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国会の討論は、野党議員による政府追及質問と答弁の一方通行でなく、与党(議員)による野党(党首)にたいする質問、追及と「答弁」も実現すべき

 3月20日のNHKのテレビニュースは、「高市大臣『質問しないでほしい』発言を撤回 行政文書をめぐり」と言うタイトルで次の様に報じていました。
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高市大臣「質問しないでほしい」発言を撤回 行政文書をめぐり
2023年3月20日 21時12分 NHK

高市経済安全保障担当大臣は先週の参議院予算委員会で「私の答弁が信用できないのであれば、
もう質問しないでほしい」とした自身の答弁について、委員長からの注意を重く受け止めるとして、撤回しました。

一方、松本総務大臣は、高市大臣が
「ねつ造だ」としている行政文書をめぐり、作成者らがねつ造ではないという認識を示していることを明らかにしました。

放送法が定める「政治的公平」の解釈に関する総務省の行政文書をめぐり、高市大臣は先週、参議院予算委員会の質疑で、立憲民主党から答弁の内容が変わり信用できないと指摘されたのに対し「私の答弁が信用できないのであれば、もう質問しないでほしい」と答弁しました。

高市大臣は、20日午前の参議院予算委員会で、この
答弁について末松委員長から注意されましたが、撤回しませんでした。

立憲民主党は、答弁の撤回や謝罪がなければ審議に応じられないと抗議しため、午後の委員会は30分遅れて始まり、高市大臣は「委員長からの注意を重く受け止め、
撤回をする」と述べました。

一方、松本総務大臣は、高市大臣が「ねつ造だ」としている行政文書の一部について、「聞き取り調査に対し、関係者は『
ねつ造との認識はない』と発言している」と述べました。

これを受けて立憲民主党は「
『ねつ造された』という発言には正当性がなく、潔く辞職すべきだ」と迫ったのに対し、高市大臣は「ありもしないことが、あったかのように作られたものだ」と述べ、内容を重ねて否定しました。

岸田首相「
『政治的公平』の解釈 政府の見解は一貫」
岸田総理大臣は、放送法が定める「政治的公平」の解釈について、訪問先のインドで記者団に対し「所管する総務省で説明し、その中で政府の見解は一貫しているということを申し上げている。これからも一貫していくものだと思っている。高市大臣については引き続き、
丁寧な説明を心がけてもらいたい」と述べました。
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 本来の争点は免許行政の典型である
「放送」はどうあるべきかという点であるべきで、「捏造か捏造でないか」の追及は、議論の本質から外れた揚げ足取りですが、なぜ、国会の議論がこのような低次元になるのでしょうか。

 それは国会の議論の形式が、明治時代から官と民の争い、民による
官に対する追及を本旨としてきたからです。現代に於いても、議論の場である各委員会は野党議員による政府(総理大臣・各閣僚)に対する一方的な追及の場と化していて、野党議員は攻撃するのみで、攻撃されることがありません。与党議員による政府・閣僚に対する馴れ合い質問は意味がありません。これは“議会政治”の健全な姿ではありません。

 
議会における討論は“官”と“民”の間ではなく、与野党間、政党間の論戦を本旨とすべきです。
 野党による政府・与党追及だけの場では無く、
与党(議員)による野党(党首)にたいする質問、追及とそれに対する「答弁」も当然の義務とすべきです。自民党議員による共産党の党首に対する質問・追及の場が実現されれば、彼らは“ボロボロ”になるでしょう。

 そういう場がなく、
議会が彼らの一方的な攻撃の場と化していることが、彼らの揚げ足取り質問の横行を招き、また共産党の生き残りを許している原因です。

 国会で
政府・与党が防戦一方で、勢い発言は迫力を欠き、一方で野党は追及するだけで、批判・追及されることがない事が、無能な野党議員が揚げ足取りに終始する原因です。
 議論における発言で大事なのは
“丁寧”よりも“中身”です。

令和5年3月21日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ