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子供看護休暇制度

 7月2日の読売新聞に、労働省が「子供看護休暇制度」の創設を検討していることが報じられました。記事によると、子供が風邪などの病気の場合、労働者が一定期間休暇を取れるようにする看護休暇制度の創設を検討する方針を決めた」、「子供が病気などの場合、自分の有給休暇を消化して対応してきた現状を改めて、子供を持つ女性が働きやすいようにするのが狙いだ」そうです。
 「育児休業」ができたかと思えば「看護休暇」、その次は「授業参観休暇」とか「三者面談休暇」、「その他学校行事休暇」、「夏休みを子供と共に過ごす休暇」などが提案されるのではないでしょうか。

 休暇中の賃金は誰がどの程度負担するのかなどについては、今後の検討だそうですが、賃金は労働の対価という点から考えるとどうなのでしょうか。かつて、働く女性達は男性労働者の多くが受給している、配偶者手当や扶養手当を、同じ労働をしているのに不平等だと言って批判していました。今回の「子供看護休暇」も「育児休業」も「賃金は労働の対価」と言う観点から考えると、不公平という批判は免れないと思います。男性労働者や専業主婦の家庭に対する恩恵は不公平と言って批判し、一方で女性労働者や共働き家庭に対する恩恵を次々創設するのは、公平な行政とは言えないと思います。

 不公平という批判を予知してか、労働省は「少子高齢化の進展に伴い2005年以降労働力人口が減少に転じ、日本の経済成長率を弱める原因になりかねないとの強い危機感があるためだ」、「こうした課題を克服するためには・・・子供がいて、働きたくても働けない女性の労働力をいかに確保するかがひとつのポイント」などと言って正当化を図っていますが、労働省はいつから経済官庁になったのでしょうか。労働力を確保することは労働省の仕事ではありません。町には中高年も若年も失業者が溢れています。これを救う方が先でこれが本来の労働省の仕事ではないでしょうか。不公平行政を糊塗するために、「労働力不足を補うため」などという、所管業務外の小賢しい理屈を付けるべきではありません。
 結局子供を持つ女性に同一労働を求めるのは無理があるということではないでしょうか。

平成12年7月2日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ