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逃げも隠れもしない犯人を捕まえることに熱心な最近の警察

 10月13日の産経新聞に、「刑法犯 摘発、最低の33%」と言う見出しの記事があり、平成11年の犯罪検挙率が史上最低を記録したことが報じられました。

 記事によると平成11年度は、殺人事件の発生が1,265件(摘発率96.4% 前年比1.3%低下)、強盗事件4,237件( 同66.4% 9.9%低下)、窃盗事件1,910,393件(同29.4% 4.0%低下)と、摘発率がいずれも低下し、史上最低になったそうです。

 この、警察の不振を取り繕うかのように、最近警察が力を入れているのが、逃げも隠れもしない犯人の摘発です。具体的には、「雪印」の食中毒事故、「東海村」の臨界事故、それから、いわゆる「ドメスティック・バイオレンス(身近な男性から女性への暴力)」などです。

 「雪印」と「東海村」の事故はいずれも、過失によるものです。事件と言うよりも事故と言うべきであって、本来は保健所や科学技術庁が調査の主役となるべきものです。そして、調査の目的は原因の究明と、再発防止が主であるべきです。もともと警察本来の仕事ではありません。それにもかかわらず、一連の不祥事で信用と面目を失墜した警察が、汚名挽回を狙って強引に捜査をしています。「雪印」では、特別捜査本部まで作る張り切りようですが、しょせんは「食中毒事故」、「業務上過失傷害事件」に過ぎません。こんな事件に捜査本部を作るほど、大阪府警はヒマなのでしょうか。「東海村」では事故から丸一年経って、JOCの所長ら6人を逮捕しましたが、逃げも隠れもしない彼らを逮捕する必要があったのでしょうか。
 警察はこれらの「逃げも隠れもしていない」過失犯罪の犯人を捕まえることよりも、「逃げ隠れしている」犯人を検挙することに力を入れるべきだと思います。

平成12年10月13日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ