I15
少子化問題をめぐる日経の無責任な社説

7月1日の日経に、少子化問題について次のような社説がありました。

 少子化に無策の結果か
 1999年の合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子供の数)は予想を大きく下回り、1.34と統計史上最低を記録した。これでまた年金や医療保険の財政悪化を避けるための抜本改革が迫られることになる。政府や与党が実態にあった的確な対応を打っていないことが最大の原因だろう。
・・・(中略)・・・
 住宅や教育費の問題、さらには男性の家事、育児への参加が可能になるような雇用のあり方、地域での育児支援などなど少子化対策として考え、実行に移していかなければならない課題は多方面にわたるはずだ。総選挙前に児童手当の増額を打ち出すなどといった場当たり的な対策で効果が上がるとはとても思えない。政府も出生率の推計について「このような対策を実施すればこうなる」といった生きた見通しを示すべきだろう。

 この社説は何を言いたいのでしょうか。「大変だ、大変だ!」と騒いでいるだけで、新たな指摘とか提案が何もありません。政府を「無策」といって非難していますが、非難しているだけで、新聞社としての主張は何もありません。これで社説の役目を果たしているのでしょうか。政府は今まで、決して何もして来なかったわけではありません。託児所を増やしたり、育児休業制度を設けたり、様々な
「働く母親を支援」する「少子化対策」を実施してきました。それは、日経をはじめとする、マスコミが強く主張してきたことでもあったのです。現にこの社説でも相変わらず、「・・・男性の家事、育児への参加が可能になるような雇用のあり方、地域での育児支援などなど少子化対策として考え・・・」と、「育児支援」を「少子化対策」と言っています。

 この「少子化対策」が誤りだったのです。何の効果もなかったのです。少子化対策として、「働く母親の支援」を主張してきた人達は誤りを認めるべきです。

 少子化の原因は結婚しない(できない)人が増えたからであることは、統計上明らかになっています。そして、結婚しない人が増えたことと、働く母親を支援することは何の関係もないのです。
働く母親を支援すると結婚する人が増えるという理屈はどこにもないのです。女性が結婚しないのは、相手がいないのと、その気がないからです。多くの場合、少子化の原因や結婚しない女性が増えた原因を、「働きながら子供を育てるのが大変だから」と言っているのが、既婚で子供のいる共働きの女性達で、結婚していない女性や結婚しても子供のいない女性達ではないことに疑問を感じます。

 結婚しない人、結婚できない人が増えたのは、男らしさ、女らしさを否定した男女平等教育に一因があります。また、結婚が三食昼寝付きの専業主婦の座を約束しなくなったことも、結婚しない人が増えた原因です。専業主婦は損で、子供を預けて働きに出た方が経済的に優遇されると言う社会は、少子化を促進することはあっても、解消することにはならないと思います。

平成12年7月2日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ