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大病院については「医療体制の逼迫(ひっぱく)」、「かかりつけ医」については、「経営の逼迫」。日本医師会の中川俊男会長は、「逼迫」を連呼するだけ

12月7日の読売新聞は、「小児科支援 特例措置へ 西村再生相」と言う見出しで、次の様に報じていました。
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小児科支援 特例措置へ 西村再生相
2020.12.07 読売

 西村経済再生相は6日のNHK番組で、新型コロナウイルスの感染拡大で
外来患者が減っている小児科などを支援するため、8日に決定する追加経済対策に診療報酬の特例措置を盛り込む考えを明らかにした。医師会の中川俊男会長が番組内で、「診療所の小児科、耳鼻科は(経営が)逼迫している」と指摘。西村氏は「特例措置をしっかり(対策に)盛り込んでいく。医療現場が、必死の思いで頑張っていることに応えていく」と述べた。
 感染が広がる大阪市を念頭に、西村氏は「自衛隊の看護師を派遣することも視野に準備をして行きたい」とも語った。
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 日本医師会の
中川会長ことあるごとに「医療体制の逼迫」を訴えていました。11月18日の読売新聞には、「コロナ急増で『医療提供体制を守れるかの正念場』…日本医師会長が危機感」と言う見出しの下記の記事がありました。
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コロナ急増で「医療提供体制を守れるかの正念場」…日本医師会長が危機感
2020/11/18 18:58 読売
新型コロナ
 
日本医師会の中川俊男会長は18日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染者急増を受け、北海道など各地で医療機関の病床が逼迫(ひっぱく)しているとの認識を示し、「医療提供体制を守れるかの正念場だ」と訴えた。感染者の増加を抑えるため、国民に向け、感染が拡大している地域への移動を控えるよう呼びかけた。

 また中川会長は、「全国での感染の拡大がこのまま続けば、緊急事態宣言発令のような、社会経済活動への大きい措置をとらざるをえなくなる」との強い危機感も示した。
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 日本医師会の中川会長は
国民に「医療機関(大病院)の病床の逼迫」を訴え、政府には「診療所の経営の逼迫」を訴えていますが、医師会長が本来すべき事は、政府・国民への訴えよりも、医師会々員(多くはかかりつけ医)への訴えでしょう。それが反対方向なのは、今や医師会とは医学・医療のための公益団体ではなく、単なる開業医(かかりつけ医)の利益のための、同業組合でしかないと言う事なのです。

 同じ「逼迫」と言っても、
「病床の逼迫」「経営の逼迫」とでは、現象としては正反対の方向だと思います。つまり、「病床の逼迫」とは「多忙」を意味し、「経営の逼迫」とは「暇(ひま)」を意味しています。

 そうであれば、単純に考えれば、
暇で困っている人(医師・看護師)を、交代で多忙な現場へ移動させることはできないのかと考えるのが普通です。それが少しでも出来れば、双方にメリットのある対応です。医師会会長がすべきことは、先ずその可能性を医師会内部で検討し、実現に尽力する事だと思います。それが医師会会長の務めです。

 現状、
大病院は忙しくて、“かかりつけ医”は暇なのです。こう言う時に役に立つのは大病院とその医師であり、反対にいざという時には診療所のかかりつけ医は役に立たないのです。
 今後のことを考えれば、どちらの充実を図るべきかは明らかです。ところが医師会が求めて政府が実施している医療政策は、
大病院から患者を遠ざけかかりつけ医に向かわせることです。
 開業医(かかりつけ医)のための医療政策は
見直しが必要です。

令和2年12月8日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   
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