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専業主婦への敵意(その2) 「働く女性たち」が配偶者特別控除に反対する理由

 9月4日の朝日新聞は、「配偶者特別控除の廃止を明記 政府税調が中間整理」という見出しで、次のように報じていました。

 
「政府税制調査会(首相の諮問機関、石弘光会長)は3日の総会で、03年度の税制見直しに向けた「議論の中間整理」を公表した。・・・女性の社会進出への障害との批判がある配偶者特別控除(最高38万円)を、『必要な配慮を検討する』との条件つきながら『廃止する方向』と明記。高校生や大学生世代の子供が対象となる特定扶養控除(扶養控除38万円に25万円上乗せ)など各種の割り増し控除も、『廃止を含め、出来る限り簡素化』を打ち出した」

 配偶者特別控除を廃止する理由として、「女性の社会進出への障害との批判がある」ことをあげていますが、一体、そういう批判をしているのは誰なのでしょうか。すでに社会に「進出」している女性は、配偶者特別控除の対象者ではない訳ですから、この控除制度を障害と感じるはずはありません。障害と感じる人がいるとすれば、それは現在この控除の恩恵を受けている人たちと言うことになりますが、配偶者控除があるために「社会に進出」できず、この控除制度の廃止を願っていると言う女性が本当にいるのでしょうか。

 同じ9月4日の産経新聞は、この控除制度廃止について次のように報じていました。

 
「配偶者特別控除の廃止・縮減の是非をめぐっては、専業主婦やOLなど立場ごとに異なる意見が出ていたが、政府税調は『働く女性』側の言い分に軍配を上げた」

 これを見ると、この控除制度の廃止を主張しているのは「働く女性」たちであって、制度の対象となっている専業主婦たちは、廃止に反対していることが分かります。
 すでに社会な進出していて、この控除制度の対象になっていない女性たちが、控除を受けている専業主婦たちが制度の存続を望んでいる(つまり、「社会に進出する」意志がない)にもかかわらず、「女性の社会進出の妨げになる」と言って、制度の廃止を主張するのは不可解な主張という他はありません。
 「働く女性」たちが配偶者特別控除の廃止(増税)を主張するのは、単なる専業主婦への悪意からであって、「女性の社会進出云々」は、その悪意をカモフラージュする偽装に過ぎないと思います。

平成14年9月5日     ご意見・ご感想は こちらへ     トップへ戻る     目次へ