表示をしなければならない。この場合において、政党演説会の会場前に掲示しなければならない立札及び看板の類について当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会の定めるところの表示は、当該選挙の選挙区ごとに区分しなければならない。
3 前項に規定する立札及び看板の類の数は、候補者にあつては当該選挙ごとに通じて五を、候補者届出政党にあつてはその届け出た候補者に係る選挙区を包括する都道府県ごとに通じて二に当該都道府県における当該候補者届出政党の届出候補者の数を乗じて得た数を、衆議院名簿届出政党等にあつてはその届け出た衆議院名簿に係る選挙区ごとに通じて八を、超えることができない。この場合において、政党演説会の会場前に掲示する同項に規定する立札及び看板の類の選挙区ごとの数は、その届け出た候補者に係る選挙区ごとに通じて二以内とする。
4 第二項に規定する立札及び看板の類を除くほか、第一項の個人演説会、政党演説会又は政党等演説会につき選挙運動のために使用する文書図画は、第百四十三条第一項第四号の規定にかかわらず、個人演説会、政党演説会又は政党等演説会の会場外においては掲示することができない。
5 第二項に規定する立札及び看板の類は、個人演説会、政党演説会又は政党等演説会の会場外のいずれの場所(候補者届出政党の使用するものにあつてはその届け出た候補者に係る当該選挙区の区域内に、衆議院名簿届出政党等の使用するものにあつてはその届け出た衆議院名簿に係る選挙区の区域内に限る。)においても選挙運動のために使用することができる。ただし、当該立札及び看板の類の掲示箇所については、第百四十五条第一項及び第二項の規定を準用する。
6 衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙においては、公職の候補者は、政令で定めるところにより、政令で定める額の範囲内で、第二項に規定する立札及び看板の類を無料で作成することができる。この場合においては、第百四十一条第七項ただし書の規定を準用する。

他の演説会の禁止
百六十四条の三 選挙運動のためにする演説会は、この法律の規定により行う個人演説会、政党演説会及び政党等演説会を除くほか、いかなる名義をもつてするを問わず、開催することができない。
2 公職の候補者以外の者が二人以上の公職の候補者の合同演説会を開催すること、候補者届出政党以外の者が二以上の候補者届出政党の合同演説会を開催すること及び衆議院名簿届出政党等以外の者が二以上の衆議院名簿届出政党等の合同演説会を開催することは、前項に規定する禁止行為に該当するものとみなす。

個人演説会等及び街頭演説における録音盤の使用
百六十四条の四 個人演説会、政党演説会及び政党等演説会並びに街頭演説においては、選挙運動のため、録音盤を使用して演説をすることを妨げない。

街頭演説
百六十四条の五 選挙運動のためにする街頭演説(屋内から街頭へ向かつてする演説を含む。以下同じ。)は、次に掲げる場合でなければ、行うことができない。
 一 演説者がその場所にとどまり、次項に規定する標旗を掲げて行う場合
 二 候補者届出政党又は衆議院名簿届出政党等が第百四十一条第二項又は第三項の規定により選挙運動のために使用する自動車又は船舶で停止しているものの車上又は船上及びその周囲で行う場合
2 選挙運動のために前項第一号の規定による街頭演説をしようとする場合には、公職の候補者(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては、衆議院名簿届出政党等)は、あらかじめ当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会)の定める様式の標旗の交付を受けなければならない。
3 前項の標旗は、次の各号に掲げる選挙の区分に応じ、当該各号に定める数を交付する。
 一 衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙 公職の候補者一人について、一
 二 衆議院(比例代表選出)議員の選挙 衆議院名簿届出政党等について、その届け出た衆議院名簿に係る選挙区ごとに、当該衆議院(比例代表選出)議員の選挙において選挙すべき議員の数に相当する数
 三 参議院(比例代表選出)議員の選挙 公職の候補者たる参議院名簿登載者一人について、六
4 第一項第一号の標旗は、当該公務員の請求があるときは、これを提示しなければならない。

夜間の街頭演説の禁止等
百六十四条の六 何人も、午後八時から翌日午前八時までの間は、選挙運動のため、街頭演説をすることができない。
2 第百四十条の二第二項の規定は、選挙運動のための街頭演説をする者について準用する。
3 選挙運動のための街頭演説をする者は、長時間にわたり、同一の場所にとどまつてすることのないように努めなければならない。

街頭演説の場合の選挙運動員等の制限
百六十四条の七 第百六十四条の五第一項第一号の規定による街頭演説(衆議院比例代表選出議員の選挙において行われるものを除く。)においては、選挙運動に従事する者(運転手(第百四十一条第一項の規定により選挙運動のために使用される自動車一台につき一人に限る。)及び船員を除き、運転手の助手その他労務を提供する者を含む。)は、公職の候補者一人について(参議院比例代表選出議員の選挙にあつては、公職の候補者たる参議院名簿登載者一人につき演説を行う場所ごとに)、十五人を超えてはならない。
2 前項の規定による選挙運動に従事する者は、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会)の定めるところにより、一定の腕章又は第百四十一条の二第二項の規定による腕章を着けなければならない。

百六十五条 削除

近接する選挙の場合の演説会等の制限
百六十五条の二 何人も、二以上の選挙が行われる場合において、一の選挙の選挙運動の期間が他の選挙の選挙の期日にかかる場合においては、その当日当該投票所を閉じる時刻までの間は、その投票所を設けた場所の入口から三百メートル以内の区域において、選挙運動のためにする演説会(演説を含む。)を開催することができない。選挙運動のために街頭演説をすること及び第百四十条の二第一項ただし書の規定により自動車又は船舶の上において選挙運動のための連呼行為をすることも、また同様とする。

特定の建物及び施設における演説等の禁止
百六十六条 何人も、次に掲げる建物又は施設においては、いかなる名義をもつてするを問わず、選挙運動のためにする演説及び連呼行為を行うことができない。ただし、第一号に掲げる建物において第百六十一条の規定による個人演説会、政党演説会又は政党等演説会を開催する場合は、この限りでない。
 一 国、又は地方公共団体の所有し又は管理する建物(公営住宅を除く。)
 二 汽車、電車、乗合自動車、船舶(第百四十一条第一項から第三項までの船舶を除く。)及び停車場その他鉄道地内
 三 病院、診療所その他の療養施設

選挙公報の発行
百六十七条 衆議院(小選挙区選出)議員、参議院(選挙区選出)議員又は都道府県知事の選挙においては、都道府県の選挙管理委員会は、公職の候補者の氏名、経歴、政見等を掲載した選挙公報を、選挙(選挙の一部無効による再選挙を除く。)ごとに、一回発行しなければならない。この場合において、衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙については、公職の候補者の写真を掲載しなければならない。
2 都道府県の選挙管理委員会は、衆議院(比例代表選出)議員の選挙においては衆議院名簿届出政党等の名称及び略称、政見、衆議院名簿登載者の氏名、経歴及び当選人となるべき順位等を掲載した選挙公報を、参議院(比例代表選出)議員の選挙においては参議院名簿届出政党等の名称及び略称、政見、参議院名簿登載者の氏名、経歴及び写真等を掲載した選挙公報を、選挙(選挙の一部無効による再選挙を除く。)ごとに、一回発行しなければならない。
3 選挙公報は、選挙区ごとに(選挙区がないときは選挙の行われる区域を通じて)、発行しなければならない。
4 特別の事情がある区域においては、選挙公報は、発行しない。
5 前項の規定により選挙公報を発行しない区域は、都道府県の選挙管理委員会が定める。

掲載文の申請
百六十八条 衆議院(小選挙区選出)議員、参議院(選挙区選出)議員又は都道府県知事の選挙において公職の候補者が選挙公報に氏名、経歴、政見等の掲載を受けようとするときは、その掲載文(衆議院小選挙区選出議員又は参議院選挙区選出議員の選挙にあつては、併せて写真を添付するものとする。)を具し、当該選挙の期日の公示又は告示があつた日から二日間(衆議院小選挙区選出議員の選挙にあつては、当該選挙の期日の公示又は告示があつた日)に、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に、文書で申請しなければならない。
2 衆議院(比例代表選出)議員の選挙において衆議院名簿届出政党等が選挙公報にその名称及び略称、政見、衆議院名簿登載者の氏名、経歴及び当選人となるべき順位等の掲載を受けようとするときは、その掲載文を具し、当該選挙の期日の公示又は告示があつた日に、中央選挙管理会に、文書で申請しなければならない。
3 参議院(比例代表選出)議員の選挙において参議院名簿届出政党等が選挙公報にその名称及び略称、政見、参議院名簿登載者の氏名、経歴及び写真等の掲載を受けようとするときは、その掲載文を具し、当該選挙の期日の公示又は告示があつた日から二日間に、中央選挙管理会に、文書で申請しなければならない。この場合において、当該参議院名簿届出政党等は、当該掲載文の二分の一以上に相当する部分に、各参議院名簿登載者の氏名及び経歴を記載し、及び写真をはり付けること等により、参議院名簿登載者の紹介に努めるものとする。
4 前三項の掲載文については、第百五十条の二の規定を準用する。

選挙公報の発行手続
百六十九条 衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙について前条第二項又は第三項の申請があつたときは、中央選挙管理会は、その掲載文の写し二通を衆議院(比例代表選出)議員の選挙にあつてはその選挙の期日前九日までに、参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつてはその選挙の期日前十一日までに、都道府県の選挙管理委員会に送付しなければならない。
2 都道府県の選挙管理委員会は、前条第一項の申請又は前項の掲載文の写しの送付があつたときは、掲載文又はその写しを、原文のまま選挙公報に掲載しなければならない。この場合において、衆議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては当該選挙区における当該衆議院名簿届出政党等の衆議院名簿登載者の数、参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては参議院名簿登載者の数に応じて総務省令で定める寸法により掲載するものとする。
3 衆議院議員の選挙においては、小選挙区選出議員の選挙に係る選挙公報と比例代表選出議員の選挙に係る選挙公報は、別の用紙をもつて発行しなければならない。
4 参議院議員の選挙においては、比例代表選出議員の選挙に係る選挙公報と選挙区選出議員の選挙に係る選挙公報は、別の用紙をもつて発行しなければならない。
5 衆議院(小選挙区選出)議員、参議院(選挙区選出)議員若しくは都道府県知事の選挙について一の用紙に二人以上の公職の候補者の氏名、経歴、政見、写真等を掲載する場合、衆議院(比例代表選出)議員の選挙について一の用紙に二以上の衆議院名簿届出政党等の名称及び略称、政見、衆議院名簿登載者の氏名、経歴及び当選人となるべき順位等を掲載する場合又は参議院(比例代表選出)議員の選挙について一の用紙に二以上の参議院名簿届出政党等の名称及び略称、政見、参議院名簿登載者の氏名、経歴及び写真等を掲載する場合においては、その掲載の順序は、都道府県の選挙管理委員会がくじで定める。
6 前条第一項の申請をした公職の候補者若しくはその代理人又は同条第二項若しくは第三項の申請をした衆議院名簿届出政党等若しくは参議院名簿届出政党等の代表者若しくはその代理人は、前項のくじに立ち会うことができる。

選挙公報の配布
百七十条 選挙公報は、都道府県の選挙管理委員会の定めるところにより、市町村の選挙管理委員会が、当該選挙に用うべき選挙人名簿に登録された者の属する各世帯に対して、選挙の期日前二日までに、配布するものとする。ただし、第百十九条第一項又は第二項の規定により同時に選挙を行う場合においては、第百七十二条の二の規定による条例の定める期日までに、配布するものとする。
2 市町村の選挙管理委員会は、前項の各世帯に選挙公報を配布することが困難であると認められる特別の事情があるときは、あらかじめ、都道府県の選挙管理委員会に届け出て、選挙公報につき、同項の規定により配布すべき日までに新聞折込みその他これに準ずる方法による配布を行うことによつて、同項の規定による配布に代えることができる。この場合においては、当該市町村の選挙管理委員会は、市役所、町村役場その他適当な場所に選挙公報を備え置く等当該方法による選挙公報の配布を補完する措置を講ずることにより、選挙人が選挙公報を容易に入手することができるよう努めなければならない。

選挙公報の発行を中止する場合
百七十一条 第百条第一項から第四項までの規定に該当し投票を行うことを必要としなくなつたとき又は天災その他避けることのできない事故その他特別の事情があるときは、選挙公報発行の手続は、中止する。

選挙公報に関しその他必要な事項
百七十二条 第百六十七条から前条までに規定するもののほか、選挙公報の発行の手続に関し必要な事項は、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会)が定める。

任意制選挙公報の発行
百七十二条の二 都道府県の議会の議員、市町村の議会の議員及び市町村長の選挙(選挙の一部無効に因る再選挙を除く。)においては、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会は、第百六十七条から第百七十一条までの規定に準じて、条例の定めるところにより、選挙公報を発行することができる。

百七十三条及び第百七十四条 削除

投票記載所の氏名等の掲示
百七十五条 市町村の選挙管理委員会は、各選挙につき、その選挙の当日、衆議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては投票所内の投票の記載をする場所に衆議院名簿届出政党等の名称及び略称の掲示並びに投票所内のその他の適当な箇所に衆議院名簿届出政党等の名称及び略称並びに衆議院名簿登載者の氏名及び当選人となるべき順位の掲示を、参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては投票所内の投票の記載をする場所その他適当な箇所に参議院名簿届出政党等の名称及び略称並びに参議院名簿登載者の氏名の掲示を、その他の選挙にあつては投票所内の投票の記載をする場所その他適当な箇所に公職の候補者の氏名及び党派別(衆議院小選挙区選出議員の選挙にあつては、当該候補者に係る候補者届出政党の名称。以下この条において同じ。)の掲示をしなければならない。ただし、第四十六条の二(記号式投票)第一項に規定する方法により投票を行う選挙にあつては、この限りでない。
2 市町村の選挙管理委員会は、各選挙(当該市町村の全部又は一部の区域が含まれる区域を区域として行われるものに限る。)につき、当該選挙の期日の公示又は告示があつた日の翌日から選挙の期日の前日までの間、期日前投票所又は不在者投票管理者のうち政令で定めるものの管理する投票を記載する場所内の適当な箇所に、衆議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては衆議院名簿届出政党等の名称及び略称の掲示を、参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては参議院名簿届出政党等の名称及び略称並びに参議院名簿登載者の氏名の掲示を、その他の選挙にあつては公職の侯補者の氏名及び党派別の掲示をしなければならない。
3 第一項の掲示の掲載の順序は、衆議院(比例代表選出)議員の選挙にあつてはいずれの掲示の掲載の順序も同一となるように都道府県の選挙管理委員会が都道府県ごとに、参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては都道府県の選挙管理委員会が都道府県ごとに、その他の選挙にあつては市町村の選挙管理委員会が開票区ごとに、当該選挙の公示又は告示があつた日において第八十六条第一項から第三項まで、第八十六条の二第一項、第八十六条の三第一項若しくは第二項の規定による届出をすべき時間が経過した後に行うくじで定める順序による。ただし、衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙について当該くじを行つた後、第八十六条第八項又は第八十六条の四第五項、第六項若しくは第八項の規定による届出があつた場合(これらの規定による届出のあつた公職の侯補者の全員が侯補者でなくなつたときを除く。)は、これらの規定の期間が経過した後市町村の選挙管理委員会が開票区ごとに改めて行うくじで定める順序による。
4 参議院(比例代表選出)議員の選挙における第一項の各参議院名簿届出政党等に係る参議院名簿登載者の氏名の掲示の掲載の順序は、参議院名簿に記載された氏名の順序(第八十六条の三第二項において準用する第八十六条の二第九項前段の規定による届出があるときは、当該参議院名簿に記載された氏名の次に、当該届出に係る文書に記載された氏名をその記載された順序のとおりに加えた氏名の順序)による。
5 次項前段に規定する場合を除くほか、第二項の掲示の掲載の順序は、第三項本文のくじで定める順序(参議院比例代表選出議員の選挙にあつては同項本文のくじで定める順序及び前項に規定する順序、衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙以外の選挙において第十八条第二項の規定により市町村の区域を分けて数開票区を設けた場合にあつては当該市町村の選挙管理委員会が選挙区ごとに指定する一の開票区において行う前項本文のくじで定める順序)による。この場合において、衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙について当該くじを行つた後、第八十六条第八項又は第八十六条の四第五項、第六項若しくは第八項の規定による届出があつたときは、これらの規定による届出のあつた公職の侯補者の氏名及び党派別の掲示は、総務省令で定めるところによりするものとする。
6 第四十六条の二第一項に規定する方法により投票を行う選挙について第二項の掲示を行う場合には、その掲示の掲載の順序は、いずれの掲示の掲載の順序も同一となるように当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会が当該選挙の告示があつた日において第八十六条の四第一項又は第二項の規定による届出をすべき時間が経過した後に行うくじで定める順序による。この場合において、当該くじを行つた後、第四十六条の二第二項の規定により変更して適用することとされた第八十六条の四第五項又は第八項の規定による届出があつたときは、これらの規定による届出のあつた公職の侯補者の氏名及び党派別の掲示は、総務省令で定めるところによりするものとする。
7 公職の候補者(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては衆議院名簿届出政党等、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては参議院名簿届出政党等の代表者)又はその代理人は、第三項又は前項のくじに立ち会うことができる。
8 前各項に規定するもののほか、第一項又は第二項の掲示に関し必要な事項は、都道府県の選挙管理委員会が定める。

交通機関の利用
百七十六条 衆議院(小選挙区選出)議員、参議院議員又は都道府県知事の選挙においては、公職の候補者、推薦届出者その他選挙運動に従事する者が選挙運動の期間中関係区域内において鉄道事業、軌道事業及び一般乗合旅客自動車運送事業に係る交通機関(参議院比例代表選出議員の選挙にあつては、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和六十一年法律第八十八号)第一条第一項に規定する旅客会社及び旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律(平成十三年法律第六十一号)附則第二条第一項に規定する新会社の旅客鉄道事業及び一般乗合旅客自動車運送事業並びに国内定期航空運送事業に係る交通機関)を利用するため、公職の候補者は、国土交通大臣の定めるところにより、無料で、通じて十五枚の特殊乗車券(参議院比例代表選出議員の選挙にあつては、通じて六枚の特殊乗車券(運賃及び国土交通大臣の定める急行料金を支払うことなく利用することができる特殊乗車券をいう。)又は特殊航空券)の交付を受けることができる。

通常葉書等の返還及び譲渡禁止
百七十七条 第百四十二条第一項及び第五項の規定により選挙運動のために使用する通常葉書の交付を受けた者、同条第七項若しくは第百四十四条第二項の規定により証紙の交付を受けた者若しくは衆議院名簿届出政党等又は前条の規定により特殊乗車券若しくは特殊航空券の交付を受けた者は、次に掲げるときは、直ちにその全部を返還しなければならない。ただし、選挙運動に使用したためその全部を返還することができないときは、選挙運動に使用したことを証する明細書を添えて、残部を返還しなければならない。
 一 公職の候補者(候補者届出政党の届出に係るもの及び参議院比例代表選出議員の候補者を除く。以下この号において同じ。)にあつては、第八十六条第九項若しくは第八十六条の四第九項の規定により公職の候補者の届出を却下されたとき又は第八十六条第十二項若しくは第八十六条の四第十項の規定により公職の候補者たることを辞したとき(第九十一条第二項又は第百三条第四項の規定により公職の候補者たることを辞したものとみなされる場合を含む。)。
 二 候補者届出政党の届出に係る候補者にあつては、第八十六条第九項の規定により候補者の届出を却下されたとき又は同条第十一項の規定により候補者届出政党が当該候補者に係る候補者の届出を取り下げたとき(第九十一条第一項又は第百三条第四項の規定により候補者の届出が取り下げられたものとみなされる場合を含む。)。
 三 衆議院名簿届出政党等にあつては、第八十六条の二第十項の規定により届出を取り下げたとき又は同条第十一項の規定により届出を却下されたとき。
 四 参議院比例代表選出議員の候補者にあつては、第八十六条の三第二項において準用する第八十六条の二第七項の規定により当該候補者たる参議院名簿登載者に係る記載が抹消されたとき、第八十六条の三第二項において準用する第八十六条の二第十項の規定により参議院名簿届出政党等が当該候補者に係る参議院名簿を取り下げたとき又は第八十六条の三第二項において準用する第八十六条の二第十一項若しくは第十二項の規定により当該候補者に係る参議院名簿の届出若しくは当該候補者に係る参議院名簿登載者の補充の届出が却下されたとき。
2 第百四十二条第一項、第二項及び第五項の規定により選挙運動のために使用する通常葉書の交付を受けた者若しくは候補者届出政党、同条第七項若しくは第百四十四条第二項の規定により証紙の交付を受けた者、候補者届出政党若しくは衆議院名簿届出政党等又は前条に規定する特殊乗車券若しくは特殊航空券の交付を受けた者は、これらのものを他人に譲渡してはならない。

選挙期日後のあいさつ行為の制限
百七十八条 何人も、選挙の期日(第百条第一項から第四項までの規定により投票を行わないこととなつたときは、同条第五項の規定による告示の日)後において、当選又は落選に関し、選挙人にあいさつする目的をもつて次に掲げる行為をすることができない。
 一 選挙人に対して戸別訪問をすること。
 二 自筆の信書及び当選又は落選に関する祝辞、見舞等の答礼のためにする信書を除くほか文書図画を頒布し又は掲示すること。
 三 新聞紙又は雑誌を利用すること。
 四 第百五十一条の五に掲げる放送設備を利用して放送すること。
 五 当選祝賀会その他の集会を開催すること。
 六 自動車を連ね又は隊を組んで往来する等によつて気勢を張る行為をすること。
 七 当選に関する答礼のため当選人の氏名又は政党その他の政治団体の名称を言い歩くこと。

選挙期日後の文書図画の撤去
百七十八条の二 第百四十三条第一項第五号のポスター(第百四十四条の二第一項及び第八項の掲示場に掲示されたものを除く。)及び第百六十四条の二第二項の立札及び看板の類を掲示した者は、選挙の期日(第百条第一項から第四項までの規定により投票を行わないこととなつたときは、同条第五項の規定による告示の日)後速やかにこれを撤去しなければならない。

衆議院議員又は参議院議員の選挙における選挙運動の態様
百七十八条の三 衆議院議員の選挙においては、比例代表選出議員の選挙に係る選挙運動の制限に関するこの章の規定は、小選挙区選出議員の選挙に係る選挙運動が、この法律において許される態様において比例代表選出議員の選挙に係る選挙運動にわたることを妨げるものではない。
2 衆議院議員の選挙においては、小選挙区選出議員の選挙に係る選挙運動の制限に関するこの章の規定は、候補者届出政党である衆議院名簿届出政党等が行う比例代表選出議員の選挙に係る選挙運動が、この法律において許される態様において小選挙区選出議員の選挙に係る選挙運動にわたることを妨げるものではない。
3 参議院議員の選挙においては、比例代表選出議員の選挙に係る選挙運動の制限に関するこの章の規定は、選挙区選出議員の選挙に係る選挙運動が、この法律において許される態様において比例代表選出議員の選挙に係る選挙運動にわたることを妨げるものではない。
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 第十四章 選挙運動に関する収入及び支出並びに寄附(第百七十九条−第二百一条)
 第十四章の二 参議院(選挙区選出)議員の選挙の特例(第二百一条の二−第二百一条の四)
 第十四章の三 政党その他の政治団体等の選挙における政治活動(第二百一条の五−第二百一条の十五)
 第十五章 争訟(第二百二条−第二百二十条)
 (以上省略)
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第十六章 罰則

買収及び利害誘導罪
二百二十一条 次の各号に掲げる行為をした者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
 一 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき。
 二 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対しその者又はその者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して誘導をしたとき。
 三 投票をし若しくはしないこと、選挙運動をし若しくはやめたこと又はその周旋勧誘をしたことの報酬とする目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し第一号に掲げる行為をしたとき。
 四 第一号若しくは前号の供与、供応接待を受け若しくは要求し、第一号若しくは前号の申込みを承諾し又は第二号の誘導に応じ若しくはこれを促したとき。
 五 第一号から第三号までに掲げる行為をさせる目的をもつて選挙運動者に対し金銭若しくは物品の交付、交付の申込み若しくは約束をし又は選挙運動者がその交付を受け、その交付を要求し若しくはその申込みを承諾したとき。
 六 前各号に掲げる行為に関し周旋又は勧誘をしたとき。
2 中央選挙管理会の委員若しくは中央選挙管理会の庶務に従事する総務省の職員、選挙管理委員会の委員若しくは職員、投票管理者、開票管理者、選挙長若しくは選挙分会長又は選挙事務に関係のある国若しくは地方公共団体の公務員が当該選挙に関し前項の罪を犯したときは、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。公安委員会の委員又は警察官がその関係区域内の選挙に関し前項の罪を犯したときも、また同様とする。
3 次の各号に掲げる者が第一項の罪を犯したときは、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
 一 公職の候補者
 二 選挙運動を総括主宰した者
 三 出納責任者(公職の候補者又は出納責任者と意思を通じて当該公職の候補者のための選挙運動に関する支出の金額のうち第百九十六条の規定により告示された額の二分の一以上に相当する額を支出した者を含む。)
 四 三以内に分けられた選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)の地域のうち一又は二の地域における選挙運動を主宰すべき者として第一号又は第二号に掲げる者から定められ、当該地域における選挙運動を主宰した者

多数人買収及び多数人利害誘導罪
二百二十二条 左の各号に掲げる行為をした者は、五年以下の懲役又は禁錮に処する。
 一 財産上の利益を図る目的をもつて公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者のため多数の選挙人又は選挙運動者に対し前条第一項第一号から第三号まで、第五号又は第六号に掲げる行為をし又はさせたとき。
 二 財産上の利益を図る目的をもつて公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者のため多数の選挙人又は選挙運動者に対し前条第一項第一号から第三号まで、第五号又は第六号に掲げる行為をすることを請け負い若しくは請け負わせ又はその申込をしたとき。
2 前条第一項第一号から第三号まで、第五号又は第六号の罪を犯した者が常習者であるときも、また前項と同様とする。
3 前条第三項各号に掲げる者が第一項の罪を犯したときは、六年以下の懲役又は禁錮に処する。

第16章 (以下略)
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第十七章 補則(第二百五十六条−第二百七十五条)
 附則

(以上は省略)
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 以上、全体を見渡して、非常に長く、細かいことまで規制しているというのが強い印象です。

 日頃、安倍内閣の
閣僚が野党の追及にあって辞任に追い込まれるのを見る時などに、なぜ、最近の閣僚(国会議員)はこれほどお粗末なのだろうかと疑問を感じ、選挙制度に問題があるのではないかという思いを抱くことがしばしばです。

 選挙は
公正(平等)である事が望ましいことは言うまでも無いことですが、選挙の目的はあくまで複数の候補者の中から、「民意を反映した」代表者(議員)を選出することで有って、いくら公正であってもその目的を達成できなければ意味が有りません。そして公正であれば必ず目的を達成できるという保障はどこにもありません。

 そのような観点で
今の選挙の実体を見た時に、今の選挙は公正さは保たれているとしても、目的を達成しているのか、民意を反映した代表者を選出していると言えるのか、甚だ疑問と言わざるを得ません。

 日本は制度の上では
完璧な民主主義国家で、公正な選挙を長く持続させています。しかるに近年国政選挙で当選するのは小物ばかりで、政治家としての力量、信念に疑問符の付く者ばかりという印象を拭えません。特に衆議院で中選挙区制を廃止して、小選挙区・比例代表制の併用になってからは、選挙の投票率は低下傾向にあり、また出馬して当選するのは小物ばかりで、政治の劣化が顕著です。

 日本人は決して
愚かな国民ではありません。例えば自然科学の分野では多数のノーベル賞受賞者を輩出しているし、経済の分野では、多数の大企業が世界で活躍しているし、国内では中小企業が力を発揮しています。
 それにしては、選挙制度が整っているにも拘わらず、
政治家のレベルが低く、お粗末すぎるのはなぜかと言う疑問が拭えません。
 原因は一つでは有りませんが、
選挙が有効に機能していないことが挙げられると思います。 
 そして今回「公職選挙法」を垣間見るに至って、公職選挙法こそが
問題の一核心であると考えるに至りました。

 今の公職選挙法は
「平等」、「非金銭」が2つのキーワードになっていると思います。選挙が「平等」に行われることを非常に重視し、微に入り細に入り、規制の網を被せて、選挙運動の「自由」を束縛していると思います。
 そして、公選法の細かい規定は、
金権選挙を廃除するためと思われ、それ自体は必ずしも間違いとは言えませんが、それだけでは不十分です。

 今回
河井前法相妻の案里議員の件で、選挙運動員の報酬が注目されましたが、これは選挙運動の「平等、非金銭」思想を象徴していると思います。選挙運動員の無報酬は、「選挙運動員は、本来ボランティアであるべきだ」という考え方が背景にあると言われています。
 それは確かに一つの考え方ではあると思いますが、
ボランティア→素人→低レベル、となり、無報酬ボランティア主力の選挙は、低レベル選挙に繋がっていると言う側面がある事は否定出来ません。
 また、選挙期間の面でも
無報酬のボランティアが運動員として選挙運動を支えているために、何ヶ月にもわたる長期間の運動には耐えられないという側面があると思います。
 
無報酬のボランティア主体の選挙運動は、低レベルと短すぎる選挙運動期間の二重の意味で、低レベル選挙に繋がっていると言えます。

 選挙が公示され、立候補の届け出を済ませた候補者達が、
選挙運動を始めると同時に、各警察本部「選挙違反取り締まり本部」の看板を出して活動を始めますが、これではまるで、“候補者は犯罪予備軍、選挙は必要悪”と言っているに等しいと思います。

 また、今回の河井前法相と妻の案里議員の件のニュース報道などでは、
“ウグイス嬢”という言葉が繰り返し使われましたが、法律上は「車上等運動員」であり、世間でも「選挙運動員」と呼ばれていることがほとんどで、彼女らを「ウグイス嬢」呼んでいる人は皆無だと思います。当人達の中で、「ウグイス嬢」と呼ばれて、「うれしい」とか、「誇らしい」と肯定的に感じる人がいるでしょうか。彼女達を“ウグイス”になぞらえるのは、中身がなくさえずっているだけという蔑意を込めた“蔑称”だと思います。
 それにも関わらずNHKのニュースはなぜ、繰り返し彼女達を「ウグイス嬢」などと連呼するのでしょうか。
 “ウグイス嬢”という言葉は、総務省の文書にもありました
https://www.soumu.go.jp/main_content/000463070.pdf)ので、多分“官”発祥の
選挙運動者侮辱語だと思います。

 このように見てくると、「公職選挙法」は、民主主義の
選挙“必要悪”とみなし、微に入り細に入りのがんじがらめの規則を作り、中身のある有意義な選挙戦となる事を阻害し、国民の多数意見が政治に反映しないことを目的として制定・運用されているものだと思います。そして、その点はNHK他のマスコミも異なるところがないのです。

 
平等を重視することは、能力のあるものの頭を押さえ無能な者の尻を押す結果を招きがちです。どこかに誰かそういう事態を望む者がいるのでは無いでしょうか。
 以前
鳩山由紀夫(母親が韓国人)が総理大臣になったのは、そういう背景無しにはあり得ない現象であったと思います。
 現在の政治情勢で、
立憲民主党の議員等の国会における言動を見ていると、そういう思いを禁じ得ません。

令和2年3月10日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ