I103
朝日新聞が報じた、「18歳以下10万円給付制度」の差別的所得制限に見られる、厚労省、マスコミの“悪意” -専業主婦(準専業主婦)への敵意(悪意)(その8)-

 11月16日の朝日新聞は、「首相の給付基準『世帯主』発言を修正 長官『児童手当の制限と同様』」と言う見出しで、次の様に報じていました。
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首相の給付基準「世帯主」発言を修正 長官「児童手当の制限と同様」
朝日新聞社 20211116 1248


会見する松野博一官房長官=2021年11月15日午前11時8分、
首相官邸、上田幸一撮影© 朝日新聞社


 18歳以下の子どもを対象にした
10万円相当の給付策で、岸田文雄首相が所得制限を「世帯主ごと(の年収)で判断する」と述べたことについて、松野博一官房長官は16日の会見で「児童手当における所得制限と同様、主たる生計維持者の収入を基準として判断されることになる」と述べ、世帯の中で所得が最も高い人の年収で判断すると修正した。

 与党間で合意した
所得制限は、親の年収が960万円以上の子どもを給付対象から除くとしている。

 松野氏は会見で「
『世帯合算の年収か、世帯主の年収か』との(記者団からの)質問に対し、世帯合算ではないという意味で世帯主の年収で判断すると申し上げた」と、首相の発言の経緯を説明した。

 世帯合算で判断しない場合、例えば夫婦で
800万円ずつの年収計1600万円の世帯も給付の対象になる。一方、収入があるのは片方の親だけで年収960万円の家庭は対象外となる。松野氏は「仮に世帯合算で収入判定を行うとすれば、児童手当の仕組みを活用できず、地方自治体で収入判定の事務が追加で必要となる。迅速な支給に支障が生じることが考えられる」とし、給付のスピードを優先したことを明かした。(西村圭史)
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 私が「I102 10万円給付制度、児童手当制度の所得制限に見る、不当な差別 -専業主婦(準専業主婦)への敵意(悪意)(その7)-」で指摘した、今回の10万円給付制度
所得制限の問題点が明らかにされました。

 今回も
今のタイミングで、記者から「世帯合算の年収か、世帯主の年収か」と言う質問が出たと言うことは、今回の自公合意に際しても国民にその点が明らかにされていなかったことを物語ります。決してあってはならないことです。

 私は今年の5月に児童手当制度が変更になった時も、この所得制限が不合理で差別的なものであると感じ、それを論じようと思いましたが、制度の変更の詳細について、新聞・テレビなどでは
断片的な情報しか得られず、政府の公報でも十分な説明がなく(それは現在でも変わりません)、断念した経緯があります。

 今回のコロナ対策として実施される10万円給付制度についても、所得制限の対象を
「所帯主」と報じたメデイアもあり、それなら所帯主を変更すれば給付対象の可否を変更できると言う問題のある制度と思いました。

 その後11月10日の
読売新聞の記事を見て、不公平で差別的な制度である事を確認でき、I102を書いた次第です。

 今回の
松野長官の説明から、このような問題は「児童手当」にも存在する事が明らかになりました。その当時の新聞・テレビ、厚労省が詳細を明らかにしなかったのは、不正を認識の上で批判を恐れて「隠蔽」を意図したものと考えられます。

 松野官房長官の説明からは、
「世帯合算」についての否定的見解は示されず、単に時間的制約のみを挙げて居るところから考えれば、「世帯主(最高所得者)」単独計算の問題点は、長官も認識しているものと思われます。

 
朝日の記事も指摘しているとおり、共働き世帯が少なくない現状で、最高額所得者1名の所得の多寡で給付の可否を決定するのは合理的でなく、不公平が生じます。政治に於いて、「公平」は「スピード」に優先します。仮に一時的にスピードが優先しても、「不公平」には「救済・追加措置」が必要です。
 
何故このような児童手当制度改正に至ったのか、その当時も現在も誰からも詳しい説明がありません。

令和3年11月16日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ