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外交官の資質
10月25日の産経新聞は、拉致被害者5人を北朝鮮に再び返さないでこのまま日本に帰国させるという政府方針をめぐって、外務省の交渉担当者(田中局長のことか)が強く抵抗したことを次のように報じていました。
「外務省の交渉担当者らは北朝鮮との非公式な『5人の滞在期間は1〜2週間』との約束にこだわり、『これを破れば将来の永住帰国を約束してきた北朝鮮が態度を硬化させる』と主張。福田官房長官に28日に5人をいったん北朝鮮に戻すことを進言する場面もあった」
また、10月27日の読売新聞はこの問題に関して次のように報じていました。
「田中氏は、5人を北朝鮮に戻さないとの安倍氏らの主張に対し、『交渉の糸が切れたらどうするのか』と激しく抵抗した」
相手が硬化するのであれば、わが方もさらに硬化すればいいのではないのでしょうか。現在の日朝交渉で交渉を必要とし、経済的支援を求めているのは北朝鮮であり、わが国ではありません。交渉の糸は一時的に途切れることはあっても、途絶することはないと考えるべきです。露骨な人質外交は長期的に見れば彼らの利益にはなりません。
外交とは、国益をかけた交渉、駆け引き、争いであり、相手が硬化することを危惧しているだけでは、外交官は務まらないのではないでしょうか。人と争うのが嫌いな人が弁護士に向いていないのと同様です。
彼らは、韓国、中国相手の交渉でも、常に譲歩に譲歩を重ねてきました。相手に強く出られれば退くことしか出来ない、負け犬根性が染みついた人たちです。
外交官の仕事を優雅な社交の世界と勘違いし、特権階級のような生活を夢見てきた人たちには、国益をかけた外交交渉は無理だと思います。
平成14年10月27日 ご意見・ご感想は こちらへ トップへ戻る 目次へ