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少子化加速について根拠のない説明(コロナに転嫁)をして読者を欺き、保身を図る厚労省官僚、専門家(千葉安佐子、藤波匠上、矢島洋子)と読売新聞

 3月27日の読売新聞は、「コロナ禍 少子化に拍車…昨年 出生数が最少更新」と言う見出しの記事で、次の様に報じていました。

茶色字は記事 黒字は安藤の意見
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[スキャナー]
コロナ禍 少子化に拍車…昨年 出生数が最少更新
2022/03/27 05:00 読売

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、将来不安で妊娠を控える動きが広がるなど、
少子化が加速している。出産と強く結びついている婚姻数も急減しており、影響の長期化が懸念される。想定を上回る少子化で、主に現役世代高齢者らを支える社会保障の制度設計の前提が揺らぎかねない状況だ。(社会保障部 野島正徳、平井翔子)

 少子化未婚化加速しています。それは
今になって始まったことではありません。それをなぜ、今指摘して強調するのでしょうか。それは少子化と少子化の加速の原因“コロナ”になすりつけ、本当の原因から目を逸らし、少子化対策の破綻と少子化加速の責任を逃れようとする為です。

育児・将来に不安 結婚も急減
10年早まる


公園を散歩する親子。コロナ禍で、母親は考えていた
第3子の出産をあきらめた(大阪府内で)=長沖真未撮影

この写真は「女性パート事務員(34)」でしょうか。
この写真の意味は?
印象操作でしょうか?

 「3人目はあきらめるしかない。本当に悔しい」。2人の子どもを保育園に預けながら働く大阪府在住の女性パート事務員(34)は声を落とした。

 
夫との間では、子どもは3人もうけようと話していた。しかし、保育園の登園自粛要請で仕事を休まざるを得なかった。実家は車で約10分だが、「子どもが両親にうつすか、逆にうつされるかもしれないと不安で、協力は頼めなかった」と話す。コロナ禍で直面した子育てに伴う孤立感は耐え難かった。

 これは単なる一人の「女性パート事務員(34)」個人の意見でしょうか、それとも代表的意見・多数意見なのでしょうか。また、特殊なケースでしょうか、一般的なケースでしょうか。  
 これが、一般的なケースにおける代表的意見・多数意見というのであれば、どうやって何人の人から意見を聞いたのでしょうか。この人一人を代表に選んで聴取したのであれば、選考方法・過程を明らかにすべきです。
 特殊なケースで、代表的意見、多数意見でもなく、単なる一人の意見に過ぎないのであれば、なぜここでその人の意見だけを紹介するのでしょうか。読者に
誤解を与えます。誤解を与えるのが目的なのでしょうか。

 保育園の休園により、仕事を休まざるを得ない場合は、給付金制度の対象になりますが、利用したのでしょうか。

 3人目を断念したのは孤立感からでしょうか。保育園が休園になると、
孤立感に絶えられなくなって3人目を断念するのでしょうか。それらを確認もせずにコロナが原因と言えるのでしょうか。



 厚生労働省が先月25日に公表した2021年の出生数の速報値は84万2897人。前年から3万人近く減り、過去最少を更新した。もともとあった少子化の流れに、コロナ禍による出産控えの影響が加わったみられている

 「みられている」とありますが、そう
見ているのは誰なのでしょうか。厚労省のが、どの様な見解を明らかにしたのでしょうか。「影響」はどの程度なのでしょうか。大きいのでしょうか小さいのでしょうか。単なる一官僚の個人的な感想・想像レベルの話なのでしょうか。

 もしそうであれば、それをあたかも関係官庁の公式見解のごとく扱うのは
誤解を招く記事ではないのでしょうか。それとも誤解を招くのが目的なのでしょうか。

 
厚労省によると、出生数の速報値には日本に住む外国人などが含まれており、今後公表される日本在住の日本人の出生数の確定値は80万〜81万人程度となる見通しだ。

 
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が17年に公表した日本の将来推計人口では、21年の出生数は、最も実現の可能性が高いとされる中位推計で88万6000人。実際の出生数が80万〜81万人程度なら、推計より8万人近く下振れする見込みだ。31年の推計出生数の81万1000人に近い水準で、「コロナ禍で少子化のペースが10年早まった」とも言える状況だ。

 17年に公表した21年の推計出生数とは、今から5年前のデータです。日本でコロナの感染が拡がったのは20年からですから、それによる出生数の減少があったとすれば、それは
21年の出生数からです。それ以前の20年までの出生数に下振れはなかったのでしょうか。上記の図を見ると、2019年あたりには、「下振れ」と見られる「乖離」が見られます。
 もしあったのであれば、8万人の下振れ
全てを“コロナの影響”と見ることは出来ないはずです。

消えた11万組



 
仮にコロナ禍が収束しても、出生数への影響は長期化しそうだ。

 日本では出産と強く結びついている婚姻数が、21年は前年比4・3%減の51万4242組で、戦後最少の水準にまで落ち込んでいるためだ。
コロナ禍で結婚を延期したり、結婚そのものをあきらめたりするケースが相次いだとみられる。外出や会食の自粛で、「出会いの機会」が減っていることも大きい。

 
「みられる」とありますが、何か根拠があるのでしょうか。何か調査をしたのでしょうか。具体的な数値を把握しているのでしょうか。単なる想像と感覚でモノを言っているのでは無いのでしょうか。それで良いのでしょうか。

 世界には日本以上にコロナ感染率の高い国が多くありますが、それらの国で婚姻数が減ったとか、出生数が下がったというニュースは聞いたことがありません。全てを
コロナのせいにするのは、今までの少子化対策の失敗を隠蔽するためではないのでしょうか。

 
東京都在住の女性会社員(31)は、飲食店経営の男性と21年中の結婚を考えていたが、断念した。「先行きが不安定なままでは、将来計画を立てられない」と明かす。東京財団政策研究所の千葉安佐子博士研究員は、19年までの過去10年間の婚姻数のデータとの比較から、20〜21年の2年間で約11万組の婚姻が失われたと推計した。

 先ほどの「女性パート事務員(34)」の場合と同様、この人一人を代表に選んで聴取したのであれば、選考方法・過程を明らかにすべきです。
 一般的なケースで無く、代表的意見、多数意見でもなく、単なる一個人の意見に過ぎないのであれば、なぜここでその人の意見だけを紹介するのでしょうか。読者に
誤解を与えます。誤解を与えるのが目的なのでしょうか。

 次に「千葉安佐子博士研究員
」とありますが、千葉安佐子さんを選んだ理由は何なのでしょうか。
“ら”とありますが、他に何人どういう人から聞いたのでしょうか。
 そしてどのデータとどのデータを比較したのでしょうか、何の説明もありません。
コロナ禍遙か以前より婚姻数顕著減少傾向を示しており、「推計数字11万組」が全てコロナの影響によるものかは根拠不明であり、妥当性を評価出来ません。

 
推計結果からは、将来生まれる子どもが15万〜20万人少なくなる可能性があるという。婚姻の先送りは第1子の誕生時期を遅らせ、第2子を産む人の減少にもつながる。

 結婚の先送り時期が遅れるだけなら、希望は持てます。

 はっきりしていることは、「少子化」1989年の1.57ショックから数えても33年来の喫緊の課題とされてきた問題で、この2〜3年の
コロナの問題では無いのです。
 コロナ的を絞り
矮小化された議論的外れであり、意味がありません。

 
千葉氏は「婚姻の減少将来の出生数を減らし、中長期的な影響を及ぼすため、コロナ禍後を見据えた政策もとるべきだ」と警鐘を鳴らしている。

社会保障の前提揺らぐ…「家庭築きやすい社会」 切れ目ない支援 求める声
 想定を上回る少子化は、将来の社会保障制度の支え手を減らし、負担と給付の前提を揺るがしかねない。


 「求める声」がどこから、から聞こえてくるのか、発声源について何も説明がなく、声の大きさも不明です。
自分の声“幻聴”ではないのでしょうか。

 
社人研は23年に新たな将来推計人口を公表する見込みだ。想定を上回る少子化の進行を反映し、出生数を下方修正する可能性が高い。

 
社人研の将来推計人口は、年金や医療、介護などの社会保障制度を考える基礎データとなっている。少子化の加速で、想定よりも少ない現役世代高齢者を支えることになれば、「社会保険料や税金の負担増」「給付の引き下げ」のほか、制度自体の抜本的な見直しを迫られる事態につながる。日本総研の藤波匠上席主任研究員は「さらなる少子化を前提とした社会保障の議論をすべき段階だ」と指摘する。

 この研究員は何を研究しているのでしょうか。「少子化問題」の対策を協議する場に、「さらなる少子化を前提」とする人が
口を出す意味があるのでしょうか。そもそもこの記事は何のために書かれているのでしょうか。
 最近この手の「世代間の問題」に話しをすり替えて、少子化対策(問題)の破綻に目をつぶろうとする人間が増えています。

 
国は少子化に少しでも歯止めをかけようと、子育てしやすい環境整備を中心に様々な対策を打ち出している。育児・介護休業法の改正で、4月からは従業員に子どもが生まれる場合、企業には、育休制度の内容を説明し、本人または配偶者の取得の意向を確認することが義務づけられる。10月からは父親が子どもの出生後8週間以内に取れる「産後パパ育休」が新設される。

 幼児教育・保育の無償化や低所得世帯に向けた高等教育の無償化など、子育てや
教育にかかる費用の軽減も図っている。子ども関連の政策を一元的に担う「こども家庭庁」を来年4月にも設置する方針だ。

 ただ、こうした支援制度の活用には申請が必要で、利用が低調なものもある。申請を待つだけでなく、積極的な周知が不可欠だ。


 1989年の1.57ショック以来現在に至るまで、「少子化対策」と称して始められた施策のほとんど全部が、保育所の増設、育児休暇・手当の増設に代表される、共働きの母親に対する
子育て支援であり、それが全く少子化の改善に役立たなかったどころか、むしろ少子化を加速させて来たのが現実です。
 それにも拘わらず、いまなお子育て支援制度
更なる新設・強化「少子化対策」として論じている人は一体何を考えているのでしょうか。他に目的があるとしか考えられません。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの矢島洋子主席研究員は「経済不安子育て支援を受けにくい状況などから、結婚や出産に消極的な人が増えている。就労支援のほか、妊婦や子どもへの切れ目のない支援を強化して安心感を醸成し、家庭を築きやすい社会づくりを急ぐ必要がある」と話している。(村上藍)

 この矢島洋子さんは「結婚や出産に消極的な人」
面接し、直接その理由経済不安子育て支援を受けにくい状況など」を聴取したのでしょうか。矢島さんの想像でものを言っているのではないのでしょうか。面接もせずに想像でモノを言っているのなら話になりません。
 
 「結婚や出産に消極的な人達」と言いますが、少子化の大きな要因・原因となっているのは、
「未婚(非婚)の増加」であり、「既婚者の出産減少」ではありません。
 未婚(非婚)者の増加には、結婚に消極的な人だけで無く、結婚する意思はあっても、
結婚相手が見つからない人もいますので、そのことも考えなければなりません。
 
 面接をする場合、質問が質問なだけに、よほど注意して相手に
配慮して面接しなければ、本音が聞けない人が多いと思います。それだけに選抜方法・面接方法を工夫しなければ、本音が聞けなかったり、回答が通り一遍の回答に終わり有意な結果が得られない恐れがあります。
 そういう面接から得られるのは誤った情報であり、役に立たないどころかむしろ有害です。

 「家庭を築きやすい社会づくりを急ぐ必要がある」のは分かりきったことです。ここで専門家が言うべきことは、
結婚」に消極的な(或いはできない)理由・原因は何かと言うことと、それを改善する(未婚・非婚者を減らす)ためには何をどうしたら良いかと言う具体的な提案です。  

 今はもはや
「総論・概論」を言っている段階はとっくに過ぎているのです。
未だにそういう低レベルの話をする人は、
改善する気(或いは能力)がないと考えるしかありません。
 こういう記事を書く記者もまた同様です。

令和4年4月3日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ