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もうひとつのカルト思想
 

 小林よしのりの「戦争論2」の中に、20世紀を振り返って、社会主義思想、共産主義思想を「カルト思想」と断じているところがあります。確かに、今から振り返ると社会主義思想はカルトと呼ぶにふさわしい熱病のような現象だったと思います。当時のインテリの多くがこれに傾倒し、日本でも多くの知識人や大学生が、世界が社会主義化、共産主義化するのは「歴史的必然」だと思っていた時代がありました。

 社会主義思想は人を勝手に理想化し、ありもしない人間像をもとに社会主義の実現を夢想しましたが、当然のことながら虚構の上に構築された社会主義は崩壊してしまいました。人間は社会主義者が夢想したような生き物ではなかったのです。

 21世紀になって社会主義カルトは大きな傷跡を残して消滅しましたが、今、猛威を振るっているもうひとつのカルト思想があります。それは、「男女平等カルト思想」です。このカルト思想はわが国では、「夫婦別姓」、「家庭内暴力」、「セクハラ」、「主婦業の敵視」など、様々な形で人々の心、家庭、社会を蝕みつつあります。

 虚構の上に成り立っているという点では、社会主義思想も男女平等思想も同様と言えると思います。今の男女平等思想は男女の能力差、適性の相違等がすべてないことを前提にしていますが、これには何の根拠もありません。人類の歴史を振り返ってみれば、大昔から男女が役割を分担して来たことは明白です。いかなる人種も民族も、いつの時代もこの点に変わりはありませんでした。人間は男女平等を求める人達が夢想するような生き物ではないのです。

 月刊誌「正論」1月号の「そんなに家族を壊したいのか」(東京女子大学教授 林 道義)と言う記事で、男女平等の先進国スウェーデンで起きていることが次のように紹介されていました。

〈スウェーデンの国家的破綻〉
 スウェーデンでは離婚率が50%だと言うことだけはよく知られている。では、犯罪率はどのくらいか、知っている人は少ない。犯罪率が人口当たりアメリカの4倍、日本の7倍。強姦が日本の20倍以上、強盗が100倍である(武田龍夫『福祉国家の闘い』中公新書、2001年)。何と、スウェーデンという国は世界に冠たる犯罪王国なのだ。この驚くべき数字は高い離婚率や家庭育児の激減と決して無関係ではない。つまり家庭で子供を育てていないために親の愛情不足が生じ、それによってまず子供の犯罪が増え、やがて彼らが成人すると大人の犯罪が増える。共働きの増加と離婚率の増加と犯罪の増加は完全に比例しているのである。


 20世紀に猛威を振るった「社会主義カルト思想」は、東側の国々に大きな傷跡を残しましたが、「男女平等カルト思想」が21世紀のわが国に大きな災いをもたらすことは確実だと思います。

平成13年12月2日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ