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男女平等の虚構

 5月23日の読売新聞に、育児休業制度が出来て10年を記念しての、「パパだって育児休業」という特大の特集記事があり、「・・・育児休業制度がある会社の社員で、子供が出来て休業を取った人の割合は女性が44.5%なのに対し、男性は0.16%。・・・働く男性の育児には、まだ大きな壁があるのが現実だ」、と報じられていました。そして、その0.16%に該当する、5人の男性の育児休業取得体験談が書かれていました。

 育児休業制度は「働く女性」達の要求で出来た制度ですが、「女性だけ」の休暇制度となると、「男女平等」の建前と矛盾するので、男性も取れるとしたに過ぎません。男性の利用がほとんどないことは、あらかじめ分かり切っていたことだったと思います。極論すれば、「女性だけに生理休暇があるのは男女平等に反するので、男性にも生理休暇制度を設けたが、誰も利用者がいなかった」というのと同じです。これは、誰も希望者がいないし需要もないのに、「男女平等という虚構」を正当化するために実現しようとしている「男性助産婦」の場合と同じです。

 どんな制度であっても、制度が出来てから10年経っても利用する人が該当者の1%にも満たなければ、その制度は失敗であると見なされるのが普通です。それにも関わらず、失敗を失敗と評価しないだけでなく、なお、「・・・意識の改革に何が必要か」とか、「・・・働く男性の育児には、まだ大きな壁があるのが現実だ」などというのは、現実を直視していない人の意見だと思います。1%にも満たない0.16%(1万人の中の16人)の人達の体験談を掲載し、育児休業を取らなかった他の99.84%の人の意見を全く無視するのはなぜでしょうか。甚だしい偏向記事だと思います。

 わが国の政治は国民の多数意見を反映するという、民主主義の最も重要な点が欠けています。そして、その原因は国民の多数意見を反映していない新聞にあると思います。

平成12年5月27日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ