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権利は平等、義務は非平等を主張する全国知事会飯泉嘉門会長(徳島県知事)の主張は、不合理で身勝手 −コロナ対策は大都市・感染者多数地域の意見を重視すべき−

 8月3日のNHKテレビニュースは、「自宅療養 厚労相“自治体で運用判断” 知事会長“基準明示を”」と言うタイトルで,次の様に報じていました。
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自宅療養 厚労相“自治体で運用判断” 知事会長“基準明示を”
2021年8月3日 19時09分  NHK

 新型コロナウイルスの感染者は
重症患者などを除き自宅療養を基本とするとした政府の方針をめぐって、田村厚生労働大臣は、全国知事会の飯泉会長と会談し、実際の運用は地域の実情に応じて自治体ごとに判断してもらいたいと伝えたのに対し、飯泉会長は客観的な基準を明示するよう求めました。



 田村厚生労働大臣は3日午後、全国知事会の飯泉会長とテレビ電話形式で会談し、
重症患者などを除き、自宅療養を基本とするとした政府の方針を説明しました。

 そのうえで、実際の運用について「感染が急拡大している地域にはこうした考え方も可能だと示したが、
具体的には地域の実情に応じて適切に検討、対応をお願いしたい」と述べ、感染状況などに応じて自治体ごとに判断してもらいたいという考えを示しました。



 これに対し、
全国知事会の飯泉会長は、政府の方針について「あくまでも急激な感染拡大地域についてのオプションだと捉えることが重要で、そうしないと、そうでないエリアは非常に動揺をきたそうとしている」と指摘しました。

 そのうえで「中等症で
入院対象から外れる場合や新たな入院基準に移行する場合の客観的な数値基準を具体的に示してもらえれば、知事としても判断がしやすく、医療従事者にとってもめどが立ちやすい」と述べ、基準を明示するよう求めました。
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 このニュースの中で、
田村厚生労働大臣は、「実際の運用は地域の実情に応じて自治体ごとに判断してもらいたい」と話し、飯泉知事は、政府の方針について「あくまでも急激な感染拡大地域についてのオプションだと捉えることが重要で、そうしないと、そうでないエリアは非常に動揺をきたそうとしている」と指摘したと報じられています。

 要するに
「重傷者以外は自宅療養」という厳しいルール「急激な感染拡大地域」だけのルールとし、「そうでないエリアは非常に動揺するので適用除外とすべきだ」と主張しているのです。
 この会長の発言は、
会長としての発言なのか、「そうでないエリア」の一知事としての発言なのかどちらなのでしょうか。もし会長としての発言であるならば、それは全会員知事の意見を集約したものなのでしょうか。

 要するに「急激な感染拡大地域」と「そうでないエリア」は分けて対策を考えるべきだと言うことです。これは
一理ある主張ですが、そうであれば、それは“制約”に関する時だけの問題では無く、コロナ対策全体“制約”“支援”について、整合性を保つ必要があります。

 新型コロナの感染が拡大した当初、政府は都道府県ごとの
感染者の有無・多寡を問わず全国に緊急事態を宣言し、国民一人あたり一律10万円を支給しました。

 さらにワクチンの接種に関しては、初回の
ワクチン配布は下記の通りの基準で、都道府県別の人口・感染者数の相違をほとんど無視した数量を配布しました。
 人口が約70万人の徳島県に2000回分のワクチン配送なら、人口約1400万人の東京都には徳島県の20倍40000回分が必要となりますが、配送されたのは4000回分に過ぎませんでした。感染者数の違いを考慮すればその違いは更に拡大するかもしれません。



ワクチンを国民に届けよ 大規模計画の舞台裏
(2021年4月22日 12時25分 NHK)より転載

 これらの時に、
飯泉会長は何か政府に対して申し入れをしたのでしょうか。

 本来このような
感染症は、人口が多く、人口密度が高い大都市に大量発生するものですから、対策は制約も支援も感染者が多い大都市中心に為されるべきです。全国一律である必要はありません。

 
全国一律の10万円給付をする一方で、自宅療養の判断は自治体任せとする政府の方針や、全国一律の支援の時は口を噤み、今回の制約の話しになると全国一律に異を唱える全国知事会長(徳島県知事)の発言は整合性が無く、評価出来ません。

 総じて
知事会での東京以下首都圏(大阪も)の扱いは単に「感染源」と言う位置付けであり、感染が拡がっていない地域を守ることだけが声高に主張されました。
 政府にも知事会にも、人口が多く人口密度も高い
大都市を、感染拡大から守る(例えば緊急に仮設建物等で病室・病床を新設・増設する、医療機器、薬品を優先・集中投入する)と言う支援の視点は皆無で、対策として実施されたのは飲食店などの営業規制、住民の外出規制などの規制ばかりでした。
 (自衛隊による東京・大阪の大規模接種は、災害発生の度に繰り返される“自衛隊活用”の一環と思われ、大都市優先・集中とは少し事情が異なると思います。最初は順調の様でしたが、一時、予約に大量の空きがあると報じられていました。その後の成果は報道がないのでよく分かりません)

 そんな中で7月30日の日経新聞は
全国知事会の会長人事について、次の様に報じていました。
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全国知事会の飯泉会長、次期会長選に不出馬表明
地域総合
2021年7月30日 15:26  日経 
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC304LK0Q1A730C2000000/



オンラインで記者会見した徳島県の飯泉知事
 
全国知事会の会長を務める徳島県の飯泉嘉門知事は30日、自身の任期満了(9月2日)に伴う次期会長選挙に出馬しない意向を表明した。1期2年で退任する。県の定例記者会見で「大都市部と地方の連携、知事会の提言機能の強化、存在感の向上という3つの公約を前進させることができた。路線を受け継ぎ、さらに推進できる人に次を委ねたい」と述べた。

 8月30日に予定される知事会長選には、
鳥取県の平井伸治知事が出馬の意向を示している。飯泉会長は平井氏について「知事会において新型コロナウイルス対策を二人三脚で推し進めてきた」と評価した。
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徳島県鳥取県には共通点があります。それは下記の様に人口が非常少ない県だと言うことです。知事会での意思決定はすべての知事が平等で、人口の多寡は考慮されていないようですから、このように人口の少ない県が数の上で多数(優位)を占め、人口比とは無縁の多数意見がまかり通ると言う、不正に近い歪んだ実態があります。
 
大都市に於いて、有効な病床確保が進まないのは、知事会が有効に機能せず、政府に対して誤った発信をしているのが一因だと思います。

【都道府県】人口ランキング・面積ランキング・人口密度ランキング (uub.jp)
順位    人口
1 東京都 14,064,696
2 神奈川県9,240,411
3 大阪府 8,842,523
4 愛知県 7,546,192
5 埼玉県 7,346,836
6 千葉県 6,287,034
・・
44 徳島県 719,704
45 高知県 692,065
46 島根県 671,602
47 鳥取県 553,847

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