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法務省による「差別」の乱用 -「外国人住民調査報告書」は法務省の“反日官庁”体質の表れ-

 3月31日の読売新聞は、「日本に住む外国人 差別発言『受けた』3割…法務省が初調査」と言う見出しで、次のように報じていました。
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日本に住む外国人 差別発言「受けた」3割…法務省が初調査
2017年3月31日15時0分 読売


 法務省は31日午前、
日本在住の外国人に対する差別偏見の実態を調べた調査結果を公表した。過去5年間で外国人であることを理由に侮辱されるなど差別な発言を受けた経験がある人は約3割に上った。政府が在留外国人の差別に関する調査を実施したのは今回が初めて。

 差別
な発言を誰に言われたかを複数回答で尋ねたところ、「見知らぬ人」が53・3%で最も多く、「職場の上司や同僚・部下、取引先」が38・0%、「近隣の住民」が19・3%と続いた。

 日本で住む家を探した際、外国人であることや、日本人の保証人がいないことを理由に入居を断られた人は、それぞれ約4割に上った。また、日本で仕事を探したり、働いたりしたことがある人のうち、外国人であることを理由に就職を断られた経験がある人は、25・0%だった。

 ヘイトスピーチ(憎悪表現)を伴うデモや街頭活動を見聞きした人がどのように感じたかについては、「不快に感じた」が39・2%だった。

 調査は、住民基本台帳を基に、外国人居住者が多い16都道府県の37市区に住む18歳以上の在留外国人1万8500人を対象に行った。
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★参 照 法務省の「外国人住民調査報告書」 http://www.moj.go.jp/content/001226182.pdf
 法務省は「
差別偏見」の実態を調査すると言って、外国人の意見を聞いていますが、日本国内に於いて日本国民と外国人居留民の間で問題が生じた時に、日本国民の側の意見を聞くことなく、外国人の意見を聞いて公表すると言うことは、最初から自国民を“犯罪者扱い”しているに等しく、官庁としてあり得ない反日行為であると思います。

 法務省は報告書末尾の対象者への調査票で、
「差別」「偏見」と言っていますが、この言葉について何の説明もなく、何の定義もしていません。差別と主張する具体的な内容も示されない中で、言わば被害者と自称する人達の一方的主張だけで、被害(差別)の事実が認定されるのは“被害者”の主張だけで犯罪事実が認定されるのと同じで、司法ではあってはならない事態と言うべきです。これが司法を担う法務省のすることでしょうか。

 差別とは本来、厳格に言えば
「人種差別」だけを指すものであり、むやみに対象を拡大してそれ以外を含めるべきではないと思います。「差別発言」と言うだけではどのような発言か、それが本当に差別発言かすら分かりません。極めていい加減な調査です。

 外国人に対する日本国民の感情は
相手国により様々で有り、またその理由も様々です。「侮辱」と「差別」は同じではないし、外国人を外国人だからと言うだけで、国籍を問わず「差別」する人は余りいないと思います。国籍民族が絡んでいるのが少なくないと思います。それにもかかわらず、それらの嫌悪感情、嫌悪対応を理由を問わず十把一絡げに「外国人差別」としてカウントするのは、意味のある有効な調査とは言えません。

 現にこの調査は24~25ページの
住宅と差別の資料からも分かるように、外国人の国籍別に「住宅差別」の件数を集計していますが、国籍別に件数(差別の比率)が異なると言うことは、国別に差別の原因となる個別の要因がある事を暗示しており、その事情を個別に審査することなく、すべてを外国人に対する「差別」の一言で一律に断罪するのは無意味で有害な調査だと思います(日本国民を貶めることが目的なら別ですが)。

 次に14ページに
日本語の会話能力別に見た対象者の構成比のデータが有り、30ページに日本語会話力と就職差別の相関関係を示すデータがありますが、肝心な日本語会話能力別の対象者数に対する差別経験者数の比率を示すデータが示されておらず、日本語能力と就職差別は関係なしとの安易な結論は信用出来ません。

 そもそも多くの事業所で外国人の
採用に当たっては、日本語能力のテストなどを行なっていると思いますが、日本語能力の優劣による取り扱いの違いを差別と結びつける発想に驚きを禁じ得ません。アメリカで就職を希望する日本人の多くは、採否に当たってはTOEICなどの英語成績が考慮されると思いますが、それらは皆差別になるというのでしょうか。

 この調査の
回答回収率が23%と極めて低かったことも問題視すべきです。残りの77%の人がどう考えていたのかを考えてみると、差別を経験した人は回答を出す可能性が高く、差別を経験しなかった人はその逆で出さない人が多いと思います。つまり回答しなかった人の多くは差別無経験者と推定できると思います。
 であるとすれば、実際の
差別経験者の比率はこの調査結果の3割より大幅に低いと考えて良いと思います。

 細かく見ればまだまだ問題点があると思いますが、このような無責任な調査を大金を支払って外部に委託して、有害無益な結果(結論)を導き出すことは
税金の無駄遣いと言うほかはないと思います。

(平成30年7月6日追記) 「外国人住民調査報告書の訂正のお知らせ 平成29年6月1日 法務省人権擁護局」
              非常に訂正箇所が多く、しかも調査請負業者が訂正を申し出るまで法務省が気付くことも
              なく、ずさんな調査である事が窺えるとともに、法務省の無能・無責任さに驚きます。


平成29年4月4日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ