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新潟県警本部長以上に罪が重い警察庁

 新潟県の女性監禁事件で、被害者発見当日、県警本部長が温泉ホテルで飲食をしていて、帰庁しなかったことが非難されています。この事件が重大事件視されるに至ったのは、監禁状態が長期で異常であったためで、詳細が分かっていなかった段階で、単なる行方不明者の発見程度と軽く判断し、帰庁しなかったのは致命的な判断ミスではなかったと思います。

 それよりも問題なのは、虚偽の発表をしたことを調査するために派遣された、警察庁の「特別調査チーム」と、特別監察に来ていながら、そのあと小林本部長らと温泉ホテルで酒を飲み、麻雀などをしていた中田好昭・関東管区警察局長だと思います。

 「特別調査チーム」は、警察庁の上田正文・官房審議官を長とし、捜査一課長や地域課長ら計5人で、県警の小林本部長や百田春夫・県警刑事部長、長谷川征司・同生活安全部長らから、約5時間半にわたって聞き取りをした(2月21日朝日新聞報道)にもかかわらず、今回の温泉宿泊の事実は全くつかめずに終わっています。一体どんな聞き取り調査をしたのでしょうか。新潟県に住む本部長が誰と何用で温泉ホテルに宿泊したのか、「特別調査チーム」は本当に知らなかったのでしょうか。彼らは捜査のプロのはずです。知らなかったとすれば、あまりにお粗末です。

 警察庁は、2月24日開かれた国家公安委員会(委員長=保利耕輔自治相)に、今回の温泉ホテル宿泊には何も触れていない調査結果を報告しましたが、その報告書は、2月26日の朝日新聞社説によれば、「国家公安委員会に報告された文書は、わずか3枚である。調査は表面的で、虚偽発表に至った経緯の究明はおろか、再発防止のためにも十分とはいえない内容だ」そうです。「特別調査チーム」は、単に国民の怒りの「ガス抜き」のためにおざなりの調査をしただけだと思います。

 次に、中田好昭・関東管区警察局長についてですが、監察のあとで監察をしたものと受けた者が一緒に温泉ホテルに宿泊し、酒を飲み麻雀に興じるというのは、監察がいかになれ合いで緊張感に欠けたものであったかを窺わせるに十分です。監察の仕方を抜本的に考え直さなければダメだと思います。内部で誰がいくら「厳しい」監察をしても効果は期待できず、無駄だと思います。

 中田局長については、飲食が監察のあとだったので何の処分も受けないとされましたが、警察庁は、ことの重大性が分かっていないと思います。問題の飲食、麻雀は監察の当日の出来事であり、前か後かは本質にかかわる問題ではありません。もしかしたら、これが警察庁の監察の常態なので、彼のみを厳しく処分することはできないという実態があるのかもしれません。中田局長を処分しないという判断をしたのが、田中節夫警察庁長官であれば彼の責任が問われなければなりません。

平成12年2月27日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ