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公務員給与 民間準拠の根拠はあるのか

 8月26日の読売新聞夕刊に「京大 遅ればせながら・・・職員の手当電算処理化」と言う見出しの記事があり、「京都大学の事務局が国立大学で初めて、これまで手作業で行っていた約1万人(1万人もいるの!)の教職員の扶養、通勤、住宅各手当の認定や管理を今月から電算化した。・・・国の省庁や出先機関では、企業や私立大などと違って、手当支給体系が、人事院規則で細かく規定され一人ひとりのばらつきが大きく、手作業で計算するのが長年の慣例。・・・」と報じられました。

 手当支給体系が、人事院規則で細かく規定されているのが原因とのことですが、複雑で、煩雑な制度を次から次へと作って仕事を増やし、合理化、簡素化をせず非効率な制度を放置しているのはお役所仕事の特徴です。何の言い訳にもなりません。複雑な手当の一例として、通勤手当が、「合理的かつ、10円でも安く」をモットーに、非常に繁雑な事務手続きを必要としているそうですが、手作業で余計な人件費をかけているばからしさに彼らは気がつかないのでしょうか。気がついても改善する気がないのでしょうか。

 「『今頃』驚く私大」と言う見出しで、「早稲田大人事課では『10年以上前からコンピューター処理している。国立大や省庁が未だに手作業だったとは知らなかった』と言っている」とも報じられています。

 これは、お役所仕事の氷山の一角、一例に過ぎないと思います。人事院は、公務員のベアを勧告するに当たり、いつも、民間の実態を調査し、民間に準拠したと言っていますが、肝心なことを調査していません。それは、公務員が、民間と同じ仕事をしているのかと言うことです。民間と同じ効率、同じ生産性の仕事をしているかと言うことです。記事の中で、「人事院も『電算化した省庁の例は聞いていない』としている」あります。人事院は民間の実態を知らなかったのでしょうか。「人数が多いから一流大企業と同じ。机に座って事務をしているから、銀行員と同じ」では、大変な認識の誤りです。      

平成11年8月27日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ