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一般の家庭で、広く「こども家庭センターの」の支援が必要とされるに至ったと言うことは、社会・家庭の劣化と考えるべき

 2月21日の読売新聞は、「全市区町村に『こども家庭センター』設置…子育て世帯支援を一元化、政府が法改正案 」と言う見出しで、次の様に報じていました。
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【独自】全市区町村に「こども家庭センター」設置…子育て世帯支援を
一元化、政府が法改正案
2022/02/21 05:00 読売

 政府は、子育て世帯を包括的に
支援する「こども家庭センター」を全国の市区町村に設置するため、関連法案を改正する方針を固めた。現在は二つに分かれている支援機関を一本化し、自治体に設置の努力義務を課す。2024年4月以降の設置を目指し、今国会に児童福祉法と母子保健法の改正案を提出する。



 市区町村には現在、母子保健法に基づき、
妊産婦や乳幼児の保護者の相談を受ける「子育て世代包括支援センター」と、児童福祉法に基づき、虐待貧困などの問題を抱えた家庭に対応する「子ども家庭総合支援拠点」が併存している。21年4月時点で、支援センターは全市区町村の9割を超す1603市区町村で設置済みだが、支援拠点は4割弱の635市区町村にとどまる。

 これまで二つの機関で情報が十分に共有されず、支援が届かない事例が指摘されていた。このため、政府は組織を統合して体制を強化することで、
支援が必要な家庭の見落としを防ぐ必要があると判断した。

 児童福祉法の改正案では、
こども家庭センターを「全ての妊産婦、子育て世帯、子どもへ一体的に相談支援を行う」機関と位置づけた。23年4月に内閣府の外局として創設される「こども家庭庁」が所管する。

 センターでは、家族の介護や世話を日常的に担う「ヤングケアラー」や虐待、貧困、若年妊娠など、
問題を抱える家庭に対する支援提供計画「サポートプラン」を作成する。家庭を訪問し、家事育児援助を行うことも想定している。

 子どもが
家庭や学校以外で安心して過ごせる居場所づくりの支援や、保護者が育児の負担を軽減する目的で利用する一時預かり施設の紹介も行う。虐待の疑いがある家庭について児童相談所に伝えるなど、他の機関との連絡調整の役割も担っていく。
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 今まで母子保健法に基づき、妊産婦や乳幼児の保護者の相談を受ける為に設置された
「子育て世代包括支援センター」と、児童福祉法に基づき、虐待や貧困などの問題を抱えた家庭に対応する為に設置された「子ども家庭総合支援拠点」と言う、二つの「支援」機関を統合した新たな機関が設置されることになりました。
 ここでは
“縦割り”という批判の言葉こそ聞かれないものの、保育園と幼稚園の併存・両立を“縦割り”と言って批判する人達らしい“一本化(肥大化)志向”が見て取れます。

 一本化により新たな機関
「こども家庭センター」が発足し,「全て」へ「一体的」に支援することになりましたが、その名称から「支援」の2文字は消えることになりました。
 
支援を目的とすると明記された組織が、その名称に「支援」と表記しないのは、もはや、支援が特別のことでは無く、ごく普通の行政の一部として認識され、扱われると言うことを意味しています。

 母子家庭、生活保護世帯などでは無い一般の家庭の中にも、広く行政の「支援」が必要とされる家庭が現れるに至ったと言うことであれば、それは社会に特段の大きな変化が無い限り、社会・家庭が劣化したと考えるべきだと思います。

 そうであれば、当面の
対症療法としては、センターの設置が必要で・やむを得ないものだとしても、本質的には、家庭の劣化の現状と原因を把握した上で、「支援」を必要とせず、自立できるように導くべきだと思います。

 支援(国家の家庭に対する
関与)が当たり前・普通という社会は、かつての「社会主義国家」を彷彿とさせ、国の財政負担も増加し健全な社会では無いと思います。

 かつての社会主義の国では、
個性は尊重されず、国民に対しては画一的な“指導”が幅をきかせていたと思います。「こども家庭センター」が肥大・膨張の道をたどり,かつての“社会主義国の誤り”を繰り返すことがあってはならないと思います。

令和4年2月23日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ