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企業に賃上げを迫る、市場経済のイロハを知らない安倍政権


 9月15日のNHKニュースは、「経済産業相 “中小企業でも賃上げ 実現に積極対応を」と言うタイトルで次のように報じていました。
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経済産業相 “中小企業でも
賃上げ 実現に積極対応を”
9月15日 11時14分 NHK

経済産業相 “中小企業でも賃上げ 実現に積極対応を”

 世耕経済産業大臣は、15日、
経団連の榊原会長らと会談し、来年の春闘に向けて、大手企業はみずからの賃上げにとどまらず、取引先の中小企業でも賃上げが実現するよう積極的な対応を求めました。

 世耕経済産業大臣は、東京都内で経団連の榊原会長をはじめ、副会長を務める
トヨタ自動車の内山田会長や、新日鉄住金の友野相談役ら幹部と会談しました。

 この中で、世耕大臣は、「しっかり賃上げが行われなければ、経済の好循環は実現しない。収益を上げた
企業は賃上げに貢献していただきたい」と述べ、来年の春闘でも賃上げに取り組むよう求めました。

 さらに、世耕大臣は、「
大企業と中小企業の取引条件を改善し、中小企業で働く人の賃上げにつなげて、地方経済を活性化することが重要だ」と述べ、取引先の中小企業でも賃上げが実現するよう積極的な対応を求めました。

 
経済産業省は、今後、各業界団体に対して、中小企業との取引条件を改善する具体的な計画を作るよう求める異例の対応をとる方針で、来年の春闘は、大手企業に加え、中小企業の賃上げの動きがどこまで広がるかが焦点になりそうです。
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日本は市場経済の国である。市場経済の国においては物価賃金は政府の命令や指導によってではなく、市場の需要と供給によって決まるのである。国家が命令したりそれらに干渉して決定するのは、過去の共産主義・社会主義国家のすることである。

 市場経済のもとでは賃金水準が上がる為には、
労働市場の需要と供給の逼迫(人手不足)が条件となる。ところが安部政権は労働市場が逼迫していないにもかかわらず、一部の無能な経営者の要求を受け入れて、外国人単純労働者の受け入れ拡大に熱心である。現に実務研修という名目で農業や各種の単純労働の分野で多数の外国人労働者を受け入れており、今後もこれを拡大する方向である。

 外国人だけではない。税制の変更や年金制度の変更により、専業主婦や準専業主婦などの女性や、高齢者の労働市場参入を強引に推し進めている。これらはいずれも
労働力の供給拡大である。

 一方で、
労働力の需要拡大に寄与する政策(例えば生産拠点を海外に移転せず国内に残す為の施策など)は何ら取られていない。建築関係の部門で労働力が逼迫(その結果労賃が上昇)しているのは、東日本大震災の復興需要と2020年のオリンピック誘致によるところが大きい。アベノミクスとやらは各種補助金のばらまき金融緩和策に終始し、何ら成果を上げていない。

 これらの結果はいずれも労働市場の
逼迫とは正反対の方向に作用し、賃上げの足を引っ張る結果となることは明白である。自らは賃上げを可能にする経済政策を成功させず、その責任企業経営者の賃上げ回避に転嫁するのは、まさに本末転倒と言うべきである。

 安部政権は2年前の消費税引き上げに際しても、各企業に消費税
相当額の小売価格転嫁を強引に要求していた。商品価格や賃金は自由で公正な市場の需要と供給のバランスによって決まるべきものである。政権の指導や強要によって決まるべきものではない。安倍政権は経済について最低限の知識すらない政権である。

平成28年9月15日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ