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外務省問題とは鈴木宗男問題か(改革を妨げる鉄のトライアングル)
 

 3月16日の産経新聞の投書欄「談話室」は、テーマ投稿で「外務省」がテーマでした。寄せられた投書のタイトルは次のようなものでした。

「外務省改革は精神改革から」
「外国で感じた大使館員の差」
「人事評価政に民間人導入を」
「身内の世界で自浄能力なし」
「親切心欠ける在外大使館員」
「仕事の誇りも何もない官庁」
「人間としての誇り取り戻せ」
「今も変わらぬ常識外の役所」
「国民が求める自主的な外交」
「日本局設けて監視体制作れ」
「大切な機密費国益に使って」
「“民間感覚”で改革の断行を」


 この中のいくつかを紹介すると、「外国で感じた大使館員の差」は、66歳の男性の投書で、「・・・私は東南アジアのある国に合弁会社を設立した。大使館へ業務開始の挨拶に赴いた際、・・・『われわれは日本の国の代表であり、一企業には関係ない。大使館に迷惑のかからないようにして欲しい』と、いかにも何をしに来たのか、と言わんばかりの対応であった。数カ月後に、私の会社にドイツ大使館員が数人の民間人を連れて訪ねてきた。『この度、わが国の企業が当地に進出したので、よろしく協力してほしい』との挨拶であった。日本とドイツの大使館員の態度の差に唖然とした」

 もう一つ、「今も変わらぬ常識外の役所」は、48歳の男性の投書で、「香港に長年住んで、不動産関係の仕事をしている。時には在香港領事館のお世話になることがある。ここにはチョビひげもおれば、タワシを鼻の下にくっつけたような異様なひげの領事もいた。・・・人相・風体が良くない。どう見ても堅気に見えないし、これでまともな外交活動が出来るのかと不思議に思っていた」

 多くの国民が考える「外務省問題」とは、こういう問題だと思います。ところが、朝日新聞のHP「asahi.com」の中の「外務省問題」でまとめられている過去の記事の見出しは次のようになっていました。

朝日新聞のニュース特集

鈴木氏の原型は故角栄氏と安倍副長官が田中前外相批判 (03/17)
外務省の文書開示めぐり外相が釈明 「恣意的ではない」 (03/17)
鈴木氏地元入り 後援会幹部集め釈明 (03/17)
内部文書開示、副大臣も関与 外務省がルール化 (03/17)
自民が反対、鈴木氏の辞職勧告決議案を否決 北海道議会 (03/15)
鈴木氏はあくまで議員辞職を 野党一斉に批判 (03/15)
深く反省、党に迷惑かけると思い離党決断…鈴木氏会見 (03/15)
鈴木宗男氏離党表明・記者会見全文 (03/15)
鈴木的な人、ほかにもいる」 田中真紀子氏がコメント (03/15)
鈴木氏の離党、「本人の判断尊重する」 小泉首相 (03/15)
文部官僚、鈴木氏秘書ムルアカ氏に私大講師の職を紹介 (03/15)
鈴木代議士が自民党を離党 焦点は辞職問題に (03/15)
実弾訓練で鈴木代議士に詳細報告 防衛施設庁認める (03/15)
自民政倫審、鈴木氏から事情聴取 離党求める構え (03/15)
OECD大使に登氏、「異常な関係」の西村氏帰国へ (03/15)
鈴木氏離党すべし」23人 自民都道府県連幹部 (03/15)
鈴木氏のおひざ元で議員辞職決議 函館、苫小牧両市議会 (03/15)
暴行認めた外相答弁は「事実無根」 鈴木氏が反論 (03/14)
鈴木氏から意見聴取の上18日に結論 自民党政倫審 (03/14)
鈴木氏、JICA研修施設の帯広市誘致を働きかけ (03/14)
外務省、内部文書を大放出 情報公開それともリーク? (03/14)
鈴木氏が反論コメント 「打ち切り」発言など (03/13)
鈴木問題」で局長ら欠席 日ロ次官級協議 (03/13)
ロシア外相、領土交渉「並行協議」の合意否定 (03/13)
「改修で十分」の発電所、鈴木氏の訪問後に「新設」 (03/13)
影響力に配慮、抗議せず 鈴木氏暴行で外務省 (03/13)
鈴木氏から15日に事情聴取 自民党が政倫審で対応協議 (03/13)
外務省職員に暴行も 鈴木氏、国後島での植樹に反対され (03/13)
鈴木氏の離党・議員辞職勧告求める決議 自民党高知県連 (03/13)
沖縄の米軍用地代で鈴木氏、増額に圧力 地主側は献金 (03/13)
ムルアカ氏に旧科技庁の奨学金1083万円 (03/13)
秘書ムルアカ氏の外交旅券は「偽造」 コンゴ政府回答 (03/13)
鈴木氏の「打ち切り」発言波紋 「とんでもない」と首相 (03/12)
辻元氏の「うそつき」発言に「侮辱」と鈴木氏が処分要求 (03/12)
鈴木宗男氏、「北方領土不要」発言を否定 (03/12)
鈴木氏の辞職勧告決議案提出へ 北方領土発言も批判 (03/12)
鈴木氏、釧路合同庁舎建設でも「地元業者参加を要請」 (03/12)
外務省・松尾元支援室長に、懲役7年6カ月の実刑判決 (03/12)
役所で強制よくない 武部農水相が鈴木宗男氏を批判 (03/12)
自民党内に鈴木氏自発的離党論強まる、野党は辞職勧告へ (03/12)
「返還は無益」発言、鈴木氏追い込む文書開示 外務省 (03/11)
北方四島支援事業が最大の焦点 鈴木氏11日に証人喚問 (03/11)
鈴木氏、硬い表情で「記憶にない」 反省の言葉何度も (03/11)
鈴木氏元地元秘書に給与 国後島桟橋受注会社 (03/11)
鈴木氏要求の当日、支援委「該当1社」の報告 国後入札 (03/11)
出処進退は本人が決めること 鈴木氏喚問で小泉首相 (03/11)
鈴木氏喚問、疑問深まった 野党、再喚問や辞職要求方針 (03/11)
ムルアカ氏ビザ発行、代表機関役員明記し鈴木氏名で申請 (03/11)
業者選定関与を否定、根室重視は要請 鈴木議員証人喚問 (03/11)
鈴木宗男議員の証人喚問 やりとりの詳報 (03/11)
鈴木氏「領土返還要求打ちきるべきだ」外務省に内部文書 (03/11)
外務省に大幅な人事刷新求める 首相が次官に指示 (03/11)
コンゴ臨時代理大使の査証発行関与「記憶にない」鈴木氏 (03/11)
IDカード問題「威圧的だったなら反省」 鈴木氏 (03/11)
鈴木宗男代議士の証人喚問始まる 衆院予算委 (03/11)
北海道選出の3代議士、鈴木宗男氏からの寄付金返却へ (03/08)
「外務省大がかりな人事刷新を期待する」 小泉首相 (03/08)
歯舞・色丹の土地取得ビジネスを共産党が指摘 (03/08)
鈴木宗男氏の辞職勧告決議案、野党4党が提出へ (03/08)
鈴木宗男氏の首相特使任命は「問題ない」 政府が答弁書 (03/08)
物品調達めぐる「内部文書」の存在認める 防衛庁長官 (03/08)
支援委休止、報告公表後知った 外相、報告の遅れ認める (03/08)
佐藤前分析官、公務出張中に鈴木氏の地元夕食会に出席? (03/07)
旧北海道開発庁事業全体に調査広げる 鈴木氏圧力問題 (03/07)
発電所も「物品」 北方四島「支援委」ずさん (03/07)
四島支援、政府内に予算凍結論強まる (03/07)
北方支援事業の支援委員会見直しを指示 小泉首相 (03/06)
5月の連休明けに中間報告 外務省を「変える会」初会合 (03/06)
はしけ船でも異例の短期入札 鈴木宗男氏の支援業者落札 (03/06)
農水相「政治家との会食禁止」の号令 会費制もだめ (03/06)
外務省局長答弁、調査報告と食い違う 消費税上乗せ問題 (03/06)
公務員改革の中で「政」と「官」検討 石原行革相 (03/05)
外相、鈴木氏の「人事」への介入を認める 佐藤氏問題 (03/05)
日ロ青年交流も調査 訪日の6割、鈴木氏と面会 (03/05)
扇大臣「鈴木氏の圧力、濃厚」 旧開発庁に予算凍結要求 (03/05)
東郷氏ら意向受け指示 ムネオハウス入札関与疑惑 (03/05)
鈴木宗男代議士の証人喚問、11日午前9時から (03/05)
大西氏、鈴木氏怒っていると「局長言った」 参院予算委 (03/04)
桟橋受注3社も鈴木氏へ献金、6年で3300万円 (03/04)
11日までに鈴木氏喚問へ 予算案通過後の方針 (03/04)
鈴木氏自身、コンゴ臨時大使のID発給しないよう動く (03/04)
鈴木氏「考え述べる」 喚問「国会の決定に従う」 (03/04)
鈴木氏、国後島桟橋改修で入札参加資格の変更求める (03/04)
外相、深紅スーツの「勝負服」で会見 鈴木氏問題 (03/04)
川口外相、鈴木氏との関係は「異常」 幹部の責任認める (03/04)
「ムネオハウス」へ鈴木氏影響認める 外務省報告書提出 (03/04)
鈴木氏との「深い関係」明記 外務省報告書発表へ (03/04)
内閣支持率44%に低下 不支持率上昇40% (03/03)
鈴木氏、小選挙区変更機に業者との接触増加 外務省調査 (03/02)
国際学会出張費を支援委に回す 外務省・東郷局長指示 (03/02)
鈴木氏の首相特使任命は「本人の申し出」 政府答弁書 (03/02)
「着任めぐり鈴木氏横やり」前コンゴ臨時代理大使が証言 (03/01)
予算案の衆院通過後に鈴木氏喚問の方針 自民 (03/01)
鈴木氏の北海道開発庁圧力疑惑で、扇国交相が調査を指示 (03/01)
鈴木氏との関係を人事の参考に、調査結果4日発表 外相 (03/01)
消費税不要と知りつつ工事代金支払いか ムネオハウス (03/01)
鈴木氏、今度は地元予算の執行に中止圧力 内部文書発覚 (03/01)
鈴木氏、自らへの調査を外相にも直接要望 (03/01)
鈴木氏寄り」の東郷オランダ大使を更迭へ 外務省 (02/28)

 朝日新聞の99タイトルのうち78(率にして78.8%)は鈴木議員の名があります。鈴木氏の名がなくても、鈴木氏の疑惑に関するものがほとんどです。朝日新聞を見る限り「外務省問題」は完全に「鈴木問題」です。

 今回の外務省の問題の経緯を見ると、当初は不正経理と田中外務大臣と官僚との問題だったものが、アフガン支援会議のNPO出席問題をきっかけに、外務省内から鈴木氏に不利な内容の内部文書が共産党などの野党側に続々と流出し、これをもとにマスコミと野党が自民党を非難攻撃し、ついに鈴木氏は自民党を離党する結果になったものです。外務省の問題がいつの間にか、いつもと同じ「反自民」の大合唱になってしまいました。

 流れを変えたのは内部文書を漏らした「外務省の公務員」と「共産党などの野党」、それに「朝日新聞などのマスコミ」です。この三者は結果的に外務省の不祥事から国民の目をそらせ、問題をいつもと同じ自民党の問題にすり替えることに成功しました。この三者は改革などは望んではいないのです。
 改革を支持するふりをして、裏でつるんでいる「公務員」と「左翼」と「マスコミ」、この抵抗勢力の鉄のトライアングルをつぶさない限り、いつまで経っても役所の改革など出来ないと思います。

平静14年3月17日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ