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公務員削減はタブーか

 深刻化する景気の後退に対する対策のため、橋本首相は、今まで否定していた恒久減税を実施することを明らかにしました。もう少し早く実施されていれば大きな景気刺激効果もあったでしょうが、対策を小出しにし、無為に時間を浪費したためさほど大きな効果は望めなくなっています。効果があったとしても、赤字国債に頼る、歳出削減を伴わない減税は、将来の世代に大きなつけを残すことになります。

 減税と財政再建が重要課題として議論されている中で、常に議論が回避されている重要課題があります。それは公務員のリストラ、公務員の削減です。財政再建の時はさけて通れない問題のはずです。アメリカでも欧州でも、大きな政府か小さな政府かは常に議論の的ですし、小さな政府が実現できれば、減税と財政再建が可能です。また小さな政府によって行政のしていることを、民間に移管すれば景気の回復、失業者の減少、サービスの向上が見込まれます。一石二鳥にも三鳥にもなる話しであると思います。ニュージーランドは大胆な公務員のリストラによって財政再建に成功しました。ところが我が国では、この避けて通れないはずの問題をいつも避けて通っているのです。減税か財政再建か、ではなく小さな政府にして減税するか、大きな政府の財政再建のために重い負担を続けるかと言う問題だと思います。

 現在旧国鉄には28兆円の債務が残っています。どうしてこんな事になってしまったのでしょうか。原因をはっきりさせたことがあるのでしょうか。同じ誤りを繰り返してはなりません。国鉄は毎年膨大な赤字を出すようになってからも、合理化反対と、運賃値上げ反対と、赤字線廃止反対が続いていました。心ある人はこのようなことは長く続かず必ず破綻すると思っていましたが、そういう意見は新聞には書かれませんでした。今も公務員のリストラの必要性を議論する記事は全くありません、行政改革とは単に役所の看板を架け替えるだけに止まっています。新聞が官公労組及びその支援者たち(学者、弁護士、政治家、評論家、労働省、裁判所)の反撃を恐れて公務員のリストラをタブーにしていれば、いつか国家の破局を迎えることになると思います。

平成10年7月5日      ご意見・ご感想は   こちらへ      トップへ戻る      H目次へ