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ちっとも厳しくない公務員の大量処分(大量処分は無責任体質の現れ)

 一連の警察の不祥事件の処分が報じられました。新聞の見出しを見ると、「京都府警23人処分」、「大阪府警16人処分」(11月26日読売新聞)、「本部長ら23人処分」、「大阪府警は16人」(11月26日産経新聞)と、いずれも人数の多さを強調しています。はたして人数が多いことは、厳しい処分を意味しているのでしょうか。

 記事を見ると、京都府警では警察官による覚醒剤の不法所持に関して、不法所持した本人二人を含めて停職1ヶ月が3人、減給百分の十(2ヶ月)が1人、減給百分の五(1ヶ月)が4人で、あとは戒告10人、本部長訓戒3人、所属長訓戒2人、合計23人となってます。

 大阪府警では、警察官が中国人の集団密航に加担した事件で、起訴された本人が懲戒免職となった他は、戒告1人、本部長訓戒5人、警務部長訓戒3人で、捜査関係事項照会書を偽造し、戸籍謄本などを不正に入手していた事件では、本人が懲戒免職となった他は、戒告2人、本部長訓戒2人、所属長注意1人など、合計16人となっています。

 これについて新聞は、「一度に20人を越える処分は異例で、京都府警としても過去最悪の処分数となった」、「・・・異例とも言える大量の幹部処分となった」(産経新聞)、「・・・責任ある者に絞り込んで厳正に処分した(京都府警 熊崎義純警務部長)」(読売新聞)と、報じています。

 一体これらの処分のどこが厳しいのでしょうか。京都府警の処分は、免職も解雇も降格もなく、覚醒剤を不法に譲り受け、所持していた本人も、停職はたったの1ヶ月です。減給10%、5%は実額にしたら一体いくらのペナルティーになるのでしょうか。戒告以下については単に口先だけ、紙切れだけの処分に過ぎません(戒告、本部長訓戒、警務部長訓戒、所属長訓戒、所属長注意、と5種類ありますが、どこがどう違うのでしょうか)。大阪府警に至っては、停職、減給すらありません。こんなのを「処分」というのでしょうか。人数が多いだけで、中身のない処分です。

 公務員はなぜこのような、中身のない大量処分をするのでしょうか。それは処分者を多くすることによって、中身のない甘い処分を、厳しい処分であるかのように見せかけるとともに、責任の所在を曖昧にし、集団責任として実質的にだれも責任をとらずに、お茶を濁すためだと思います。

平成11年11月28日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ