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禍を福に転じる公務員(その2)

 8月22日の産経新聞は、
「食品表示Gメン新設 農水省」、「来年7月にも 偽装再発を防止」と言う見出しで、次のように報じていました。

 
「BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)騒動や相次ぐ食品偽装事件をシャット・アウトするため、来年7月にも『食品表示Gメン』が登場する見通しになった」
 「農水省はこれまでの食糧庁を廃止し、代わりに食品の安全確保や表示の適正化などを担当する『消費安全局』(仮称)新設する。・・・問題は地方の食糧事務所にいる9,200人に上る職員の処遇。改革で食糧庁が行っている米麦の検査業務は民間に移管される。だが、余剰人員を急にリストラすることは職員の生活にも影響が大きい。このため同省は・・・2,000人以上の職員を本省の手足となって食品売り場をチェックする『食品表示Gメン』に再教育して消費安全局の増強と余剰人員の解消という“一石二鳥”を狙う」

 農水省では、9,200人が余剰になるとのことですが、この9,200人の人件費は一体どのぐらいの金額になるのでしょうか。単純に1人の年収1,000万円として一年間に920億円になります。10年間では9,200億円、退職金を加えればさらに膨大な金額になります。日本ハムが偽装で得た数百万円とは5桁違います。農水省はこの余剰人員をどうするつもりなのでしょうか。

 農水省がこれらの余剰職員のうち2,000人以上を、日本ハム騒ぎのどさくさに紛れて「食品表示Gメン」として増員しようと言うのはあまりに虫がよすぎると思います。食品偽装を防止するために、本当にこれだけの人件費(上記の計算式を当てはめれば、年間200億円以上)をかけた「食品表示Gメン」の増強が必要・不可欠なのでしょうか。

 もともと一連の狂牛病事件は、農水省がずさんな狂牛病対策で危険な肉骨粉や代用乳を野放しにして狂牛病を発生させたことから始まり、その対策として取られたずさんな国産牛肉買い取り制度で詐欺事件が頻発したもので、農水省の責任は重大です。それなのに、自分たちのミスを隠蔽するために、マスコミの「雪印食品叩き」、「日本ハム叩き」に便乗して責任の転嫁を図り、詐欺事件を大きな食品問題に仕立て、騒ぎのどさくさに紛れて大増員を図るなどあまりに身勝手ではないでしょうか。

 不祥事件によって焼け太りをするのは農水省だけではありません。外務省も先般の瀋陽事件の後、警備の強化などを口実にして定員を増やしました。民間企業では不祥事件があれば、業績の低迷、人員整理が避けられませんが、公務員は不祥事や事件がある度に増員されます。形ばかりの処分はあっても決して「減員」はありません。こんな事ではいつまでたっても行政の改革などは進まないと思います。

平成14年8月25日     ご意見・ご感想は こちらへ     トップへ戻る     目次へ