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国家公務員(総合職)の受験者数減少と、女性の割合増加に逆相関関係はないのか
4月17日の読売新聞と、4月18日のNHKのテレビニュースは、国家公務員(総合職)採用試験の応募者減少が加速していることを、次の様に報じていました。
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「公務員離れ」深刻化…「キャリア」試験申込者、14・5%減の1万4310人
2021/04/17 00:08 読売
人事院は16日、2021年度の国家公務員総合職試験の申込者数が、前年度比14・5%減の1万4310人だったと発表した。現行の試験が導入された12年度以降では最少で、5年連続のマイナス。減少率は過去最大となった。
長時間勤務の過酷さや働き方改革が進んでいないなどのイメージで「公務員離れ」が広がっていることが要因とみられる。いわゆる「キャリア」と呼ばれる幹部候補の総合職も無縁ではなくなっているようだ。
一方、申込者数に占める女性の割合は、40・3%(5772人)となり、初めて4割を超えた。
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キャリア官僚の採用試験 応募者は過去最少 コロナで地方志向か
2021年4月18日 4時56分 NHK
国家公務員の「総合職」の今年度の採用試験への申し込み者数は1万4310人で、前年度から15%近く減り、5年連続で過去最少を更新しました。
人事院は、いわゆる「キャリア官僚」となる国家公務員の「総合職」の来年春の採用に向けた試験の申し込み状況を公表しました。
それによりますと、申し込み者数は1万4310人で、前年度から2420人、率にして14.5%減り、今の試験制度が導入された平成24年度以降、過去最少となりました。
過去最少となるのは5年連続で、減少幅もこれまででもっとも大きくなりました。
このうち、女性の申し込み者数も600人余り減って5772人となりましたが、全体に占める割合は40.3%と、はじめて4割を超えて過去最高となりました。
人事院は「新型コロナウイルスの感染拡大で学生の地方志向が強まり、例年以上に申し込み者の数が減少した」としています。
国家公務員の「総合職」の採用試験は、去年はコロナの影響で日程が2か月余り遅れましたが、ことしは例年通り、今月25日に1次試験が行われ、最終合格者の発表は6月21日の予定です。
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試験申込み者数が減少した原因について、読売とNHKは同じ人事院の話としているが、全く異なる事が報じられている。読売は働き方改革が進まず、長時間労働などで公務員離れが進んだことを原因としているが、NHKはコロナ禍による地方志向の増加が原因としている。
しかし人事院の説明には何の根拠も示されていない。コロナだけでは今までの過去4年間の減少の説明にならないし、具体的な調査結果等なしで、単なる想像で「長時間労働」と結びつけるのは、(官公労組の発言ならともかく)官庁としてあり得ない無謀・無責任である。
人事院は「本当の原因」に触れたく無かったのではないのか。
またNHKは女性の申込者数も前年比で(相対的に僅かではあるが)減少したことを報じた後で、女性の割合が過去最高となったことを報じているが、読売は女性の割合が過去最高となったことだけを報じて、女性も申込者数が前年比で減少したことには触れていない。
女性の割合増加は、申込者数全体の5年連続減少、過去最高の減少率と逆相関関係があるのではないのか。女性の内訳に触れるのであれば、もうすこし掘り下げて欲しい。それをしないのは「逆相関関係」に触れたくないからではないのか。NHKが「女性の人数も減少」に触れたのは、「逆相関関係」の印象を薄めたかったからでは無いのだろうか。
令和3年4月29日 ご意見・ご感想は こちらへ トップへ戻る 目次へ