H38
ヤコブ病和解解決に見る公務員のモラルハザード
 

 ヤコブ病訴訟和解解決のマスコミ報道を見ると、「被害者救済」の観点からこれを歓迎するものがほとんどですが、一般国民から見て今回の和解による高額の「見舞金」支払いは、歓迎できるものではありません。一体、なぜ国は国民の税金から350万円もの高額の見舞金を支払うのでしょうか

 裁判所は「被害者」の早期救済を前面に押し出して、国に和解を強要しましたが、国に責任があるのか無いのかを明確にすべき裁判所が、その責任を果たしていません。国が「加害者」でないのなら患者は「被害者」とは言えないと思います。患者が「被害者」なのか否かを明確にせずに、「被害者救済」というのは、誤りだと思います。

 また、厚労省は明確な根拠も無しに、税金による高額の見舞金支払いに同意しましたが、彼らは自分たちの責任問題にさえならなければ、「見舞金」などと言う根拠のない公金支出に何のためらいもないようです。彼らが関心があったのは国に責任があるかないかではなく、自分たちの責任が追及されるか否かだけだったと思います。裁判所もそれを見越して和解を勧めたのではないでしょうか。判決よりも和解の方が裁判所も楽であることは言うまでもありません。

 裁判所と厚労省の官僚が、事件の責任の所在もその根拠も明らかにせず、つけだけを国民に回して安易な決着を図るのは無責任極まりなく、公務員のモラルハザードという他はないと思います。

平静14年3月3日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ