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「少子化対策」はどこへ行った 「子育て支援」を「少子化対策」と言わなくなった厚労省 −“少子化対策”は共働きの母親支援が目的だった−

 3月12日のNHKは、「仕事との両立支援へ 育児・介護休業法などの改正案 閣議決定」と言うタイトルで、次の様に報じていました。
茶色字は報道 黒字は安藤の意見)
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仕事との両立支援へ 育児・介護休業法などの改正案 閣議決定
2024年3月12日 18時37分 NHK


 
育児や介護と仕事の両立を支援するため、政府は12日の閣議で、子育て中の柔軟な働き方を実現するための制度の拡充や、家族の介護が必要になった従業員への支援制度の周知などを盛りこんだ育児・介護休業法などの改正案を決定し、国会に提出しました。

 改正案のうち、育児中の
親に対する支援策は、これまで子どもが3歳になるまでが中心だった措置を拡充することが柱となっています。

 具体的には、▽企業が残業を免除する対象を子どもが小学校に入学するまでの
親に広げるとともに、▽3歳から小学校に入学するまでは、◇短時間勤務制度をはじめ、◇始業時間の変更や、◇テレワーク、◇時間単位で取得できる休暇の付与など、複数の制度の中から2つ以上を設けることを企業に義務づけるとしています。

 また、子どもの「看護休暇」については、感染症に伴う学級閉鎖や、入学式などの行事への参加も取得の理由にできるようにし、対象も、小学3年生までに広げるとしています。


 これらの「子育て支援策」は、今まで「少子化対策」として主張・実施されることがほとんどでした。しかるに今回は誰からも、一言
「少子化対策」と言う言葉は言われていません。
 なぜなのでしょうか。それは子育て支援が少子化対策にはならない事を認めざるを得なくなったからです。

 それでも誰も少子化対策としては、
大失敗に終わった“子育て支援”の中止を主張せず、更なる拡大を主張するのは、元々“子育て支援”の本音の目的は“少子化対策”ではなく“共働きの母親支援”が目的だったからに他なりません。

 
このほか男性の育児休業について、▽取得状況の公表義務を、これまでの「従業員が1000人を超える企業」から「300人を超える企業」に広げるとともに、▽新たに100人を超える全ての企業に目標の設定義務づけることが盛り込まれています。

 
一方、介護との両立をめぐっては、支援制度を利用しないまま離職に至るケースが多いことから、▽家族の介護が必要となった従業員に対し、介護休業や介護休暇などの制度を周知し、取得の意向を確認すること、また、▽介護に直面していない従業員に対しても、早めに制度を周知することなどを企業義務づけるとしています。

 政府は12日の閣議で改正案を決定したあと、国会に提出し、今の国会で成立を目指す方針です。


 なぜ男性の育児休暇の目標が必要なのでしょうか。少なくととも妻(母親)が
役割分担専業主婦であれば、自分が病気などの時以外は、夫(父親)の育児休暇は不要です。土日以外は仕事に専念するべきです。該当する男性達が休暇の取得に消極的であるのを、目標設定までして増やそうとする厚労省の目的は、女性だけが恩恵を受けているという後ろめたさを避けることと、夫婦(父母)の役割分担否定・阻止のためです。

 国交省の“2024年問題”でも、運送業者に運転手の労働条件の改善手段・
目標の設定を義務づけると言う部分がありましたが、狙いは法律上の義務を課すことでありながら、「官」は“義務づける”だけで、その結果については何が起きても責任は負わないという、非常に身勝手で悪質な手口です。これは今後他の“官庁”の間でも蔓延する恐れがあり、それを放置する岸田政権官僚の言いなりになっている無能政権の誹りは免れません。

 武見厚労相柔軟な働き方の実現に向けた取り組みを」
武見厚生労働大臣は、閣議のあとの記者会見で「少子高齢化の中、女性に家事や育児の負担が偏りがちなのが現状で、
働き育て推進する柔軟な働き方の実現に向けた取り組みが求められている。また、介護の両立支援制度の概要や利用方法に関する知識が十分でないことで、離職につながるケースもあるので、制度を周知徹底させる努力をさらに進めていきたい」と述べました。

 武見厚労相が“少子高齢化”と“女性”の負担に触れていますが、「
女性が家事・育児を負担(分担)する」のは、太古の昔からで少子化とは関係はありません。また子供の数が減ったの全体数であって、各家庭の子供の数が大きく減ったわけではありません。従って“少子化”によって各家庭の家事・育児の負担が減ることはあっても増えるとは考えられません。女性(妻・母)の家事・育児が“負担”に感じられるのは、“共働き”が主因です。
 又、老人の増加・高齢化は長寿命化が主な原因ですが、それに対して働く妻や娘の一時的な短期間休暇でカバーできる問題ではありません。

 更に武見厚労相は「働き育て推進する」と言っていますが、これは正に夫婦(父母)の役割分担の否定「専業主婦」否定であり、国民の生き方の選択の自由の否定です。少なくとも“柔軟な働き方(役割分担)”とは正反対”である事は誰が聞いても明らかです。いよいよ露骨な本音が出て来たと言う感じがします。

令和6年3月14日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ