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公務員の「いいとこ取り」

 2月12日の読売新聞のホームページ「YOMIURI ON-LINE 」は「国家公務員官舎の家賃、12年ぶりに値上げ」という見出しで、次のように報じていました。

 
「政府は12日、全国に28万8000戸ある国家公務員官舎の家賃を、今年4月と2007年4月に平均で約12%ずつ値上げすることを決めた。・・・『近隣の民間の賃貸住宅に比べ、国家公務員の官舎が割安すぎる』との批判を受けたもので・・・ 港区南青山にある幹部職員用官舎(96年築、94平方メートル)の場合、家賃は月6万7000円から9万2000円に上がるが、それでも周辺の民間賃貸住宅の家賃(月20―30万円)よりはるかに割安のままだ。
 この点について財務省の林正和次官は同日の会見で『公務員宿舎は公務上必要で、民間住宅とは性格が違う。家賃を民間と比較するのはいかがなものか』と述べた」


 民間住宅と、公務員宿舎は性格が違うと言っていますが、どこがどのように違うのでしょうか。公務員宿舎は巡査の駐在所のように事務所兼用であるとか、役所に用事がある人は夜間公務員の自宅を訪問していいとか、電話帳には自宅の電話番号も公開しているとかの実態があるのでしょうか。おそらくそんなことは何もないと思います。公務員宿舎とは公務員とその家族がプライベートな住宅として使用しているだけだと思います。民間住宅と何ら変わることはありません。

 昔は公務員に住宅手当はありませんでしたが、民間企業で大企業中心に住宅手当てが支給されるようになると、公務員は民間準拠を口実に住宅手当を導入しました。このような例は住宅手当にとどまりません。公務員は待遇改善要求の時はしばしば民間準拠を口実にしていました。もし彼らが、公務員と民間では性格が違うと本当に考えているのなら、業績の裏付けのない公務員に、なぜ民間に準拠したボーナスが支給されるのでしょうか

 民間企業の方が手厚い時は民間企業準拠を主張し、公務員の方が恵まれている場合には民間とは性格が違うと言い訳するのは、単なる「いいとこ取り」で、図々しい限りだと思います。

平成16年2月29日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る   目次へ