I19
姓(苗字)は何のためにあるのか

 10月9日の産経新聞に、「首相の慎重発言で 夫婦別姓議論が再燃 野党・女性議員が猛反発」という見出しで、男女共同参画審議会(会長・岩男寿美子武蔵工業大学教授)が出した答申をきっかけに、「夫婦別姓」の問題が再燃したことが報じられました。

 姓(苗字)は一体何のためにあるのでしょうか。最大の役割は家族をひとつの単位にしてそれぞれの家族を他と区別するためだと思います。当然家族は同じ姓を名乗る必要があります。夫婦別姓が実現して、夫婦が別の姓を名乗ることになると、姓はその機能を果たすことができなくなります。

 子供の姓をどうするかという問題もあります。子供が父親、母親いずれの姓を名乗るにしても、両親の一方とは姓が異なり、結果として親子で別の姓を名乗ることになります。兄弟姉妹がそれぞれ父親、母親の姓を別々に選択すれば、兄弟姉妹の間でも、別々の姓を名乗ることになります。そうなると、夫婦、親子、兄弟姉妹と言う家族の中の最も近い肉親が別々の姓を名乗ることになり、姓は無意味なものになってしまいます。

 夫婦が別姓になると実際にいろいろ不便なことが起こります。子供の名前を聞いても親を捜せないと言うことが起きるでしょう。名前を知っていても2人の子供が兄弟であること気づかないと言うことも起きるでしょう。家には表札が2枚要ります。○○御一家とか、△△ファミリーという言葉は使えなくなります。まさに家族制度の否定になりかねません。こんなばかげたことがなぜ必要なのでしょうか。個人主義を貫くならば、夫婦別姓ではなくて、姓の廃止、家族制度の廃止を主張すべきだと思います。

 森総理大臣が、男女共同参画室の答申に対して、消極的な反応をしたところ、女性議員が一斉に猛反発をしたそうですが、政治家が、審議会を批判して何が悪いのでしょうか。審議会の答申を無条件に受け入れるだけなら、政治家は要りません。
 自民党内には、「何でもかんでも審議会任せにしてきた弊害がでた」という声が出ているそうですが、まさにその通りだと思います。そして、そう言う結論を出すような審議会の会長や、委員を選んだ者の責任もあると思います。審議会の会長や、委員の選任を官僚任せにしているから、こういうことになるのです。
 審議会政治は官僚政治の隠れ蓑であり、国民の声が政治に反映しない元凶だと思います。

平成12年10月11日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ