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規制緩和に反する金融庁の経営介入

 10月5日の読売新聞に「新生銀に業務改善命令」、「中小企業に貸し渋り」という見出しで、金融庁が新生銀行の経営に介入したことが次のように報じられていました。

 「金融庁は・・・中小企業向け融資残高が経営健全化計画を大幅に下回ったとして、新生銀行に・・・業務改善命令を出した。景気低迷による貸出先の業績不振などを背景に、銀行の貸し渋りや、融資返済を迫る“貸しはがし”が問題化しているが、金融機関が中小企業貸し出し計画の未達成で行政処分を受けたのは初めて」

 一体、経営健全化とは誰を健全にすることなのでしょうか。健全化とは銀行を健全化することであって、融資先の企業を健全化することではないはずです。業績不振の中小企業に貸し出しを続けることと、融資を引き上げることでは、一体どっちが銀行の健全化に寄与することになるのでしょうか。破綻した旧長銀に公的資金を投入して再生させたのは、金融秩序を崩壊させないためであって、中小企業を支援することが目的ではなかったはずです。

 金融庁の命令に従って中小企業への融資を続けた結果不良債権となったら、一体誰が責任をとるのでしょうか。金融庁が損失を補填してくれるのでしょうか。そこまでするのなら銀行国有化と同じです。経営破綻した旧長銀をいったん国有化したにもかかわらず、再び民営化したのは何の為なのでしょうか。金融庁が銀行経営に口を出すのなら、民営化にする必要はなかったと思います。

 金融庁の官僚に銀行経営が出来ると思っているなら、やってみればいいと思います。そのつけは必ず何倍にもなって国民の負担となって返ってくるはずです。

平成13年10月5日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ