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経済の悪化に為すすべもない大蔵省、日銀
 

 日本経済は日に日に悪化しています。これに対して大蔵省、日銀らの経済官僚は為すすべを知りません。自らの保身ばかり考え、都合の悪い経済実態は認めようとせず、どうしようもなくなってからようやく認めるというパターンのくり返しです。何をするにもタイミングを失し、二手も、三手も打つ手が遅れ経済はのっぴきならない状態に陥りつつあります。

 現在景気はいっそう厳しさを増し、デフレの恐怖が迫っています。それに対して大蔵省、日銀のエリートがしていることは、相も変わらぬ景気対策の公共事業の追加、金利の引き下げです。十年一日、判で押したようにこれだけです。公共事業は平成4年以降、補正予算ですでに60兆円もの予算を投入しています。金利ももうこれ以上下げられないところまで下げて3年目になります。彼らはもうこれ以上打つ手がありません。しかし景気は一向に回復しません。それは、経済の実態が時代とともにあらゆる面で、少しずつ変わっているからです。昔の経済の教科書に書いてあることを、バカの一つ覚えのようにしているだけでは、効果がでなくなってきているのです。何がどう変わってきているのか。そして、それに対してどう対処したらいいのか。未知の分野に対応して行かなくてはならないのです。受験勉強だけの秀才には教科書に書いてないこと、教えられなかったことはどうしたらいいのか分からないのです。

 大蔵省、日銀をはじめ高級官僚の世界は学歴万能の社会です。最終学歴、入省試験の順位がいつまでもものを言う世界です。学校で勉強がよくできると言うことは人が教えることをよく理解する能力があると言うことです。そしてよく理解できたかどうかは筆記試験によって評価されます。筆記試験でよい点数がとれるかどうかは記憶力(暗記力)の善し悪しと、根気強さによって大きく左右されます。また、試験でよい成績がとれるよう反復訓練をすることによっても、よい点数がとれるようになります。確かに人の教えをよく理解する能力も大事な能力のひとつではありますが、社会で役に立つのはそのような暗記力、反復訓練で上達する能力だけではありません。指導的立場につく人にに求められるのは、たとえば洞察力、判断力、創造力、説得力などです。学校の成績ではこういう能力は評価できないのです。民間企業では学歴主義はとっくの昔に過去のものとなっています。
 数十年にわたってこのような能力を欠いた、いびつな人間を採用し続けたことが、今回の経済悪化、接待汚職を生んだのだと思います。

平成10年5月30日     ご意見・ご感想は   こちらへ      トップへ戻る      H目次へ