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男女悪平等とレベルの低下

 5月26日産経新聞の投書欄、「談話室」の「期待できぬか名アナウンス」という、放送局のアナウンサーのレベル低下を嘆く投書を読みました。私も全く同感です。日頃、NHKのアナウンサーの技量の低下は著しいと思っていました。かつてNHKにはちょっと名前を挙げただけでも、宮田輝、高橋圭三、今福祝、大塚利兵衛などの名アナウンサーがいました。彼らは話す技量だけでなく、人格、信頼感も高い、大物アナウンサーでした。彼らは定年後は役員待遇でNHKに残ったほどです。
 ところが今のアナウンサーは話す技量も低く、おまけにかつての大物アナウンサーに比べると軽佻浮薄で、話すのを聞いていても、全く魅力も信頼感もありません。一体どうしてこんなにレベルが低下したのでしょうか。

 それはNHKが男女悪平等主義を採用した結果だと思います。かつてはNHKのニュース番組は男性アナウンサーの仕事でした。女性アナウンサーの出番もありましたが、家庭向け、子供向けニュースの時だけ出てくる補助的な存在でした。ニュース以外の娯楽番組でも男性アナウンサーが主力でした。
 ところが男女平等がやかましく言われるようになると、ニュース番組でも、男性アナウンサーと女性アナウンサーが二人並んで出て来て、交互に話すようになりました。これはよく考えてみるとおかしな事です。今まで一人でできていたことを、何で二人でしなくてはならなくなったのでしょうか。人件費コストから考えても無駄なことです。男女平等であれば、男性でも、女性でも能力の優れた人を、今まで通り一人選んで担当させればいいことです。それをせずに男女平等だから二人並んで出すということは、機会の平等ではなく、結果の平等を意味する典型的な悪平等主義です。ニュース以外の番組でも、女性アナウンサーが能力の裏付けもなく急増しました。

 女性だからということで能力の如何にかかわらず登用される、こう言うことがまかり通るようでは、能力のある男性はやる気をなくします。切磋琢磨して、競い合う気がしなくなります。職場の士気、モラルは低下します。そして、士気の低下した職場には有能な人は集まらなくなります。このころから、NHKのアナウンサーは、有能な男性が切磋琢磨して技量を磨く職業ではなくなり、女性アナウンサーの技量と見合う程度の男性しかいなくなってしまったのです。

 総理府の男女共同参画室や労働省は、政府の審議会の委員などの女性の数を、無理矢理定員の30%以上にしようとしていますが、30%にする根拠がありません。機会の均等ではなく、結果の均等を求める悪平等主義の発想です。男女雇用機会均等法の下でこのような悪平等主義が広がってゆけば、社会のあらゆる分野で、アナウンサーの場合と同様な、レベルの低下が起こると思います。

平成11年5月30日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ