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主犯が共犯者を罰している

 大蔵省、日銀に対する接待汚職事件(たかり、守秘義務違反)に関し、三和銀行などの金融機関に厳しい行政処分が科されました。事件の主犯の大蔵省、日銀に対する処分とは比較にならない厳しい処分で全く公平を欠いています。大蔵省、日銀はいずれも個人に対する甘い処分(逮捕者以外の解雇、免職、停職ゼロで、減給処分のみ)で終わっています。組織としての大蔵省、日銀に対しては誰が、どのような処分をするのでしょうか。

 今回の接待汚職事件で刑事訴追されたのが大蔵省、日銀の職員だけであって、金融機関の職員が訴追されなかったことだけを見ても、この事件が官僚の犯罪であることは明かです。主犯である大蔵省の分身である金融監督庁にこのような行政処分をする適格性があるのでしょうか(今回は官僚にとってタイミング良く、機構改革で別組織となりましたが、以前であれば大蔵省が行政処分をすることになります)。彼らは今回の事件の主犯が「官僚」であることが分かっていません。民間企業に対する厳しい処分は、腐敗を暴露され、権威を失墜した官僚の腹いせ、逆恨みによるものと思われます。

 三和銀行は「証券投資信託の窓口販売の禁止」、「持ち株会社設立の禁止」という行政処分を受けました。刑事処分であればたとえ千円、一万円の罰金を科すにも罪刑法定主義に基づき厳正な裁判手続きに基づいて科されるのに、このような莫大な経済的、金銭的損失を伴う行政処分がいかなる法的根拠、証拠に基づいてなされたのか全く明確ではありません。起訴状も証拠調べも弁論もありません。官僚のさじ加減ひとつでこのような厳しい処分を科すのは、腐敗の元凶と指弾された裁量行政の最たるものです。

平成10年8月1日      ご意見・ご感想は   こちらへ      トップへ戻る      H目次へ