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公務員採用は誰のため

 11月5日の読売新聞に、来春採用が内定した国家公務員幹部候補生(キャリア)の内、東大出身者の割合が53%ととなり、再び50%を超えたことが報じられました。

 記事によると、
「事務系の内定者は252人。出身大学は、東京大学出身者が134人で53%を占め、・・・」、
「政府は宮沢内閣時代の92年、多様な人材確保のため、キャリア組の東大卒の比率を『5年で50%以下に』との目標を打ち出した」、
「『特定大学出身者を排除すれば逆差別になる』と省庁の人事担当者はあくまで結果論であることを強調する」

などと報じられています。

 官僚側は、「逆差別」という言葉を持ち出して東大集中を正当化していますが、特定大学に偏った採用は問題がないのでしょうか。確かに合否に当たって出身大学で差別するのは良いこととはいえません。公平さは尊重されなければならないと思いますが、採用に当たって大事なことは、学生を公平に扱うということだけでしょうか。それだけを考えていればいいのでしょうか。

 いくら公平な選考の結果であっても、結果として特定の大学出身者に合格者が偏った場合、不都合はないのでしょうか。考え方が偏る、人事が不公平になる、他の大学出身者が入りにくくなるなどの弊害が考えられます。だからこそ政府は50%以下(50%でも多すぎると思います)という目標を立てたのではないでしょうか。政府が立てた目標を官僚が「逆差別になるから」と言って無視して良いものでしょうか。そう言うことを言っている採用担当者の大半は東大出身者ではないのでしょうか。

 公務員は国民が国民のために採用するものです。役所は国民のために存在するのであって公務員のためにあるのではありません。幹部職員の採用に当たっては、公平さも大事ですが、役所が効率的に円滑に機能し、国民のために最良の仕事をすると言うことはもっと大事なことです。そのために必要であれば、採用に当たって多少公平さが犠牲になることはやむを得ないと思います。公務員採用で一番重視し、大事にすべきことは学生のことではなく、国民の利益であると言うことを、役所の採用担当者は忘れています。

平成12年11月5日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ