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官僚と有識者の男女共同参画会議

 1月4日の読売新聞は、「施策の男女格差を調査 男女共同参画会議」という見出し出、次のように報じていました。

 「政府は・・・男女共同参画会議で国の施策における男女格差を監視する男女共同参画影響調査を行うことを決めた。調査は有識者や関係団体からの意見聴取などを通じて、男女間の仕事や社会生活に関する意識の違いを把握。その上で、各省庁の施策が、男女共同参画社会の実現に寄与するかどうかを検証する。・・・」

 この2日後の1月6日に、森首相が任命した男女共同参画会議のメンバーが発表されていました。合計24人の議員うち、関係閣僚12人を除く有識者議員12名は次の通りです。

 猪口邦子 (上智大教授)、        岩男寿美子 (武蔵工大教授)、
 神田道子 (東洋大学長)、        小島明 (日経新聞常務)、
 佐々木誠造 (青森市長)、        住田裕子 (弁護士)、
 橋木俊詔 (京大教授)、         原ひろ子 (放送大教授)、
 福原義春 (資生堂会長)、        古橋源六郎 (ソルト・サイエンス研究財団理事長)、
 師岡愛美 (連合副会長)、        山口みつ子 (市川房枝記念会常務理事)

 会議のメンバーに、閣僚と有識者が半分ずつというのは、奇異な感じがします。選挙で国民に選ばれた政治家であり各省庁のトップである閣僚と、一有識者が対等な立場で会議に臨むというのは、好ましい会議の構成とは思えません。政治家の軽視であり、民主主義の軽視になりかねません。
 それに、正式にメンバーが発表になる前から、男女共同参画会議による調査の内容や方針が発表されるというのは不可解です。森首相が議員を任命したというのは形だけで、実際はメンバーはその前に官僚により決まっていたものと思われます。

 「調査は有識者や関係団体からの意見聴取をなどを通じて・・・」となっていますが、このような意識調査や実態調査は、本来、直接一般国民を対象に行われるべきものではないのでしょうか。半数の議員が官僚に任命された有識者議員によって構成される男女共同参画会議が、調査をするに当たって、意見聴取の対象を有識者や関係団体に限定するというのは、有識者が仲間の意見を聞くというに等しく、極めて偏った調査方法だと思います。

 もとより、会議のメンバーに指名された有識者は国民の代表ではありません。なぜ、会議のメンバーに指名されたのか、その基準、理由も明らかにされていません。(ちなみに、男女共同参画審議会の委員も下記の通り、似たような構成でした。委員の職業を見ると、大学教授が目に付きます。主婦はひとりしかいません)
 このように国民の代表でも何でもない人達が議論し、その上、調査に際して意見聴取の対象を有識者、関係団体に限定したのでは、一般国民の意見を反映する余地が全くありません。男女共同参画問題に関しては、その審議、議論の過程で一般国民の多数意見が反映していないと言っていいと思います。

平成13年1月14日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ


男女共同参画審議会の委員

猪口 邦子 (上智大学教授)
今井 延子 (全国女性農業経営者会議副会長)
◎ 岩男 壽美子 (武蔵工業大学教授・慶應義塾大学名誉教授)
薄井 富美子 (主婦)
内永 ゆか子 (日本アイビーエム株式会社取締役)
大澤 眞理 (東京大学教授)
岡澤 憲芙 (早稲田大学教授)
鹿嶋 敬 (日本経済新聞社生活家庭部編集委員)
北村 邦夫 ((社)日本家族計画協会クリニック所長)
佐々木 誠造 (青森市長)
佐藤 和夫 (千葉大学教授)
佐藤 博樹 (東京大学教授)
島野 穹子 (つくば国際大学教授)
住田 裕子 (弁護士)
高島 順子 (日本労働組合総連合会総合女性局総合局長)
丹宗 朝子 (成蹊大学非常勤講師)
寺尾 美子 (東京大学教授)
原 ひろ子 (お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長)
樋口 恵子 (東京家政大学教授)
福原 義春 ((株)資生堂会長)
○ 古橋 源六郎 (国家公務員共済組合連合会理事長)
松下 倶子 (聖徳大学教授)
松本 恒之 (東洋大学教授)
八代 尚宏 (上智大学教授)
山口 みつ子 ((財)市川房枝記念会常務理事)

平成11年8月9日現在       内閣府 ホームページより