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女性公務員が増えると国民にとって何か良いことがあるのか

 5月21日人事院は、「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」を発表しました。

 「・・・男女共同参画社会の実現は、人権尊重という普遍的な基本理念に基づく要請である。このことは、男女を問わずその能力を最大限活用することでもあり、・・・国は女性国家公務員の採用・登用の拡大に率先して取り組む必要がある」
 「本人の意欲と能力に基づく『実質的な男女平等』の実現は、・・・」
 「このような考え方に基づき、本指針は、国家公務員法に定める平等取扱の原則及び成績主義の原則の枠組みを前提としつつ、各府省が、「積極的改善措置」により女性国家公務員の採用・登用の拡大を図り男女間の格差を計画的に解消していくことを目指して策定したものである」
 「各府省は、採用の拡大について、目標を設定し、目標達成に向けての具体的取組を定める。その際、採用試験の合格者に占める女性の割合にも留意することとする。
 各府省は、試験採用に加え、選考採用においても、女性の積極的な採用に努める」

 「男女を問わず」とか、「平等取り扱いの原則を前提とし」と言いつつ、「女性国家公務員の採用・登用の拡大を図る」と言うのは矛盾していると思います。
 「実質的な男女平等」、「男女間の格差を計画的に解消」というのは何を意味しているのでしょうか。現状に「実質的な不平等」、「男女間の格差」が存在し、改善を要するというので有れば、その不平等や格差の内容を具体的に明らかにすべきであると思います。その事実を明らかにすることなく、改善を提案するというのは、非論理的な主張です。
 人事院は、女性公務員の採用拡大に目標を設定せよとのことですが、何を根拠に目標を設定するのでしょうか。人事院は根拠のある目標を設定できるのでしょうか。

 5月18日の産経新聞に、「先生若返り大作戦」と言う見出しで、大阪府と、大阪市が小学校教員の採用を増加させることを報じる記事がありました。その中にある大阪の公立小学校の教師の数を、年齢別、男女別に比較したグラフを見ると、年齢構成、男女別構成が極端にアンバランスであることが判ります。男女別に見ると、女性が男性の約3倍と極端に多くなっています。
 近年公立の小学校で、学級崩壊、問題教師の増加など、学校の荒廃が指摘されていますが、小学校の教師の大半が中年女性になってしまったことと、学校の荒廃との間にはかなりの相関関係があるのではないでしょうか。

 もし、女性教師が学校を席巻したことと学校の荒廃との間に相関関係があるとすれば、人事院が強引に進める女性公務員の増加は同じように役所の荒廃をもたらし、国民の利益を損なう可能性があります。役所は公務員のためにあるのではないのですから、公務員の採用は公務員及び公務員になりたい人のことよりも、国民の利益に合致するか否かを最重視して決定すべきであると思います。

平成13年6月14日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ