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職業選択の自由を奪う「郵便法」

 景気対策として全国で交付されている地域振興券の配達を、一部の自治体が、民間宅配業者に委託しようとしたところ、郵政相が地域振興券は郵便法に定められた「信書」に当たり、宅配は不可との見解を示し、自治省も民間に委託しないように各自治体に指導していたことが報じられました(2月19日産経新聞夕刊)。

 商品券の類である振興券に、「使用者は交付された本人か代理人、及び使者に限られる」と言う注意書き文言が印刷されているから、「信書」に当たるというのは屁理屈であり、信書の範囲の不当な拡大解釈であると思います。商品券にだって何らかの注意書きぐらいは書いてあるはずです。郵政大臣には書類が信書に当たるかどうか裁定したり、その結果を自治体や、民間企業に通知して拘束する権限はあるのでしょうか。このような「指導」は法的根拠のない、「行政指導」以前の横暴だと思います。

 宅配業者にできることをなぜ公務員が禁止し、仕事を取り上げなければならないのでしょうか。一体、公務員というのは、誰のために、何のために存在するのでしょうか。公務員とは民間企業ではできないことをする為に存在するのであって、民間企業と競合する役所は不要であり、行革の対象として廃止すべきであると思います。宅配に限らず、今や貯金や簡易保険の分野でも「官」の分野が肥大して民業を圧迫し、郵政省の仕事が国民のためではなく、公務員自身のためとなってしまっています。地域振興券の目的は景気対策です。公務員が民間企業の仕事を奪うのはその趣旨にも反します。

 通信の秘密の必要性は官庁が「信書」の配達を独占することを正当化する理由になりません。秘密を保持することが必要な電話などの通信事業は、すべて民間企業が行っていて何の問題もありません。信書を扱うことだけ民間企業の参入を禁止する理由がありません。正当な理由もなく国民の自由な職業選択、経済活動を禁止するのは国民の基本的権利を保証した憲法に反します。郵政相があくまで「郵便法」を盾に、地域振興券の配達から民間企業を閉め出そうとするなら、宅配業者は「郵便法は違憲」として裁判で争うべきだと思います。

 宅配業者は以前は運輸省の許認可行政に泣かされ、大手のヤマト運輸が事あるごとに運輸省の嫌がらせを受けて、事業の拡大を妨害された事はよく知られています。最近でも「日本財団」の役員人事をめぐり、「ヤマト運輸」出身者が運輸省によって拒否されたことは記憶に新しいところです。普段は何かと反目し合う中央官庁(今回は郵政省と自治省)が役所の垣根を越えて直ちに同一歩調を取り、さらに高級官僚も下級官僚(全逓、自治労)も一丸となって、利権の確保、拡大に汲々としている、こういう役所の体質こそが日本経済再生を妨げているガンだと思います。

平成11年2月20日    ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ