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偏差値の高い女性だけに的を絞った岸田総理の「最上位の上場企業の女性役員30%以上」 -その方向は、履歴書から性別欄をなくした方向とは正反対-
4月27日のNHKテレビニュースは、「岸田首相 “2030年までに女性役員30%以上目標” 具体策を検討」と言うタイトルで次の様に報じていました。
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岸田首相 “2030年までに女性役員30%以上目標” 具体策を検討
2023年4月27日 10時29分 NHK
女性活躍の推進に向け、岸田総理大臣は政府の男女共同参画会議で、最上位の上場企業の役員に占める女性の比率を2030年までに30%以上にする目標を示し、関係閣僚に具体策の検討を指示しました。
総理大臣官邸で開かれた会議では、女性活躍と男女共同参画の推進に向けたことしの重点方針「女性版骨太の方針2023」をめぐって意見を交わしました。
この中で岸田総理大臣は、企業の女性登用を加速させるため東京証券取引所の最上位「プライム市場」に上場する企業の役員に占める女性の比率を2030年までに30%以上にする目標を示しました。
また、女性の所得の向上や経済的自立に向け、女性の正規雇用化や、デジタル人材の育成などを進めること、それに女性への暴力を根絶するため、公的機関と民間団体の新たな連携の仕組みを設ける方針を明らかにしました。
岸田総理大臣は「女性活躍の推進を通じて多様性を確保し、イノベーションにつなげることは『新しい資本主義』や包摂的な社会の実現に向けて大変重要だ。関係閣僚が協力し、『女性版骨太の方針』のとりまとめに向け、政策の具体化を進めてほしい」と述べ、関係閣僚に具体策の検討を指示しました。
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なぜ対象が最上位「プライム市場」だけで、中堅企業・中小企業はないのでしょうか。
中小企業は役員と言っても、仕事が大変で、希望する女性が少ないからでしょうか。
だとすれば、華やかな役職は希望するが、汗まみれの仕事は希望しないという事ではないのでしょうか。それは権利は主張するが、義務は拒否することに通じないでしょうか。
権利と義務は表裏一体と考えるべきで、権利だけは平等、義務は不平等は“平等”の考え方と相容れません。
近年就職の際に使われる「履歴書」から“性別欄”をなくすという考え方、採用人事が脚光を浴び、厚労省がその基準となる履歴書の様式を公開し実行に移しました。これは主としてLGBT対策として主張されたものですが、その主張が採用された考え方の背景には就職・採用に際しての「男女無差別」の考え方があります。
そもそも「男女平等」とは、男女無差別(男女の性別を問わず)と考えられてきました。しかるにこの岸田総理の提案のように、男女別の定員を定めることは、男女の別を問うことに繋がります。この二つの考え方・主張は相反し、相容れません。今までの方向と逆方向と言えます。また、当然30%の根拠の説明が必要です。
一般労働者と会社役員に異なる“男女平等(不平等)基準”を当てはめることには合理性がありません。一般の労働者ではなく、会社役員であればなおさら性別にこだわらず、能力(実力)本位の人選をすべきです。
強いて例外を挙げれば、失業対策事業等の募集・採用などに於いては、応募者の数に応じた男女別の採用は合理性が認められる場合があると言えます。
これに対して対象が「最上位プライム市場だけ」には、合理性はゼロと言って良いと思います。それともこれは“偏差値の高い”女性達だけに的を絞った対応なのでしょうか。
以下、「女性の所得の向上」、「女性の経済的自立」、「女性の正規雇用化」、「女性への暴力を根絶」と続きますが、対象を女性に限定した労働行政は、すべて明らかに男女の雇用機会均等(法の下の平等)に反します。
男女雇用機会均等法で男女の雇用機会の均等が明記されて以来20年余りが経過して、雇用の均等に至らなかったことに対して、出てくる主張が機会の均等のさらなる徹底ではないことは、機会の均等の主張は放棄すると言う事か、機会の均等はすでに実現していると言うことです。
「機会の均等の主張は放棄する」と言う事は、機会が均等になっても結果の均等は実現しない、つまり結果の均等が実現しない原因は機会の不均等ではなく、それ以外(希望者の数、能力)の不均等が原因である事を認める事に繫がります。
また機会の均等が実現している場合も上記と同様です。
あとは募集方法に落ち度がなければ議論はそこまでです。男女を問わず、職業選択の自由は保障された権利ですが、希望すれば誰でもどんな職業にも就けるという意味ではもちろんありません。後は本人の能力次第です。
それにもかかわらずこれ以上、男女別均等な結果を求めて、男女別の取り扱いを主張することは、差別の解消ではなく、逆差別の主張になりかねません。
更に、“偏差値の高い”女性(女性官僚、女性大学教授、女性新聞記者など)の支持取り付けに的を絞って、このような主張をする岸田総理は、異次元の愚か者か悪党と言うべきです。
令和5年5月1日 ご意見・ご感想は こちらへ トップへ戻る 目次へ